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2005/10/31 水伝: 札幌市教育委員会後援問題
2005/10/29 ふいんき(←なぜか変換できない)
2005/10/28 テルミン@学祭
2005/10/28 水伝: 「mixiに書いたこと」へのご意見はこちらに
2005/10/28 科学とコミュニケーションの問題
2005/10/27 水伝:mixiに書いたこと
2005/10/26 水伝: 札幌市教育委員会後援のイベントにて
2005/10/24 ニセ科学の授業
2005/10/21 Saturday Afternoon Physics
2005/10/20 「水伝」授業: 実践している先生発見?
2005/10/20 blog, コメント, 消失
2005/10/18 かわいい物理: あすは光量子仮説
2005/10/09 水からの伝言: 参観授業
2005/10/07 Y染色体
2005/10/06 ゼロ磁場で村おこし
2005/10/06 水伝映画?

2005/10/31 水伝: 札幌市教育委員会後援問題

カテゴリー: ニセ科学,水からの伝言

例のイベントですが、教育委員会は直前に後援を取り消したそうで、イベントのホームページからも名前が消えています。

さすがに札幌だけあって、北大低温研からの抗議は効いたようです。

もっとも、ひっそりと消されているので、気づく人は少ないかも。

というわけで、ここに書いておきます。

 

じゃあ、串間市も京大から抗議すれば効くのか?


2005/10/29 ふいんき(←なぜか変換できない)

カテゴリー: WWW/Weblog

web上に「ふいんき(←なぜか変換できない)」という記述が多いことにようやく気づく。"(←なぜか変換できない)"をつけるのが大事らしい。うーん、本気か冗談かをみわけるシグナルがつけられてないので、ネタとしてはあまりに微妙すぎる。検索したら、2chに「ガイドライン」というスレッドがあったから、もしかして2chから出てきたネタなのかな。でも、僕は2chのことはまったく知らないのだ。読まないんで。

たぶん、これに対して「正しくは"ふんいき"ですよ」とつっこむようでは、粋ではないということなのだろう。しかし、インサイダーでなくても「わかる人にはわかる」ようなシグナルが付されていない以上、「粋」かどうかよりは、インサイダーとアウトサイダーを区別するだけのしかけにも思える。京都人の暗黙のしきたりみたいなものか。インサイダーの概念は面白いな。

実は誰かのblogにこの件で「無粋な」コメントをしたのだ。でも、どのblogだったか忘れてしまったのだ。kikulogのアクセスログからたどったと記憶していたのだが、見つからないのだ。だから、ここに書く。それだけなのだ。

あ、そんなわけで、検索にかかってしかたなしに読む場合を除き、僕は2chを読んでいませんので、よろしくお願いします。ついでに言うと、ごく短期間を除き、fjも読んでませんでした。


2005/10/28 テルミン@学祭

カテゴリー: 音 楽,テルミン

学祭の「理系bar Fermi Lab.」っていう企画で、11/4の11:30くらいから30分ほど、テルミンを弾くんだと思う。でかい音を出すとおこられるので、BGM程度に。密かな企画なので、告知はここにしか出ないと思う。Barっていう企画だから、テルミンを聴きたいだけの人もアルコールなりソフトドリンクなり注文するのが義務。


2005/10/28 水伝: 「mixiに書いたこと」へのご意見はこちらに

カテゴリー: ニセ科学,水からの伝言

ちょっと混乱してきたので、「mixiに書いたこと」へのご意見はこの文章へのコメントにしていただけるとありがたいです。

ただ、「科学的言明とはなにか」に関しては、下の「科学とコミュニケーション」のほうにお願いします。


2005/10/28 科学とコミュニケーションの問題

カテゴリー: サイエンス

「科学的に厳密であること」と「わかりやすく伝えること」とは、必ずしも相反するわけではないとは思うものの、どちらをも完全に満足させることは難しい。

伊庭君には「厳密な言明」を求められているのですが、それによって「わかりにくくなる」あるいは「大事なことではあるものの、厳密に言うと難しくなってしまうので、言わないことにする」というたぐいのことがどうしても起きてしまいそうな気がする。

