200704のブログ

記事一覧
カテゴリー別記事一覧

2007/04/30 5/2ニュースの深層
2007/04/21 今日から「オーラの泉」はゴールデン(批判はテレビ局とBPOへ)
2007/04/17 大学で数学を学ぶということ
2007/04/14 「EX大衆」5月号
2007/04/13 「グラスハートが割れないように」小川一水(SF Japan)
2007/04/12 Kurt Vonnegut (Jr.)
2007/04/11 Invitation誌
2007/04/08 朝日新聞「大学+α」は「ニセ科学(について)」
2007/04/07 WHOよりも浜六郎氏の言っていることを選ぶのはおかしいでしょう
2007/04/04 「あるある」捏造検証番組
2007/04/03 「七時間目のUFO研究」藤野恵美、青い鳥文庫

2007/04/30 5/2ニュースの深層

カテゴリー: ニセ科学

ばたばたして、ブログのコメントにもお返事できてません。すみません・・・て、いつものことか(^^;

今日は休日だというのに、大学祭の研究室公開でした。

 

5/2の朝日ニュースター(衛星チャンネル)「ニュースの深層」というのに出て、ニセ科学の話をするみたいです。宮崎哲弥氏が担当の回。

このチャンネル、どんな人が見るのかな。


2007/04/21 今日から「オーラの泉」はゴールデン(批判はテレビ局とBPOへ)

カテゴリー: オカルト・スピリチュアル

というわけで、「全国霊感商法対策弁護士連絡会」の要望書も「視聴率さえ取れれば」というテレビ局の論理の前には何の効果もなかったようで、「オーラの泉」がゴールデンタイムに移ります。今日は2時間の大特番。駄目すぎです

 

「あるある」の教訓はまったく活かされないようです。もちろん、超能力捜査の局だから、しょうがないのかもしれませんが。同局の報道の人たちにコメントを聞きたいところです。報道の人は、これでいいんですか。

テレビは今大変な状況にあります。BPOが実効性を持たなければ、検閲が始まってしまうかもしれないという異常事態です。この状況下で「オーラの泉」をゴールデンタイムに移す意味は非常に大きいですね。まさか、そういう状況を理解していないとは思えないのですが。

 

念のために言っておくと、僕は「検閲」には断固として反対で、「表現の自由」「報道の自由」は民主主義の根幹にかかわる「何があっても守るべきもの」だと考えています。もちろん、我々には「批判する自由」もあるわけです。

BPOの役割は非常に大きくなっており、テレビ局はBPOを無視すると自分の首を絞めることになりますね。

 

僕は、「オーラの泉」がゴールデンタイムに移ることに断固として反対です。「ソフト路線だからいい」というのは大間違いです。これによる「影響」というものを考えなくては。

テレビ関係者はオウム真理教事件を忘れてはならない。それはテレビ関係者の義務です。坂本弁護士一家事件でテレビ局が「果たしてしまった」役割を忘れるわけにはいかないでしょう。テレビはそういうものを背負っているのです。

 

ゴールデンに移ったことをきっかけに批判が高まって打ち切りになる、というストーリーを希望。

 

[追記]

「オーラの泉」はニセ科学じゃないだろう、という意見を書く人もいそうなので、あらかじめ言っておくと、「ニセ科学しか批判しない」わけではありませんから。


2007/04/17 大学で数学を学ぶということ

カテゴリー: 教育

大学院生命機能研究科の「基礎数学」という科目を担当しています。

建前はともかく、要するに生物系の学生は数学を忘れてるから改めて数学をやっておきましょう、ということで、こういう科目があるのはいいことだと思います。というわけで、易しすぎると申し訳ないなあと思いつつ、大学2年くらいのレベル(1年かも)の数学をやってみました。

ところが、ある学生が、"自分は生命系の学部出身だが、大学では数学の授業がなかったのでまったくついていけない"、と言うのです。どんなに数学に力をいれていない大学でも、最低限教養課程での必修授業があるはずだと考えていたので、これには驚かされました。

 

どこの大学なのか訊かなかったのですが、本当に数学の授業がない(あるいは、あっても必修ではない)理系学部などというのがあるのだとすると、それは由々しき事態ですよ。正直に書きますが、そんなのは「理系」ではない。仮に遺伝子操作ができて微生物の培養ができて酵素反応の実験ができたとしても、数学を学んでいないなら、それは「理系の大学を出た」とは呼べません。

もちろん、教養課程での必修授業でどれほど身に付くかは疑問だし、実際使わなければ忘れてしまうわけですが、それでも最低限「通り一遍の数学」についての授業を受けておくのは、理系の「お作法」です。学んだ経験があるとないでは全然違います

