「脳の迷信」映像

本当にほったらかしですみません
気力が全然足りてません

さて、時間が経ってしまいましたが、「ニセ科学フォーラム2009」からゲストにお招きした藤田一郎先生(阪大生命機能)の「脳の迷信」の映像をyoutubeで公開します

10分ごとに切らなくてはならないので、まずは最初の10分です
http://www.youtube.com/watch?v=Q7z3DSuD6twLink

続きもなんとか今月中には公開したいと考えています

― posted by きくち at 09:22 am commentComment [51] pingTrackBack [0]

長妻厚生労働大臣、予算委員会でホメオパシーについて(も)語る?

ほったらかしてて、すみません

掲題の件、twitterで知りました。情報元のブログは
http://d.hatena.ne.jp/Mochimasa/20100212/1265987455Link

問題の参議院予算委員会議事録は
http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/sangiin/174/0014/17401280014003a.htmlLink
で読めますので、是非読んでみてください。山根隆治議員の質問とそれへの答弁の部分です。

以下に長妻大臣の答弁のみ抜粋

.................
○国務大臣(長妻昭君) この統合医療の重要性に関する思いというのはもう総理からもかねがね聞いているところでございまして、おっしゃるとおり、今厚生労働省内で統合医療をかかわる部署というのが、例えば大臣官房の科学課、医政局の医事課、経済課、振興課、保険局医療課ということで四つほど分かれて、それ以外にも分かれておりますので、これは今後、統合医療の省内でプロジェクトチームをつくりまして、これを一本にまとめていくということで検討していくということであります。
 統合医療は、もう言うまでもなく、西洋医学だけではなくて、伝統医学、漢方、鍼灸、温泉療法、音楽療法、芸術療法、心身療法、自然療法、ハーブ療法、ホメオパチーなどいろいろな広がりがあるものでございまして、厚生労働省といたしましても、この二十二年度の予算でかなりこれまで以上に、研究分野の統合医療の研究について十億円以上の予算を計上しまして、その効果も含めた研究というのに取り組んでいきたいというふうに考えております。
.....................
○国務大臣(長妻昭君) これにつきましては、先ほども統合医療の項目を申し上げましたけれども、今現在は、御存じのように、漢方、鍼灸、はり、きゅうの一部については保険医療ということになっておりますけれども、それ以外について、具体的な効果、科学的な検証ということで、まず漢方以外の統合医療について、これも予算を計上して具体的に研究をしていくということ、そして漢方については特に手厚く予算を付けさせていただいて、漢方のこれまで検証が進んでいなかった分野についての科学的な検証をするというのが大きな項目でございます。
.....................
○国務大臣(長妻昭君) そういう意味では、先ほどの研究費というのも、厚生労働省が自分でやるというよりは、そういう研究をしていただいているところに交付をするというような研究費でございますし、今おっしゃられた各種研究機関がこれまでも蓄積がありますので、今回、再びそういう蓄積を再度整理をして、一元的に調べてそれらの有効性というのを検証していきたいというふうに考えております。
.....................
○国務大臣(長妻昭君) 今おっしゃられたように、中国を中心としてこの漢方など国際標準化の動きがあるというのは事実でございます。
 いずれにしましても、この統合医療について世界の国々あるいは欧米諸国にも利用していただくためには、何よりも科学的な根拠、証拠に基づくそういう研究、検証というのがもう不可欠だというふうに考えておりまして、まずはそこを力を入れてやっていくということであります。
 そして、中国と協調できる部分はないのかということで、これは我々もその成長戦略、アジアと一緒に成長しましょうと、こういうような提言をさせていただいているところでありまして、そこで協調してこの分野を伸ばしていくという方策がないか、そこも議論の余地があると考えております。
.....................