単に僕の能力が不足しているだけかもしれないですが。

どちらかを取れと言われたら、現時点では「わかりやすさ」優先にしてしまうのですけど、やりすぎるとまずいので、そこのさじ加減は悩ましい。

阪大にも「コミュニケーション・デザイン・センター」なんてのが最近できて、"Scientific Communication"もテーマらしい。要するに、みんな悩みは同じなのでしょうかね。


2005/10/27 水伝:mixiに書いたこと

カテゴリー: ニセ科学,水からの伝言

***

混乱してきたので、下の文章についてのご意見は、10/27付けの文章↓へのコメントにしていただけますか。すみません

http://www.cp.cmc.osaka-u.ac.jp/~kikuchi/weblog/index.php?UID=1130484296

***

mixiに書いたことがなんだか思わぬ反響をよんでしまい、たざきさんには主義を曲げさせるにいたるなど、大変申し訳ないことです。

たざきさんよりさらにmixi嫌いの人のために、僕が書いた部分だけ、適当に抜き出しておきます。どういうやりとりかは想像してください。

.......

ニセ科学の蔓延について調査しています。

言うまでもないことですが、「水からの伝言」自体は、科学的にはまったくのでたらめです。中身は単なるオカルトなのですが、実験事実と主張しているという意味で、ニセ科学に分類できるものです。そして、そのために、小学校の道徳の授業に使われるなど、実害も多々報告されているのは、ご承知の通りでしょう。見かけがオカルトであれば、授業に使う先生もいなかったのではないかと思います。その意味で、実験事実を装っているところがもっとも罪深いと考えています。

で、「まじめに考える」トピックも立ちましたが、僕としては「水からの伝言」を信じている(いた)かたがたが、なぜこんなものを信じるのか、その理由が知りたいのです。それを知ることが、今後のニセ科学対策に役立つと考えるからです。

道徳の授業に使った先生がたは、"水に道徳を教わること"をどう考えておられるのか、何人かのかたにメールしたことがあります。事実ではないことには納得いただけて、「たしかに間違いでした」とはおっしゃってくれるものの、なぜ信じてしまったのかについては、なかなか本心を語っていただけません。

信じてしまったかた(今、信じているにしろ信じていないにしろ)が何をどう考えて信じるにいたったのか、ぜひとも教えていただけないでしょうか

....

やはり、「実験」っていうところですよね。

残念ながら、あれはちゃんと実験されてはいないですよ。

もちろん、結晶自体はできています。公式ビデオでも見られる通り、ちゃんと結晶ができるところをとらえています。それは嘘でもでたらめでもないです。

ただし、あれはただの気相成長なので、できかたは本質的に雪の結晶と同じなのですが、あの程度に荒っぽい条件設定だと、きれいな結晶ができるかどうかは運次第になっちゃうんです。だから、たまにはきれいな結晶ができるし、できないこともある。でもそれは偶然の結果であって、「言葉」とは関係ないんです。

彼らは結晶のできたサンプルを恣意的に選んでいるだけだから、やろうと思えばまったく逆の主張も可能なはずですよ。

科学の問題としてみるなら、まったくなんの証明にもなっていません。

でも、写真はすごくきれいですよね。

......

写真のインパクトは大きいですもんね。写真は本物なんです。でも、主張(言葉によって結晶が変わる)は嘘です。

あの写真はかなり苦労して撮影しているはずなんです。僕は北海道大学低温科学研究所の先生方(つまり、雪の結晶の専門家です)に写真とビデオを見ていただいて、意見を伺いました。かなり試行錯誤しないと、あの写真は撮れないだろうというご意見でした。

そういう意味では珍しい写真なので、ありがたく鑑賞させてもらえばいいのだと思います(^^

あの話のポイントは、そうやって撮った本物の写真と「水が言葉に反応する」という主張との間は論理的につながってないってことです。単に彼らがそう言っているだけ。

でも、インパクトのある写真を見せられると、ついその主張まで信じちゃいますよね。なんとなく"そうだといいなあ"という内容だっていうこともありますしね。

水は単なる物質で、生物じゃないので、やっぱり言葉には反応しないです

......

