200907のブログ

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2009/07/23 新型A(H1N1)はおさまらない
2009/07/18 アポロ月着陸の足跡(文字通り)
2009/07/17 機能性イオン協会勉強会資料(追記あり7/18)
2009/07/15 阪大大学院生による数学・物理の最前線への招待
2009/07/15 新型インフルエンザとスペイン・インフルエンザ
2009/07/11 機能性イオン協会勉強会(追記あり7/16)
2009/07/11 「おかしな科学」正誤表ver.1
2009/07/10 日食注意
2009/07/02 「おかしな科学」出ました
2009/07/02 波動には根拠がないよ(東京都生活文化スポーツ局)
2009/07/01 絶対安全信仰vs.リスク評価(追記あり)

2009/07/23 新型A(H1N1)はおさまらない

カテゴリー: サイエンス,インフルエンザとタミフル問題

7/22現在で国内の報告数累計4,433、死亡者0

推移については、7/10日までのグラフが最新なのですが

http://idsc.nih.go.jp/disease/swine_influenza/epi2009/090710epi.html

増え続けてますね。

このあとも見たいところですけど、「厚生労働省新型インフルエンザ対策推進本部事務局による情報収集方法が変更となったため、7月11日以降、毎日の更新はありません」だそうで、次はいつ更新されるのかな。


2009/07/18 アポロ月着陸の足跡(文字通り)

カテゴリー: サイエンス

mixiのコミュで知りました

NASAのLunar Reconnaissance Orbiterから送られてきた写真に、歴代のアポロ計画で月に残された月着陸船(の下部・・ですよね)が確認できるのだそうです。

http://www.nasa.gov/mission_pages/LRO/multimedia/lroimages/apollosites.html

「かぐや」の写真にアポロ15の噴射痕が写っていたのも驚きましたが、今回のこれもすごいですね。影がはっきり写っています。アポロ12以外のすべてが撮影されていて、12も来週には写真が撮れるだろうとのこと。また、今後の写真では解像度もよくなるそうです。アポロ14の写真では、文字通り「足跡」が確認できます(個々の足跡が見えるはずはないので、Footpathですが)


2009/07/17 機能性イオン協会勉強会資料(追記あり7/18)

カテゴリー: サイエンス

機能性イオン協会勉強会での配布資料

http://www.cp.cmc.osaka-u.ac.jp/~kikuchi/texts/minus_ion.pdf

当日のプレゼン

http://www.cp.cmc.osaka-u.ac.jp/~kikuchi/texts/ion.pdf

です。

議論の中身については、のちほどここに追加します

[追記7/18]

ぼちぼちと追記します。

しゃべった内容はおおむね「上のプレゼン」のとおりです。

特に「ブームとなったマイナスイオン」と「大気負イオン」の違いについて、文献からの引用をもとに議論しました。最後に「マイナスイオンの何がニセ科学だったか」をまとめました。このあたりは『ニセ科学入門』での記述も不充分だったし、あれを書いたあとでわかったこともたくさんあるので、『ニセ科学入門』も書き換えなくてはならないですね。

「マイナスイオンの健康効果を謳ったものはニセ科学であった」ということは、ずっと変わらない結論ですが。

 

さて、最後のパネルディスカッションについて。

いきなり「科学も宗教のようなものだ」「古い文献を読まずに批判するべきではない(木村・谷口の文献のこと)」「自分で実験せずに批判するのはおかしい」といった意見が出てきたので、厳しいやりとりになるかなあと覚悟したのですが(ちなみに、ディスカッションのメンバーはわかっていたので、この手の意見が出ること自体は想定の範囲内です)、議論は意外にあっさり終わりました。

これらの意見に対して言えることはあまりなくて、

(1)科学は万能でもないし、現代科学ですべてが解明されているわけでもない。しかし、かなりよくわかっていることもある。科学は方法である。科学は万能ではないが、だからといって科学的根拠がないものに根拠があるわけではない。希望や推測は根拠にならない。

(2)木村・谷口は入手困難である。Kruegerの75年段階の文献で過去の総括はされている。古い文献に出ていて、新しい文献に出ていないなら、認められていないと考えるべきである。