いちおう、東洋医学を中心に「検証」をしよう、という趣旨には読めます。
もちろん、きちんと検証して「仕分け」するなら、それはそれでいいはずです。

ただ、最近出た『代替医療のトリック』(この本はすばらしい)にもまとめられているように、ホメオパシーなどはすでにほぼ完全に否定されているものですし(というか、本来なら検証するまでもなくプラセボ効果しかない)、今さら予算をつけて研究するようなものではないでしょう。もっとも、文献研究にだって予算はいるのかもしれません。
「みそもくそも」という感じです。

妙な方向に進まないことを願いますが、かなり危うい答弁だと思います

................................
『代替医療のトリック』
サイモン シン, エツァート エルンスト (著), 青木 薫 (訳), 新潮社
この本は、今後、基本文献になるでしょうね

― posted by きくち at 12:44 am commentComment [286] pingTrackBack [2]

業務連絡

すみません
精神的余裕がなくて、ぜんぜんブログにさわっていません
twitterは書き飛ばしてますが、あれは簡単なんで。

少し整理します

今、webちくまの連載を本にする作業をしているのですが、あとひと山越えないと

― posted by きくち at 01:53 pm commentComment [2] pingTrackBack [0]

12/15 川端文部科学大臣記者会見

スーパーコン予算復活についての文部科学大臣会見の様子がビデオと文章で公開されています。
http://www.mext.go.jp/b_menu/daijin/detail/1288102.htmLink

事業仕分け関連のポイントは

(1)文部科学省は1142億円削減が求められている
(2)マニフェストは対象外
(3)事業仕分けの趣旨を尊重し、結論も可能な限り受け入れる。経過措置等で削減できない場合もある
(4)スーパーコンだけは事業仕分けの評価結果と異なる対応をする。
(5)スーパーコンは世界一を目的化せず、ユーザーにとって使いやすいものを作る

ですから、事業仕分けで削減とされたものは基本的に削減、スーパーコンだけが例外ということになるようです

なぜ、スーパーコンだけが例外なのか、会見を聞いてもまったくわかりません。
事業仕分けでは、設計変更にともなう計画変更が拙速と指摘されたはずですが、ここでは事業仕分けからこの日までの短期間で、スーパーコンの基本方針そのものを転換したことになります。

これはやはりまずいのではないでしょうか。
前回も書きましたが、これをもって「よかったよかった」とか言っているスーパーコンの関係者がいたら(いると思いますが)、それはかなりダメであると思います。

― posted by きくち at 05:14 pm commentComment [90] pingTrackBack [0]

processingとsimulationの授業資料

全学共通教育(主として1年生向け)の「計算機シミュレーション入門」という授業の資料です。
文系・理系問わず、プログラミング未経験者歓迎の授業なので、プログラミングの基礎から教えなくてはなりません。それも手短に。去年まではそれをC言語でやるという試みをしていて、まあそれなりにはうまくいっていたと思うのですが、システムがLINUXからWindowsに替わったのを機に、processingでの授業に全面的に変えてしまいました。

以下の資料は実際にはe-learningのシステム上で見るようにしています。毎回20分ほど解説したあとは実習で、僕と3名のTAで見てまわります。

(1)Processing入門
http://www.cp.cmc.osaka-u.ac.jp/~kikuchi/kougi/simulation2009/processing0.htmlLink
ここまで。最低限なので、関数もクラスも教えない。もっとも、資料だけは作ろうかと考えている

(2)Simulation入門
http://www.cp.cmc.osaka-u.ac.jp/~kikuchi/kougi/simulation2009/simulation0.htmlLink
まだ作り始め。どこまでいくか未定

あくまでもプログラミング未経験の一年生を対象にした資料なので、難しいことを言わないでね

なお、既にプログラミングができる学生には「勝手にどんどん進んで、面白いものを作ってくれればよし」と言ってありますが、勝手に分子動力学の3Dのようなものを作るものあり、複雑な絵を描くものあり、ゲームを作るものありで、なかなかおもろいです

― posted by きくち at 07:04 pm commentComment [21] pingTrackBack [0]

シーリング・バーター・ゼロサム・マイナス

仮にどうしても全体を削らなくてはならなくて、何かが増えれば何かが減るのだとしよう。
どう考えても関連のないあれとこれをバーターにするのは納得がいかないにしても、それらは最終的に総額という一個の変数でつながれた式の各項であることは間違いないと思っておこう。
問題は、その結果が「スーパーコンだけ大復活」でいいのかということで、つまり他のあらゆるものよりもスーパーコンの優先順位が高いかのような政治決着を見たのはなぜなのか、まったく理解できない。