科学の問題としては、人間の体が水でできているからといって、だから「ありがとう」に反応するなんてことはありません。

ぼくたちが「ありがとう」と言われて気分よくなるのは、それを耳で聴いて、脳が解釈するからですよね。

生まれてからの経験ゃ学習によって「ありがとう」という言葉の価値を身につけているから気分がよくなるという普通の解釈のほうが、体が水でできてるからという理由よりも、人間の尊厳を認めていてよいと思いますが(水に教えられちゃうのは、どうかと思うのです)

ちなみに、仮に江本氏流に「結晶の形は言葉に影響される」を認めたとしても(間違いですが)、そのことと「人間の体は水でできているから、やはり言葉の影響を受ける」という主張とのあいだには大きなギャップがあって、論理的にはつながっていません。

....

 「雲を消す」というのは、1950年代から知られている話です。

事実としては、雲が勝手に消えるからなのですが、逆にいうと、無意識のうちに消えそうな雲を選んでいるということでもあります。試しに大雨の日に雨雲を消してみるのがいいと思いますが、いかがでしょう。

 少なくとも、科学としては、水は生物ではないです。僕が「水からの伝言」を信じないのは、科学的にまちがっているからなんです。だから、科学的に間違っていても宗教として信じるということであれば、なるほどとしか言えません。

 日本語は素晴らしいと思いますよ。

.....

 中谷宇吉郎の本を読まれたのでしょうか。雪の結晶についての中谷の研究は、世界的にもよく知られた、すぐれた研究です。北大低温研は、その中谷のあとを継いでいる由緒正しい研究所なんです。

 「波動」についてですが、江本氏らの言ういわゆる「波動」というものは科学的には存在しません。これ、なんとなく科学用語に見えるのが困る(だからこそ、ニセ科学なわけですが)のですが、物理学でいう波動とはなんの関係もないものです。強いて言うなら「僕と君は波長が合う」の「波長」程度の意味かな。実体はありませんし、物質に影響を与えることもできません。水にも影響しません。

 言葉には意味もニュアンスもあるので、人間は言葉をかけられると、それによってさまざまな気分になりますよね。「ありがとう」と言われたらうれしい、とか。それを「波動」と呼べば波動でもいいんですが、どちらかというと「優しい言葉をかけられたら、いい気分になった」という普通の解釈で充分なのでは?

「写真集」がダサいので、写真集じゃないほうの本を買ったとは、すばらしいです。僕も同感です。

彼自身は宗教とは言いませんが、事実上あれは宗教です。

.....

 よく誤解されることなんですが、科学者は不思議な現象が大好きです。不思議な現象を見つけて、それを解明することによって、科学は進歩しています。もちろん今でもそうです。

 では、「水からの伝言」や「波動」をなぜ科学者がとりあげないのかといえば、実験するまでもなく(そして、理論を考えるまでもなく)、ありえない話だからということに尽きます。端的に言うと、ばかばかしすぎて相手にしていないということです。相手にしてる科学者なんて、僕やapjさんくらいですよ(^^

 ありがとうございます。参考になります。3の"そもそも言葉に水が反応するのは当然ではないのか?"には驚かされました。学校の教頭先生でこれはまずいと思います。

....

 半信半疑っていうかたは結構多いのじゃないかなあと思います。いろいろ考えていただけるとうれしいです

....

少なくとも現代科学の枠内では、想念は物質に影響しません。これが影響するとしたら、物理学のかなり大きな部分が変更を迫られるはずです。

「きれいな結晶」っていう概念自体が、主観に依存するはずです。まして、モーツァルトはよくてヘヴィメタルはだめだなんて、ロックファンの気持ちとは逆ですよね。

腐る・腐らないではなくて、腐り方が違うという主張です。一方を発酵と呼んでもいいですが、微生物が繁殖した結果であることに変わりはないので。違いは微生物の種類でしょう。

これについては、shuheiさんの日記やblogとか

http://tekipaki.jp/~gon/park/fram/f.guzen.htm

とかをお読みいただくといいかと思います。

結論からいえば、どんな声をかけたかと関係なく、偶然に決まります。

では、なぜ「ありがとう」は臭くならず「ばかやろう」は臭くなるという報告が多いのかといえば、主としてそういう「成功例」が報告されるからです。特に子供の実験では、本に書かれているのと逆の結果になった場合に「自分のやりかたが悪かった」と考えて、報告しないケースが多いと予想されます。

.....

