さっき、「マイナスイオンなんていうものはない、と学生が言う」と言われたのですが、さてこれは難しい。
個々のイオンはあります。「負の大気イオン」というものはあるし、たぶんコロナ放電で発生する。それがなにかと言われれば、酸素やら硝酸やらに水がついたものと思われる。また、水を破砕すると帯電した水クラスターができるというのは、たぶん正しいのでしょう。
一方、「プラスイオンは身体に悪く、マイナスイオンは身体によい」と言うときの「マイナスイオン」は「ある」とも「ない」とも言える。「コロナ放電で発生する大気イオンのことだ」というなら、それはあるわけですが、それが身体によいという根拠はない。「帯電した水クラスターのことだ」というなら、それも同じ。「トルマリンから出るものだ」というなら、それは出ているかどうかすらあやしい。「マイナスイオン水に含まれるものだ」というなら、少なくともそれは大気イオンでも帯電した水クラスターでもないので、なんだかわからない。
BPO/放送倫理・番組向上機構の「放送と青少年に関する委員会」のページに2006年6月分の「視聴者からの意見」が公開されました↓
http://www.bpo.gr.jp/youth/f-shichosha.html
「非科学的事柄を扱う番組への批判(2件)」は例の「キンスマ」への意見です。とりあえず、こういう内容が公開されるのは大事。もう少しあるかと思ったけど、2件でしたね。1件は僕でもう1件も誰だか知ってるので、全然知らない人の意見があればよかった
8/20にうちの地元でEMのシンポジウムがあるそうです。最後にご本尊である比嘉さんの講演もある。
うーむ、顔を見に行きたいところですが、僕はその日、夕方からライブをするので、EMどころではありません(^^
僕はEMをニセ科学だと考えていますが、なんの役にも立たないわけではなさそうなところが微妙です。「他の微生物資材に比べて、特に優れた点はない(むしろ劣る)」というのが現在の評価でしょう。
それだけならいいんだけど、比嘉さんの発言はまったくトンデモだし、EM支持者はEMを絶対視する傾向が強い。ニセ科学としての問題はその「絶対化」の部分にあると思います。
これが小学校等で環境教育に使われ、小学生に川や湖にEM菌を投入させたりしているのは問題です。「EM絶対視」は教育上よろしくない。「EMで環境問題は解決」などと思われたら、まじめに環境に取り組んでる人の立つ瀬がないしね
教育委員会が後援だなあ・・・EMは対応が難しいんだよなあ
おったまげ研修会
8/20 13:00-15:00 イナホール(兵庫県川辺郡猪名川町)
主催: NPO法人 関西イーエム普及協会
内容:
1 川西市学校関係への取り組み (小学生や中学生も発表。うーん、だから子供を利用するなっていうのに)
2 農業関係
3 「EMで美しく健康なふるさとづくり」比嘉照夫
前売り1000円・・・うーむ
左巻健男さんが中心となって、ニセ科学についての一般向けシンポジウムを行います。僕もしゃべります
............