ここで、仕分けで最も筋が悪かったはずのスーパーコンがなぜ「科学軽視のシンボル」のように扱われたのかを考え直してみるのも意義があるかもしれない。大復活はおそらくそのことと関係があって、最も注目されたものを復活してみせただけではないかと思いますが。
常識で考えたら、小復活か中復活が筋でしょう。

ちなみに、僕の意見は前と変わらず、単に「最初に怒った人たちが、仕分けの議論を読まなかったから」です。ダメすぎです


スーパーコンだけの大復活を単純に喜んでいる人たちは、日本の科学のことなんか何も考えていないと思う

― posted by きくち at 12:40 pm commentComment [16] pingTrackBack [0]

またまた放置ですみません

出張続きで、ブログにじっくりコメントする暇がありませんでした。
そのわりにtwitterでしょうもないことを書いているではないか、と思われるかもしれませんが、あっちはつぶやきなので。

今日の朝日新聞朝刊科学面に、事業仕分けを受けての科学界の動きの変化について、まとまった記事が出ています。事業仕分け直後は例のノーベル賞決起集会に代表されるような「仕分けはけしからん論」ばかりでうんざりさせられましたが、少しずつ変わってきているということでしょう。
「けしからん」の一点張りで何かがうまくいくはずはなく、科学と科学行政の構造を変えるための議論が求められているのは明らかです。

― posted by きくち at 08:10 am commentComment [158] pingTrackBack [1]

中村桂子さんの意見

事業仕分けに参加された中村桂子さんが、それについて書いておられます。
http://www.brh.co.jp/katari/hitokoto/Link

...............
せっかくのきっかけだと思うのに、研究者全体でこの国の将来を考えましょうとはならず、お金を削減するのはけしからんと言う声だけなのです。誰も科学技術が不要だなどとは言ってはいません。しかし、ただ科学技術は大事だと大きな声で言えばよいわけではないでしょう。
...............

というところは、僕もそのとおりだと考えています。

付録も含めて、よく読んでおきたいと思います。

― posted by きくち at 10:43 pm commentComment [137] pingTrackBack [0]

東大物理のアピール

水をかけるような話ばっかり書いて、済みません。

東大の物理教室が「若手研究者の育成に関する緊急アピール」を出しました。
http://www.phys.s.u-tokyo.ac.jp/Link

僕は学振特別研究員制度によるPD雇用をもっと充実するべきだと考えているので、それ自体に反対する気は毛頭ないのですが、このアピールにはちょっと理解できない部分があります。
PD制度がさまざまな問題を抱えていることは事実で、巨視的に制度全体の将来像を描かなくてはならないのだと思います。もちろん、それは今回の仕分けの範疇を越えるので、言わなきゃらならないものではないのですけど、東大ならもうちょっとビジョンを提示してもいいのかなという気はしました。もっとも、それは本題ではありません

「それの削減をすれば、若手研究者が困窮し、研究に専念できなくなり我が国の将来に大きな影響を及ぼします」という部分をどう読むか、なんですけど、この不況下で「困窮」の論理は通らないのではないでしょうか。
実際、前にも書いたように、仕分けの議論では「博士だけ、なぜ優遇しなくてはならないのか」とか「博士の生活保護か」というような発言もありました。無論、これは仕分けの主流にはならなかったのですが、一般の人たちの中にもこのような素朴な疑問を持つ人は多いかもしれません。「困窮するから、金をくれ」というのでは、このような「生活保護論」を認めてしまったようなものだと思うのですが、いかがでしょう。
もし、本当に「困窮」が理由なのだとしたら、就職でもアルバイトでもしなさいという返事になってしまいます。そうではなく、我々には若手研究者を研究に専念させるために雇用するきちんとした理由があったはずだと思うのですが。