そう考えておられるかたも、かなり多いかと想像します。でも、お子さんの担任の先生がこれを授業に使ったばかりに、大変な迷惑を被ったかたも少なからずおられるんです。たとえば、doraさんのblogでその経緯を読むことができます↓

http://doralin.blog17.fc2.com/

>この本に助けられました。

というのは事実だと思います。ぜひそれは大事にしてください。でも、それは個人的体験であって普遍的事実ではないわけです。

授業に使うのは、やはり間違いだと思います。

....

最初に「水からの伝言」の話を知ったときには、大笑いしました。ではなぜ今は真剣にこの問題を考えているのかと言えば、道徳授業に使われるなどの実害が発生しているからです。江本氏がここまで大々的に宣伝せず、口コミのレベルで留まっていれば、僕も「よくある妙な話のひとつ」として、笑い飛ばしていました。今は、笑い飛ばすわけにはいかず、真剣に対処しなければならないと考えています

「水からの伝言」は科学ではないと理解した上で、なお信じるというかたについては、まさに価値観の問題なのでしょうがないと思います。

でも、科学的事実だと信じているかたには、科学者の立場から、「科学的には誤り」と伝える必要があると考えています。また、半信半疑くらいのかたにも、「科学的には誤り」という点を理解した上で、信じるか信じないかを決めてもらいたいのです。

もうひとつ、よくある誤解は「事実だが、科学的にはまだ説明がついていない」というものです。これも誤り。科学的には完全に説明がついていて、「水からの伝言」の主張は間違いなんです。つまり、あれは事実ではありません。あとは、それを踏まえてなお信じるかどうかですが、最後は個人の価値観で決めていただければよいでしょう。

ただし、科学的に明白に誤っているものを授業の題材にすることについては、科学者として容認できません

....

 江本氏の実験は恣意的なのでだめです。ご飯の実験については、上のコメントをご覧んください。もうひとつ、江本氏は確信犯なので、自分の主張が嘘であることくらい知ってますよ。したがって、論破するようなものではないです。彼は論破されません。聴く耳をもたないから。

 僕は物理の専門家ですが、江本氏は科学者ではないし上のような事情なので、彼とやりあうのは時間の無駄です。

 僕の目的は、「水からの伝言」が間違いであることをみなさんに知っていただくことにあります。特に、半信半疑くらいのかたに考えるための情報を提供したいと考えています。

.....

個人的な体験は体験として尊重しなくてはなりません。でも、それを普遍化しようと思うなら、一度の体験では無理です。

....

「水が健康」というのは、キャッチフレーズとしてはいいですが、実体をともなわないので。

 水質検査で常識的な意味での水質を調べるのは重要だと思います。妙なものが混じっているとよくないでしょうね。ただ、日本の上水道は安全性が極めて高いので(世界的に見れば、蛇口から出る水をそのまま飲んでも大丈夫な国というのは、それだけでも極めて恵まれていることがわかります)、あとは好みでカルキ抜きなどすれば、充分に「健康な水」と言えるでしょう。

 もし、水の「波動」のことを言っておられるなら、それはあんまり意味ないです。

.....

>水は物質だけど、そこにも人は心をうつしている。

はい、人はそこに心をうつします。でも、水は人の心をうつしません。

それは、水というのが心を持たない物質にすぎないからです。

心や言葉は、僕たち人間にだけ(あるいは、どれほど範囲を広げたとしても、動物にだけ)与えられた大事なものです。

それを大事にしたいと、僕も考えています。言葉の善し悪しを水に教わるのは・・・人間に与えられたかけがえのない「心」を冒涜することのように思えてなりません。

......

おとぎ話と認識した上で、「好き」と言われる分にはまったく問題ないと思います。それは健全な立場ですよ。

その点、江本氏はその「おとぎ話」をあたかも事実であるかのように言うから罪深いのですが。

.....