−−−具体的なニセ科学を例にしながら、ニセ科学が跋扈するのは
どうしてか?どうニセ科学と向き合うとよいのか?騙されないセン
ス、リテラシーを育てるには?等を一緒に考え合いませんか−−−
●8月26日(土)13:30〜17:50
●京都会場:同志社女子大学今出川キャンパス(心和館 大講義室)
(今出川通り:地下鉄今出川駅歩5分、京阪出町柳駅歩10分)
http://www.dwc.doshisha.ac.jp/access/campus_map/02.html
8心和館 大講義室(正門を入り、右へ少し行って左折。女子中高と
テニスコートの間を北へ。)
●9月2日(土)13:30〜17:50
●東京会場:学習院中・高等科(501・502教室)
(JR山手線目白駅徒歩5分、都電荒川線鬼子母神電停徒歩7分)
http://www.gakushuin.ac.jp/mejiro.html
目白駅改札を出て右(出口は1ヶ所)、2つ目の信号前の正門を入り斜め左へ
※お車でのご来場はご遠慮下さい。
●日程(共通)
13:00〜受付
13:30〜14:20 ニセ科学と科学技術リテラシー(左巻健男@同志社女子大)
14:30〜15:20 『水からの伝言』のニセ科学(菊池誠@大阪大)
15:30〜16:20 「マイナスイオン」どこがニセ科学か(小波秀雄@京都女子大)
16:30〜17:50 大討論
●参加費:無料
●申込先:E-mail:rika99@rika.org
参加ご希望の方は必要事項をご記入のうえ、京都会場は
8月19日(土)、東京会場は8月26日までにE-mailにてお申し込みく
ださい。会場の定員になり次第締切とさせていただきます。※当日
は、E-mail返信でお送りする受付番号を必ずお持ちください
(例:「京都13番 左巻健男」など)。
申込E-mailの題名は、ニセ科学フォーラム(京都あるいは東京のど
ちらかを記入)としてください。本文に、
・8/26京都あるいは9/2東京
・お名前
・所属(勤務先など)
・電話
・返信受け取り用E-mailアドレス
をご記載ください。2人以上でお申し込みの場合は、一人一人別々に
以上の内容をご記載願います。※お送りいただいた個人情報につい
ては、本フォーラムのためにのみ使用するものとします
●JST研究開発テーマ:「21世紀の科学技術リテラシー」中の「市民
の科学技術リテラシーとしての基本的用語の研究」(研究代表:左巻
健男[同志社女子大学現代社会学部現代こども学科・教授])の研究
の一環として開催。
http://www.jst.go.jp/pr/info/info231/shiryou4.html
●共催:新理科教育フォーラム(代表:左巻健男):新理科教育ML
を運営。
別トピックにmocoさんが書いてくださったコメントですが、いろいろなかたの参考になりそうなので、独立したトピックとして転載させていただきます。
もちろん、直接お話をして理解していただける先生なら、そのほうがよいに決まっています。しかし、埒があかないときの交渉窓口は知っておいたほうがよさそうです
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初めて書かせていただきます。高校の教員をしています。
学校現場はかなり教員の自由裁量に任されている部分が多く、「水の結晶」にはまっている教員がいても、なかなか問題にはなりづらい現実があります。
もし私と同じ勤務校でそんな授業を行う教員がいたとしても、(私は高校教員なのでそんなことはないと思いますが)その後の職場内の人間関係が気がかりで、見て見ぬふりをしてしまうかもしれません。
管理職もその教員が最低限度の技量を持っていて、「学級崩壊」状態になっていなければ、「水伝」のようないかがわしい教材を使っていることがわかっていても、「結果オーライ」で目をつぶっているのかもしれません。その教員を転勤で出しても、代わりに配属される教員が出す教員以上の力量を持っているとは限らないので、(ポーカーでいえば、捨てたカードの代わりに引くカードが元よりいい可能性の高低)最低限の力量を持っていれば、たとえそれがTOSSの怪しげな追試ばかりであったとしても、「チェンジ」するのはためらってしまいます。
そのような学校社会に影響を与えられるのは、「保護者の要望」が一番です。「ものをいう保護者」の声が大きければ無視はできません。声を大きくする方法の一つが「数の論理」で、多くの保護者から同様の苦情が集まれば効果はすぐに現れるでしょう。ただ、「子どもを人質に取られている」ように感じていらしてそれがしづらければ、「声が大きく反響するところ」に訴える方法があります。
「教育委員会」はもっとも身近な窓口ですが、各市町村の「教育委員」は、たいてい一般行政職員にすぎず、「授業」や「科学」に対しては全くの素人です。ですから市町村教委に苦情を言っても埒があかないことは考えられます。
ですが、「都道府県」レベルの教育委員会には「指導主事」や「指導主査」という役職を持った人がいます。これは「現場の優秀な教員」の中から選抜されてその地位についた教員(教員の先生役)なので、「授業」やそれぞれの専門科目のスペシャリストです。立場も「現場教員への指導者」ですから、いい加減な授業にはきちんと「指導」を入れてもらうことができます。保護者の方から「こんな授業をされて困っている」ということを相談されたら、きちんとした対応をしていただけると思います。
私の子どもはまだ小学校にはいる年ではありませんが、入学後に「水伝授業」をされたらどう対応するか、いろいろと考たりしていたので、内部事情がいくらかわかっている者が考えた、同業者にもっとも効果的なトンデモ授業対応策です。