もちろん、この「困窮」ロジックは、筆が滑っただけでしょう。でも、こういう理由付けは、一般の人たちに「若手研究者支援」の意味を理解してもらうにはたぶん逆効果です。

[追記]
不正確であるという指摘をいただきました。
PDのうちで、学振特別研究員の制度では学術振興会から「研究奨励金」が給与として支給されますが、学術振興会との雇用関係はないので、「雇用」と書くべきではありません。
すみません

それ以外のPDについては、いろいろなのだろうと思います。

― posted by きくち at 04:26 pm commentComment [55] pingTrackBack [0]

GPGPU

取り急ぎ

浜田剛さん(長崎大、お目にかかったことはありません、たぶん)が開発されたGPGPUクラスターがゴードン・ベル賞を受賞されました。おめでとうございます。

これはもちろんすばらしい話なのですが、事業仕分けで次世代スーパーコンが話題になったタイミングだったために、次世代スーパーコン不要論の論拠にされたりもしているようです。

うーん、これは全然違うものだし、現状では、比較してどうこうではないと思います。
仮にこのGPGPUで10PFLOPSを実現しようとしたら、大変なことになるでしょう。もちろん、10PFLOPS機が本当に必要なのか、とか、100TFLOPS機を100台のほうがいいんじゃないか、とか、いろいろな議論はあると思いますが。
また、よく知らないので推測で書きますけど、GPGPUのほうは倍精度計算の速度じゃないですよね。目的の違う計算機でしょうから、今は同じ土俵で議論はしがたいでしょう。

ただ、次世代スーパーコン・プロジェクトを進めるためには、説明しなくちゃならない材料が増えた、ということではあると思います

すみません。今日もまったくまとまりません。
間違っているかもしれません。むしろ、いろいろ教えていただけるとありがたいです

仄聞したところでは、ゴードン・ベルのファイナリストにはほかにも面白いものがあったようです

― posted by きくち at 12:04 pm commentComment [16] pingTrackBack [0]

運営費交付金

運営費交付金を毎年1%ずつ削減するというのが自民党時代の政策であって、大学関係者はそれに反対していたはず。それが大前提だと思っていたのですが・・・
あたかも「自民党時代がよかった」かのように言う人たちがいるので、理解できずにいます。

とりいそぎ

― posted by きくち at 12:16 pm commentComment [34] pingTrackBack [0]

若手研究者支援

実のところ、次世代スーパーコンを「理不尽な事業仕分け」とか「事業仕分けが科学をつぶす」とかいう話のシンボルみたいに扱うのは筋が悪いと思います。
なぜそんなことになったのか分からないけど、「1位でなくてもいい」という言葉が「反科学」の象徴であるかのように使われています。まあ、わかりやすいですけど。
でも、「2位ではだめなのか」はそういう文脈ででてきたものではなく、「1位でなければ失敗なのか。2位ではだめなのか」という助け舟発言として出てきたことに気づかないと。実際、次世代スーパーコンの議論では仕分け側から何度もかなりあからさまな助け舟発言が出たのに、片っ端から拾い損ねて自爆してしまったわけです。
次世代スーパーコンは突っ込まれどころが多すぎて、仕分け側の発言のほうが圧倒的にまともだったので、これをシンボル扱いするのは戦略上まずいはずです。

もちろん、仕分け側が常にきちんとしたことを言っていたとも思いません。
若手支援の問題では、事業の枠の外にある制度上の問題を挙げて(それだけではないけど)、来年度の事業縮小という結論が出されましたが、これはまずい。仕分け側の筋書きに従うためには、事業の改善以前にもっとずっと大きな部分の制度を改善しなくてはならないはずで、それには時間がかかります。支援事業だけがいきなり縮小されたのでは困ってしまいます。もっと大きな政策の問題なので、来年度縮小ではなくて、民主党議員(この場合は蓮舫)がちゃんと持って帰って、政府に要求するのが筋ってものでしょう。いや、蓮舫はそういうコメントもしたとは思いますが、他人事っぽかったようにも思いますし。