波動測定器が量っているのは、所詮は測定者のなにかなので(昔のバージョンでは測定者の電気抵抗)、機械としては意味ないです。ダウジング・ロッドみたいなもんです。測定者の勘を表現する装置とでも言えば、多少は聞こえがいいでしょうか。しかし、中身がない機械にしては、高すぎます。

実験については、江本氏の実験は科学的な実験とは呼べないということです。科学者が相手にしないのは、主として(1)江本実験を誰も科学と認めていないから(2)科学的には完全に決着がついているから、の2点によります。

...

こういう書き込みをしていると誤解されがちなのですが、51にも書いたように、すごく頭が固くて不思議なことはなんでもかんでも否定するのが科学者というわけではないんです。

むしろ、不思議なことが好きだから、科学をやっているわけです。ただ、「水からの伝言」の場合は、不思議と思う以前に間違っているので(^^

科学の立場としては

(1)水は無生物なので、言葉を理解しない

(2)人間の意志は物質に影響を与えない

の2点は譲れない、ということでいいと思います。

....

言葉は当然人間に影響します。無意識に影響することも多いです。それは人間が言葉を理解するからですね。

一方、"言葉が水に影響する"というのは非常に強い主張で、物理学のかなり大きな部分を変更しない限り、受け入れられません。

だから、それだけ強い証拠が必要となるわけです。江本グループの写真はよく撮れてるのですが、証拠能力は皆無なんです。

.....

内気功と外気功では話がだいぶ違います。人間は訓練によって肉体のかなりの部分をコントロールできるようですね。僕も詳しくないので、どうコントロールできるかまでは書けませんが。

ただ、自分の意志が自分の肉体に影響を与えること自体は、なんら科学に反することではありません。それを「気」と呼ぶのも、説明原理としての言葉だと考えれば、特におかしくはないと思います。医学の人は怒るかもしれませんが(^^。

他者に影響を与える「外気功」ほうも、態度や「気合い」などで相手の心に影響を与えれば、それが身体にも影響を与えうるでしょう。「相手の気迫に呑まれる」なんていうのは、そういうことですよね。

僕はよくロックのライブに行くのですが、ときどきステージに現れた瞬間に(まだなんの音も出していないのに)客の心をつかんでしまう人たちがいます。あれも「気迫」(怖いわけではないけど)ですね。カリスマ性みたいなもんかな。

ただ、「遠隔外気功」、つまり、目の前にいない人に「気」を送るというのは、さすがに無理です

「病は気から」は部分的に真実です。精神的ストレスによる病気はありますし。ただ、「すべての病は気から」だと思いこんじゃうと、トンデモ治療家になっちゃいますね。

.....

「想念」はあるかといえば、自分の心の中にはたしかにあって、自分に影響するし、言葉や態度を通じて他人にも影響します。そういう意味では「ある」でいいのです。

でも、遠方の物質(無生物)に影響するような想念は、科学の枠内では認められません。物理学の大変更が必要になりますから。

僕らも"思ったとおりになった"という経験はするのですが、それは「思い」と「現象」が単に一致しただけで、「思ったから」「現象が生じた」という因果関係ではないんです。実際には"思ったけど何も起きなかった"という経験のほうが多いけれど、それは記憶に残らないというのが、普通の解釈ですね。

雲の話はだいぶ前に書いたとおり、大雨の日の雨雲は消せるか、という質問でだいたい尽きていると思います。

....

なにかが「ある」ことは証明できても、「ない」ことは証明できないというのは、科学論理の基本ですね。ときどき「ないというなら、証明してみせろ」と言われることがあるのですが、それは論理的に不可能です。だから、立証責任は「ある」と主張する側にあります。

"原理的にありうるか"とか"それが真実なら、現代科学の枠組をどれほど大きく変更しなくてはならないか"とかが、最初の段階での重要な判断基準になっているということですね。

「水からの伝言」はその意味で、"予選落ち"なわけです。

ひと言で"ニセ科学への対応はこうあるべし"とはいいがたくて、"ニセ"度合いにより、ケースバイケースなんです。充分にニセ科学であることがはっきりしている場合については、おっしゃるとおり、「ない」と言い切るのも科学者の責任だと思います。

さすがに「水からの伝言」に対して、「あるともないとも言えない」なんて言ってるまともな科学者はいないのじゃないかしら。「水からの伝言」に対する科学者の態度で、大問題なのは、多くの科学者が"無視"していることですね。

....