 

本当にそんな大学があるのだとすれば、そこは理系の教育を放棄しているわけです。その大学が「理系」を謳うなら、そんなのは詐欺みたいなもんです。数学の知識が不要な理系学問はありませんよ。生物系に数学はいらないと考えている人がいるとしたら、それは大間違いです。最低でも「統計学」は必要なわけですよ。

 

あ、ここでの話は「難しい数学」のことではありません。数学を専門としない理系学生が大学1,2年で習う数学の話です


2007/04/14 「EX大衆」5月号

カテゴリー: ニセ科学

以前のエントリーで、どんだけくだらない雑誌にまで書くか、という話がちょろっと出ましたが、というわけで「EX大衆」5月号(双葉社)ね。「週刊大衆」のビジュアル版という位置づけでしょうかね。「週刊大衆」いうたら、ポスト・現代よりランクが下で「週刊実話」と同位置・・・なのかなと思いますが、読んだことないので知らない。EXは表紙だけ見るとFLASH EXCITINGと区別がつかない(FLASH EXCITINGを読んだことがないので、中身は知らない)。

という、そんな雑誌ですが、このP155に「異論反論! 流行科学理論」と題してニセ科学特集が掲載されています。山本弘さんもたくさん答えておられます。僕もいろいろ言ったり書いたりしています。特集としては「意外なほど」きちんとしているし、よくまとまっているので、お暇でかつ書店でこれを買うのに抵抗のないかたはご一読ください。たぶん、立ち読みするほうが買うより恥ずかしいです。女性のかたにはかなり敷居が高いでしょう。もっとも、これに書いたのは「普段からEX大衆を買ってる人」に読んでもらうためなんで、それでいいんですが。

ちなみに「世界秘密基地 驚愕ミステリー」という並木伸一郎氏に取材してるトンデモ系記事なんかも載っています。


2007/04/13 「グラスハートが割れないように」小川一水(SF Japan)

カテゴリー: 日 記

SF Japanの春号は「SF大賞」のパーティでおみやげとして貰ったものだったために、持っていることをすっかり忘れていました。どこかで(mixi?)誰かが(たぶん、よく知ってる人?)小川一水の小説を取り上げていたので、慌てて読んだ次第。さて

 

なんと、これはどまんなかの「水伝小説」です。ビリーバーの論理も科学者側の論理もまったくそのまんまです。こりゃすごい。

宇宙ものではないので、小川一水の短編集に収録されるとしても「宇宙もの以外集」が作れるほど作品がたまってから、ということになりそうです。というわけで、急いで書店でSF Japan春号を確保しましょう。

 

作中「水伝」の代わりに登場する「グラスハート」には、ひとつだけ「水伝」と本質的に違う部分があり、それが物語の結末につながるので、結末は現実の「水伝」と共有されませんね。

 

それにしても、これが話題にならないのはなぜ。小川一水なのに。SF Japanだから?


2007/04/12 Kurt Vonnegut (Jr.)

カテゴリー: 日 記

カート・ボネガットが亡くなりました。

僕にとってはまず第一に「スローターハウス5」の作者ですが、科学者なら「猫のゆりかご」に登場するアイス・ナインという「架空の氷」の印象が強いのではないでしょうか。実際、プリオンをアイス・ナインになぞらえられた論文なども存在するのです。アイス・ナインは相転移や秩序形成に興味を持つ人には常識のひとつでしょう。

もちろん、「タイタンの妖女」や「ローズウォーターさん・・・」など、傑作がたくさんあります。

 

ついでというわけではないですが、成毛滋さんが亡くなったそうです。合掌。


2007/04/11 Invitation誌

カテゴリー: ニセ科学

「ぴあ」が出しているInvitationという雑誌の4/10号がブックガイド特集で、僕も「ニセ科学」関連のブックガイドを書きました。新書ではなく、というコンセプトらしかったので(たぶん)、左巻さんの本は挙げられなかったんですが。同じ傾向の本が多すぎたと反省しています。


2007/04/08 朝日新聞「大学+α」は「ニセ科学(について)」

カテゴリー: イベント・告知

ほんとは先週からなんですが、朝日新聞大阪版月曜の「大学+α」というページに「ニセ科学」をテーマとした僕の「誌上講義」なるものが掲載されています。ブログ読者のみなさんには新味のある内容ではないです。