また、「なぜ博士号取得者だけを支援しなくてはならないのかわからない」と言い出した仕分け人もいました。幸い、冒頭で蓮舫が若手支援が重要なことはわかっていると言ったように、この暴論(自明に暴論ではないですが)は他の仕分け人の同調を得られなかったと思いますけど、社会にはそう考える人もいる(それも、おそらくはたくさん)ということは頭にいれておいてもいいかもしれません。

なぜ支援するのかといえば、もちろん、高い金をかけて育てた研究者はなんらかの意味で社会のために役に立つはずだからでしょう。言い換えると、博士を役立てることのできない社会なら、博士なんか育ててもしかたがないわけで、その意味では「博士は支援すべし」は決して自明なステートメントではありません。ただ、僕たちは、博士号を取るほどの訓練を受けた研究者は社会にとって必要な人材だと考えている、ということです。

ときとして「高度な専門知識をもった人材」云々と言われたりしますが、ポスドクが、その専門知識がそのまま活かせる分野で活動できるとは限りません。一般には、活動分野は変えるものです。ポスドクは特定の分野の専門知識があるから大事なのではなくて、「ひとり立ちした研究者」だから大事なのだと思います。分野を変える気があるかないかは重要です。

まとまらなくて、すみません。

若手の人たちは文部科学省にコメントを送るべきですが、単に「現状維持すべし」とか「支援して当然」とかいうだけのコメントではたぶんなんの意味もないです。

― posted by きくち at 12:18 am commentComment [76] pingTrackBack [1]

科学への投資を誰に理解してもらいたいのか

まだまとまった文章が書けないのですが、とりいそぎ。

一昨日、東大でノーベル賞科学者を集めた「決起集会」のようなものがありました。研究室で中継を流していたのですが、残念ながら、仕分けの議論そのものを聞いて、それを踏まえた発言をしたパネリストはいなかったようです。利根川進氏が質問に答えるのを聞きながら、何度か「利根川先生、あなたのおっしゃっていることはだいたい仕分け側が言ったことと同じです」とつぶやいてしまいました。

しかし、問題はノーベル賞のみなさんが退席されてからの第二部です。こちらも誰も仕分けを聞いていないようです。それ以上に問題だと思ったのは、あれではいったい誰に何を理解してほしくて開いた会かわからんという点でした。僕には、結局「科学は偉いのだから、だまって言い値で出せ」というふうに聞こえてしまいましたが、いかがでしょう。
敵はたくさん作ったのに対し、科学の味方を増やすことはできなかったのではないでしょうか。

ニュースによると
......................
行政刷新会議の加藤秀樹事務局長は26日、「(仕分け人は)誰ひとりとして科学技術を否定していない。そういうことを見も聞きも知りもせず、『非見識』というのは非科学的だ」
......................
とコメントしたようです
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091126/plc0911262253029-n1.htmLink
これはその通りだと思います。東大からの中継を聞きながら、いったい何に反論しようとしているのか、僕には理解できませんでした。僕はニセ科学批判の文脈で「存在しない仮想的に反論するパターン」に何度も出会っていますが、それとあまり違わない気がして、げんなりしました。
内輪の決起集会をやるのはかまわないけど、全国に中継して訴えようというなら、もうちょっと勉強するとか戦略を練るとかしないと

会場からの質問者の中に、きちんと仕分けの議論を踏まえたかたがおられて、僕の考えでは、あれが当日もっともまともな発言でした。しかし、残念ながら影響力はなかったようです。

以前僕を授業に呼んでくれた横山広美さんが司会されていましたが、横山さんは本当にあの会はあれでいいと考えておられるかのかどうか(ひそかにメールで教えてください)

それから、今日の朝日新聞科学面(大阪では21面)の記事は問題点をよくまとめています。

さて、慶応大学医学部G-COEが仕分けに対する声明を出しています。
岡野・末松両教授名で出されたこの声明を未読のかたはぜひ読んでみてください。かなりよくできていると思います
http://www.gcoe-metabo.keio.ac.jp/news/20091125.htmlLink


あ、仕分けの議論はニコニコ動画などで聞けます。僕はこれまでニコ動を避けていたのですけど、このためにアカウントを取りました。ひとつにつき1時間強です。興味のある問題だけでいいので、未聴のかたは聴いてください