実験事実としては、人間の目は光子一個を捉えられるほどに感度がいいことが知られています。人間の感覚器官そのものは、驚くほど感度がいいのです。

では、なぜ、人間が光子一個を認識しないのかと言えば、それは脳の働きがそうなっているからです。人間は進化によって脳の機能を獲得してきました。認識の分解能があまりに高いと、むしろ生存に不利だったのかもしれませんね。

"心"は確かに物質としての脳が生み出したもので、脳は素粒子でできているけれど、だからといって素粒子が心を持つわけではありません。そう考えておられるとすれば、それはあまりにも行き過ぎた要素還元論だし、生物とりわけ人間の尊厳への冒涜であるように思えます。

実際には、心を持てる物質というのは、少なくとも"脳"程度には複雑な構造でなくてはならないということです。地球上でそれが実現したのは生物の脳だけです。脳や心は「進化」が生み出した素晴らしい作品であって、決して素粒子がもともと持っていた性質ではありません。

言葉は「人間の素粒子」に影響するのではなく、あくまでも「人間の心」に影響するのです。だから、「水の素粒子」には影響しません。心を持てるほどに進化したものだけが、言葉の影響を受けることができます。

「エネルギー」という言葉は大きくふたつの違った意味で使われます。科学用語としての「エネルギー」には厳密な意味があり、「言葉のもつエネルギー」などという使い方はできません。

もうひとつは、日常用語としての「エネルギー」で、こちらは「愛はエネルギー」(松原みきの歌の題ですが、知らないよね(^^;))とか、「あの人はエネルギーにあふれている」とか、まあいろいろな使い方が可能です。「言葉のもつエネルギー」はこちらです。

この同じ言葉だけどまったく意味が違っているふたつをなんとなく同一視するのが、ニセ科学のやりかたのひとつです。でも、この区別はすごく重要。

"言葉にはたしかにエネルギーがあるけれど、それは物理学のエネルギーとは別物であって、あくまでも人の心にだけ働きかけるもの"ということですね。

"全部の答えが正しい"ということは、少なくとも論理的にはありえません。論理的に相反するものは、一方だけが正しいか、どちらも誤りかですね。

.....

僕は

「水からの伝言」は科学的に間違い

「マイナスイオン」は科学的に間違い

「血液型性格判断」は科学的に間違い

と断言しています。しかし、その意味合いはかなり違っています。

「水からの伝言」は検証するまでもなく間違い。

「マイナスイオン」は定義もなければ実験もないので門前払い

「血液型性格判断」は、原理的にはありうるが、徹底的な心理学研究によって有意さが出なかったので、検証の結果として間違い。

科学者は断言を避ける傾向があるので、それは反省すべきとは思いますが、"ニセ度"の問題は頭にいれておくべきことです。

"ニセ度"の低い部分では、科学とニセ科学のあいだにグレーゾーンがあって、そこの解釈はかなりの程度まで個人の主観によります。

もちろん、上に挙げたみっつはグレーゾーンから遠く離れた明白な「ニセ科学」ですから、ニセと断言しておけばよいのです

学校で教えられている現状はまずいです。でも、それに関していうと、「あるかもしれない」程度のニセ度のものだって、「ある」として教えてはいけないでしょう。

....

「人間に心がある」ことについては証明が必要ですか? 僕は証明が必要だと思いません。人間には心があるというのは、誰もが認める常識なのでは?

それに対して、「水に心がある」は証明を要します。そう主張する側が証明しないかぎり、だめです。

>証明できなくても、正しい可能性を秘めている仮説は沢山あるということ

もちろん、論理的にはそのとおりです。沢山どころか、仮説でよければ無限に作れます。

「水は心を持つ」という仮説があるなら、「水はそのままでは心を持たないが、塩をいれると心を持つ」という仮説も同じ程度にありえます。「塩をいれても心を持たないが、実は砂糖をいれると心を持つ」も同程度に有効な仮説でしょう。そうやって無限に仮説を作ることができますね。「水は心を持たないが、アルコールは心を持つ」でもいいでしょう。少なくともアルコールは人の心に(生理学的に)影響しますから、水よりも信憑性が高いかもしれません。

実際には、論理的にありうる仮説すべてが同等の資格を持つわけではありません。"論理的じゃない"と書かれましたが、僕なら"論理だけじゃない"と言います。

僕たちは、さまざまな仮説に対して、現在の知識に基づいて重み付けをします。「どの程度、ありそうか」を考えるわけです。「水が心を持つ」は論理的にありうる仮説ですが、僕たちの知識からすれば「ありえない」仮説です。

上で"ニセ度"の話を書きましたが、この"ありそう度"はもっと重要です

....