第二回が明日・・・なのかな。全三回の予定です。

 

asahi.comには掲載されていません。いずれ掲載されるのかどうかも、よくわかりません。


2007/04/07 WHOよりも浜六郎氏の言っていることを選ぶのはおかしいでしょう

カテゴリー: 日 記

しつこいようですが、今のマスコミの論調は新型インフルエンザのパンデミックよりもタミフルの副作用を重視しているようで、非常な焦燥感を憶えます。

「たかじんのそこまで言って委員会」の全体を見ることができましたが、誰もパンデミックのことを心配していないようです。製薬会社との癒着とか、そんな話ばかりです。

念のために書いておくと、WHOは「新型インフルエンザのパンデミック」を深刻な問題としてとりあげています。そんなことはWHOのウェブサイトを見れば一目瞭然です。トップページに出てますから。そして、そこにはタミフルの使用についてもきちんと書かれているわけです。タミフルは必要な薬ですよ。浜氏のいう「世界の常識」というのは、端的に嘘ですよね。

新型インフルエンザの危険についての認識の点でもタミフルの必要性についての認識の点でも、浜六郎氏の主張はことごとくWHOの主張と対立しています。だから、浜氏の意見をことさらに持ち上げるマスコミは、WHOよりも浜氏を信頼しているとしか思えない。なぜ、そんな馬鹿なことが起きるのか、僕にはまったく理解できません。

パンデミックを別にしても、「インフルエンザはただの風邪」「寝てれば治る」という浜氏の主張は全然だめなんですよ。毎年たくさんの人がインフルエンザで死んでいるわけです。そして、その数はタミフルの副作用による「飛び降り死」よりも圧倒的に多い(あんまりこういうことを大きく書きたくはないのですが)。「インフルエンザは人が死ぬ病気」です。

マスコミは浜氏以外の疫学や感染症の専門家に意見をきくべきだし、それ以上に、もっと多くの専門家がきちんと意見を述べるべきです。専門家が表に出てこないことに対して、強い不満を感じています。こんな話は、僕のような非専門家がブログに書いてたってだめなんですよ。

というわけで、とりあえず、感染症の専門家が書いたこれ↓

http://blog.moura.jp/influenza/

「パンデミック・フルー 新型インフルエンザ Xデー ハンドブック」(岡田晴恵)。

僕もさっき借りて読んだばかりなんですけど


2007/04/04 「あるある」捏造検証番組

カテゴリー: ニセ科学

[追記あり: 4/9]

みごとに見逃しました。

ある程度の内容は新聞や朝の「特ダネ」などで把握できましたが。

報告書も読んでみたいですね。関テレのウェブサイトにあるのかな

 

とりあえず、検証番組をご覧になったかたの感想を伺えればいいかなと

いろんなところで言ってるんですが、「捏造だったからだめ」というのは問題の矮小化ですよね。煙のないところに火をたてるのと、線香程度の火を山火事のように言うのは、本質的にそれほど違わないです

「あるある」だけの問題じゃないということのほうが重要

[追記: 4/9]

あるかたのご厚意により、番組を見ることができました。ありがとうございます


2007/04/03 「七時間目のUFO研究」藤野恵美、青い鳥文庫

カテゴリー: 日 記

[追記あり 4/6]

書店で子供向けの小説を探していて、たまたま手にとった講談社青い鳥文庫の一冊。

先月出たばかりの本です。僕はこの作者の名前も過去の作品もまったく知りませんでした。

扉を開いてみると、まず「カールセーガン 科学と悪霊を語る」(文庫版タイトルではないところがポイント)から「子供たちを科学から遠ざけるとき、われわれは子供たちの手から、将来生きるために必要な道具を取り上げているのである」という文章が引用されているのにびっくりして、読んでみました(子供に読ませてからね)。

 

「懐疑主義的ジュブナイル」とでも呼べばいいのかな。UFO目撃談とその真相、アダムスキー江尻なるUFOカウンセラーと彼の怪しいテレビ番組「デムパの沼」、それにはまる大人たち、そしてペットボトルロケットと科学。これらをきちんと「懐疑主義的」にまとめていくのですが、単純なハッピーエンドには終わらせず、苦い結末をつけるところなど、なかなかすごい作品です。

スピリチュアルやニセ科学にはまる大人に読ませたいですよ。小学生はこんなのを読むんだよ。

 

p185から引用

「簡単に理解できて、道徳的に正しくて、受け入れやすい答を聞ければ、人は安心できるんだ」

 

手にとってみてください。

お子さんにぜひ

[追記 4/6]

某所からの報告によると、Amazonでは「あわせて買いたい」本とか「この商品を買った人はこんな商品も買っています」とかが、すごいことになっているようです。その筋の人に売れているようです