取り急ぎ

[追記]
仕分けというのはなんの決定でもなく、もちろん彼らに予算を決める権限などありません。そして、僕たちが警戒しなくてはならないのは、途中の議論がすっ飛ばされて「結論」だけが財務省に都合よく利用されることでしょう。だからこそ、仕分けの議論の中身を知っておくべきだと思います。せっかくオープンに議論されたのだから。

たぶんうまく伝わってないと思うけど、もちろんあらゆる問題について「仕分け側が100%正しい」なんて話ではないのですよ。若手支援とか、そりゃまずいんじゃないのというような議論もあるわけです。そのいっぽうで基礎科学としては歓迎すべき意見も出たことも理解したほうがいい。

― posted by きくち at 08:52 am commentComment [185] pingTrackBack [1]

Physicaの血液型論文

ABOFANさんが挙げておられる最近の文献の中にPhysica掲載のものがあったので、読んでみました。
論文はこれ

B.J. Kim, D.M. Lee, S.H. Lee, W.S. Gim: "Blood-type distribution", Physica A 373 (2007) 533

すでに奥村さんがとりあげて、計算もしておられます。

http://oku.edu.mie-u.ac.jp/~okumura/stat/bkare.htmlLink

だから、本質的に付け加えることがあるわけでもないのだけど、いちおう計算以外のことを。

この論文では血液型分布の統計的な検討をしていて、ほとんど関係のない三つの話題が扱われています。これがどうしてPhysicaに載ったかというと、二番目の話題がいわゆるcomplex networkに関係するからでしょう。それでも、ほかの二つは物理とほとんど関係ないし、三つの相互の関係もないし、妙な論文ですね。というか、最近のPhysica Aは妙な論文ばっかりのような気もしますが、まあいいか。

そんなわけで、物理とほとんど関係ない二つの話題について。

最初の話題は、血液型についてHardy-Weinberg平衡が成り立っているかどうかを統計的に検証するというもの。これはかなり重要なテーマだと思いますけど、先行研究があるのかないのか、調べていないのでわかりません。あってしかるべきですね、もちろん。
僕もごくたまに統計学の授業で血液型を扱いますが、とりあえずHardy-Weinberg平衡を仮定します。仮定しないと計算できないので。Hardy-Weinberg平衡が成り立っているとどうなのかという話は伊庭君の

「ベイズ統計と統計物理」(伊庭幸人)

でも参照してください。これは名著なので、ひとり二冊くらい買って、田崎統計力学本と並べておくように。

閑話休題
ここでの帰無仮説は「配偶者の選択は血液型と関係なく(つまり、血液型で見れば、ランダムに)行なわれて、Hardy-Weinberg平衡が成立している」というもの。能見風に言えば「血液型で相性はわからない」ということです。
で、292組の夫婦について、血液型の組み合わせの出現頻度を調べ、それをHardy-Weinberg平衡が成り立っていると仮定した場合の出現頻度と一致するかどうか、カイ二乗適合度検定をしています。
奥村さんによると、Fisherの正確検定のほうがいいらしいですが、まあ普通は教科書通りにカイ二乗検定で済ませばよいでしょう。
結果は帰無仮説が棄却されず、Hardy-Weinberg平衡が成り立っているとみなしてよいというもの。つまり、「配偶者の選択は血液型と関係なく行なわれている」と結論されます。まあ、予想通りですか。今後も授業で血液型を扱う場合は、Hardy-Weinberg平衡を仮定してよいということで、よかったよかった。「血液型が相性に影響する」ということだと、どう計算していいかわかんなくなって困りますけど、とりあえず困らない。

次の複雑ネットワークの話は飛ばして、三つ目の話題が血液型と性格検査の関係。ABOFANさんもよくこんなPhysicaに載った韓国人の論文なんか見つけてきますね、いやいや。