インターネットでは、逆の結果やあいまいな結果も報告されています。

53で紹介したサイトやshuheiさんの日記をご覧いただくといいと思いますが、3個でなく、たくさんの個数を試すのがポイントで、そうすると「言葉によらない」ことがわかるはずです。

(それから、「無視」は解釈をあいまいにするので、「ありがとう」と「ばかやろう」だけにしたほうがいいでしょう)

インターネットで検索すると、成功例の報告のほうが多いと思いますが、この点については「本のとおりにならなかったので、やりかたが悪いと思って報告しなかった」ケースが多いからでしょう。


2005/10/26 水伝: 札幌市教育委員会後援のイベントにて

カテゴリー: ニセ科学,水からの伝言

10/30にあるイベントなのですが、後援は札幌市と市教育委員会。イベントの趣旨はよいと思うし、ライブもいいとおもうのですが、「水の結晶」の講演会を大々的にやることになっているのはまずいと思う。↓

http://rera.kiraku.org/reratop.html

趣旨に賛同して「後援」の名前を貸すだけで、中身の検証はしていないのだとは思いますが、それでも市教育委員会が後援しちゃうのはやはり問題でしょう。

なんたって、北大低温研のお膝元ですよ、札幌は! 中谷宇吉郎の業績を踏みにじる行為ですがな!

低温研から教育委員会に抗議してもらえるといいかも。

どうしてもこの手のテーマはニューエイジ寄りになりやすいんだよねえ。それがとても悲しい。なんで、ニューエイジに行かなきゃならんのか。


2005/10/24 ニセ科学の授業

カテゴリー: 教育

四月頃に「ニセ科学入門」の授業は来年度で終わりかも、って書いたんですが、じゃあ今年はいつやるの? と思ってシラバスを見たところ、今年は「開講せず」になってました。ががーん(死語)。

オムニバス講義の一回なので、親授業が「開講せず」になっちゃうと、やれないのです。親授業が開講できない理由もよくわかっているので、しょうがないのですが。

というわけで、今年度、阪大では「ニセ科学入門」がありません。

僕に「ニセ科学入門」の授業(セミナー・講演etc.)をやらせようという奇特な大学(など)ありましたら、ご連絡ください


2005/10/21 Saturday Afternoon Physics

カテゴリー: イベント・告知

明日は高校生向けのSaturday Afternoon Physicsという企画でしゃべるとです。「秩序と無秩序」という題はつけたものの、まだ全然準備していない。なにしゃべるかも決めてない。印刷して配るから事前にパワーポイントのファイルをちょうだいと言われたけど、まだタイトルページしかないので、出せないものは出せない。しょうがないので、明日の3時までに自分で200部プリントして行くことに。

「明日」というか、あと3分で今日だなあ。

高校生限定な上に、すでに定員いっぱいで締め切っているので、予約してないかたははいれません。ごめんね。


2005/10/20 「水伝」授業: 実践している先生発見?

カテゴリー: ニセ科学,水からの伝言

速報! 河内長野まで行かなくてもすむかも。

なぜなら、息子の通う小学校にも実践してる先生がいるらしいから。

そんなん、うれしくもなんともないよ。

要確認、なる早、即アポ。

確率を考えると、全国ではものすごい数の先生が実践しているということでしょう。


2005/10/20 blog, コメント, 消失

カテゴリー: ニセ科学

「水からの伝言」に関連して、ある人のblogのある記事に二度ほどコメントをつけた。批判というほど強いものではなかったとは思うけれども、コメントされた側は強い批判と感じたかもしれない。よくわからない。少なくとも、最初の返答はそれなりに友好的で意味のあるものだったような気がする。

 と思ったら、そのblogが丸ごと消えてしまった。記事が消えたのではなく、blog全体がなくなってしまったように見える。2,3日前に気づいたのだが、今も見られないので、やはりなくなったのだろう。

 問題はこうだ。blog全体をなくしてしまったのは、僕のコメントと関係があるのか。仮にそうだとしたら、僕はそれに対してなにを感じるべきか、あるいは、なにかを感じるべきか。


2005/10/18 かわいい物理: あすは光量子仮説

カテゴリー: イベント・告知

そうこうしているうちに「かわいい物理」の第二回の日がやってきてしまいます。前回がブラウン運動で今回が光量子仮説。アインシュタイン1905年の三つの仕事のうちでは光量子仮説が最難関だとは予想していたのだけど、や、これは困った(^^;。いや、「困った」っていう告知もどうかとは思いますが。


2005/10/09 水からの伝言: 参観授業

カテゴリー: ニセ科学,水からの伝言

ある人のblogによれば、どうやら10/7(金)に河内長野近辺の小学校で一年生の参観授業として「水からの伝言」道徳授業が行われたようです。河内長野なら、一日つぶせば話を聞きにいける程度の場所なので、これがどこの小学校のなんという先生なのか、ぜひ知りたいところです。情報をお持ちのかたがおられたら、メールください(先生の名前をこのblogに書くのはご遠慮ください)

ちなみに、コメント欄を読むと、kikulogや天羽さんのサイトを引用して注意をうながしているかたがおられたのですが(引用されていたので、発見できたわけです)、blogの書き手(生徒のお母さん)のほうは完全な「水伝」(に限らず)信奉者で、例によって"科学的根拠はまだないが、そういうことがあるならすてきでしょう"的な返事です。僕も書き込もうかとも考えたのですが、注意しておられるかたのコメントで完全に尽きているので、とりあえずは静観しています。書きにいくかもしれませんが、たぶん効果はない。

ビリーバーなだけで普通のお母さんと思われるので、今はサイトのURLをここに書きません。


2005/10/07 Y染色体

カテゴリー: ニセ科学

前に話題になった「Y染色体からみた日本人」(中堀豊、岩波科学ライブラリー)を流し読み。

いろいろ面白いことが書いてありますが、それはさておき。時節柄天皇家とY染色体についても2ページほど割かれています。ちょっと抜粋。

"女帝は一代限りで、天皇家は男性の系譜をもって続いてきたという論調もある。しかし、このようにクローズアップされた一家系で、一回もY染色体が途絶えなかったなどということは確率的に言ってまずありえない。どこかでごまかしが行われているか、外からのY染色体の入り込みがあると思う"

普通はそう考えるもんだと思いますね。

もちろん、女性天皇の可否をY染色体で議論してしまう人たちがそもそも間違っているのですが、この本ではそこまでは書けないでしょう


2005/10/06 ゼロ磁場で村おこし

カテゴリー: ニセ科学

んー、このサイトはずいぶん前にも見た記憶があるのだけど、いろいろあって再発見↓

http://www.vill.hase.nagano.jp/hase/ki/

串間市といい、ここといい、自治体が率先してニセ科学だのオカルトだのを推進するのは、まずいだろう。

なんか、いろんなことがいやになってきますね(^^;


2005/10/06 水伝映画?

カテゴリー: ニセ科学,水からの伝言

mixiの水伝信奉者コミュニティに出ていた告知です。

映画というと"What the beep do we know?"だけを警戒していたのですが、これはまったくノーチェックでした。

...........

「水からの伝言」(江本勝著)を題材にした映画「ストーンエイジ」の上映が始ってます。

10月9日19時45分〜高輪プリンスホテル、船井幸雄オープンワールドにて

10月11日 18時30〜霞ヶ関イイノホール

10月26日 14時30〜 名古屋北文化小劇場ホール

11月11日 川崎エポック中原

11月16日 文京シビックホール

総合お問合せ先●映画「ストーンエイジ」上映事務局 

TEL: 03-3511-7031

出演は黒田勇樹、佐藤藍子、柴田理恵、寺田農、北村和夫他