ここでは852人を対象にMyers-Briggs-type indicator testちゅうのをやります。MBTIは性格をそれぞれ二者択一の4つの指標を使って16通りに分類します。これを血液型別にやって、違いを見たいわけですが、四次元空間での完全な分布で議論するには852人では足りないので、各指標ごとに独立に血液型による差を見ます。
これをやってみると、四つの指標のうち、三つまでは血液型による違いはありません。唯一、SensingかIntuitionかという指標は、A,O,ABでは違いがないのにB型だけが有意に違うという結果になります。そこで、さらにB型を男女に分けてみると、実は有意にずれるのは男だけであるということがわかります。
おおざっぱにいうと、B型男子以外ではSensingがIntuitionの二倍程度なのに対し、B型男子ではほぼ同数になっています。この差は統計上ははっきりと有意だというのが結論です。

ポイントはいくつかあると思いますが、まず、A,B女子,O,ABの各集団については、四つの指標のどれにも差は見られず、血液型によらない。そして、一個の指標について、B型男子の集団だけが突出して違う分布を示す。同じB型でも女子はほかと同じというわけです。
これはあまりにも妙な話ので、著者たちは理由として、韓国での最近の血液型ブームでは主としてB型男子に焦点があてられているからだ、と血液型ブームの影響を挙げています。要するに、映画「B型の彼氏」の影響だろうというわけです。ちなみに、「B型の彼氏」には論文のIntroductionで言及されています。もちろん、そうではなく、B型男子だけが本当に違う傾向を持つという可能性もあるわけですけど、それはless plausibleとしています。まあ、それはそうでしょうね。
しかし、「B型の彼氏」の影響なのはいいとして、Sensing/Intuitionにだけ差が出るってのは、どういう意味でしょう。

まあ、とにかくそういう論文です。
ところで、この論文をざっと見た範囲では、被験者をどうやって選んだかが書いていないようなんですけど、そこんとこどうなんでしょ。

ああ、奥村さんの解説につけくわえた部分がほとんどないかも

― posted by きくち at 01:21 am commentComment [288] pingTrackBack [0]

ウィルスとアルコール「消毒」と「殺菌」 (追記あり 11/9)

twitterで話題になったので、いちおう書いておきます

インフルエンザ・ウィルスは脂質二重膜(細胞膜と同じ・・・というか、そのもの)に包まれているので、アルコールで破壊できる。バクテリアの細胞膜(これは細胞壁と呼ぶのが正しい?)を破壊するのと同じ。したがって、インフルエンザ・ウィルスにはアルコール消毒が有効。ウィルスを「殺菌」するというのは、言葉としては間違っているが、効果としては間違っていない。

いっぽう、多くのウィルスは脂質二重膜ではなくタンパク質からなるカプシドに包まれているので、アルコールでは破壊されない。
(追記 11/8:
えー、読み直すとウィルスの構造についての記述がめちゃめちゃ不正確ですね。カプシドの外側に細胞膜のエンベロープで、カプシドがないわけではありません)

だから、インフルエンザ・ウィルスの例をもって、「ウィルス対策にはアルコール消毒」などと考えてはだめ。
基本的にはアルコールは「殺菌」するものだと思う。それに対し、ウィルスは菌ではない。

いや、僕もインフルエンザ・ウィルスのエンベロープが脂質二重膜だということを今回の新型騒ぎで初めて知りました。最初は「ウィルスにアルコール消毒だなんて、なんにもわかってないじゃん」と思っていたのですが、わかっていないのは自分のほうだったよ。

[追記 11/9]
ウィルスとバクテリアの破壊メカニズムについて指摘をいただきました。
インフルエンザ・ウィルスについては、膜融合で感染するし、感染に必要なHAやNAは膜上に生えてるので、いずれにしても膜を破壊すれば感染できなくなるのだと考えていたのですが、それでよいかしら。ウィルス本体はRNAなので、これを破壊するのはまた別の問題ですね。
バクテリアのほうは代謝があり、普通の意味で「生きて」いるから、細胞壁を破壊すれば死ぬんじゃないかなあ程度のぼんやりした理解で、こちらのほうがいい加減すぎるかもしれません。

― posted by きくち at 02:28 am commentComment [26] pingTrackBack [2]

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