(3)提唱者の立証責任は科学のルールである。たとえば、二重盲検法を使っていない実験に「二重盲検ではない」と批判するために、実験する必要はない。過去の臨床研究がそのような意味で不充分であることはKruegerらが80年の文献ですでに注意している。ゲルマニウムに対する生活センターのコメントにあるとおり、科学的根拠を示す文献は必要であり、景品表示法改正によって、それを提示する責任は製造者にあることが明記された。

といった常識的なことを説明しました(もしかすると、一部はディスカッション以後に話したかも)。

これに対して、少々のやりとり以上の反論はなかったと思います。もちろん、心底納得していただくことは無理でしょうが、常識的な話しかしていないので、論理的には反論しがたいでしょう。

中でも景品表示法が改正されたことの意味が大きく、司会の江川氏も「科学的根拠を示す責任は製造者側にある」と解説されました。

まったく偶然ですが、浅田先生と僕のプレゼン資料に『エアロゾル研究』からの同じ文章の同じ部分が引用されていました。負イオンにまつわる怪しい話も多い、という趣旨の文章です。僕のプレゼンに『エアロゾル研究』やInternational Journal of Mass Spectroscopytに掲載されたNagato et al.の文献などがきちんと引用されていたこともあって、浅田先生からは「単に理不尽ないちゃもんをつけているやつではない」と思っていただけたのではないかと想像しています。

また、浅田先生がプレゼンのはじめに「マイナスイオンと呼ぶべきではない。負イオンだ」と言われたことが、僕の「マイナスイオンの健康効果はニセ科学、負イオンは普通の科学、負イオンの健康効果は未科学」という表現のサポートにもなったのではないかという気がします。実際、浅田先生の発表(健康効果の話はしていない)と僕の発表に齟齬はほとんどなかったと思います。

もちろん、みなさんに心から納得していただくことは難しいでしょう。「そうは言われても」と思われたかたが多かっただろうと思います。

ただ、みなさんに「イオンと名のつくものは全部だめだなどと言っているのではない」ということと「科学的根拠は重要である」ということは伝わったのではないでしょうか。

実はディスカッションの最初に「こういう会によく出る気になってくれた」と言われたのですが、喧嘩をしに行っているわけでもないですし、言うべきことを言うだけなので、「よく出て」というほどのことでもないのです。もちろん、激論になるのかなあとは思いましたが、喧嘩ではなくて議論であれば、「激」でもかまわないので。

結果としては激論ということもなく、冷静な議論で平穏無事に終わりました。有意義であったと思います。

その後の懇親会でいろいろ面白い話を伺ったのですが、それはオフレコ。

ちなみに、これは調べればすぐわかることなので書いておきますが、江川氏はかつて「三人衆」を絶賛する本を書いています(僕も読んでいるし、それについては懇親会で話しました)。それを知っていたので、どうなるかなあと心配(?)していたのですけど、今は「あの三人はでたらめであった」という認識のようです。

 

 

[さらに追記 7/18]

マイナスイオンがニセ科学だったことは、以前から多くの人が指摘してきたことで、その総括がたとえば2007年の「理系白書」でした。詳細を議論したという意味ではなくて、「ブームは終わり。やっぱり科学的根拠はなかったね」ということをみんなで確認したという程度の総括ですが、各メーカーのコメントがなんとも寂しげで、読み直してみても「終了感」いっぱいです。

今回の勉強会でも僕は「マイナスイオンの健康効果(を謳う商品)はニセ科学」と改めて強調したのですが、それについての本質的な反論はもうないのだと思います。

僕は最後に「マイナスイオン・ブームについての反省はしておくべきである」と申し上げてきました。マイナスイオン・ブーム自体、過去の歴史の繰り返しだったわけで、ちゃんと総括・反省しておかないといかんでしょう。

今後、「特定の発生法で作られた大気負イオンには、これこれの生理効果がある」ということがきちんと確認できる可能性はあります。応用価値のない微妙な効果である可能性が高いとは思いますが、もしかすると、非常にうまい条件で何か意味のある効果が見つかるかもしれません。それについて健康応用が可能になるかもしれません。要はそれがきちんと科学的に検証されていればいいわけです。

ただ、誤解のないように書いておくと、仮にそのような効果が確認されたとしても、マイナスイオン・ブームが「検証されていない効果を謳った」という意味でニセ科学だったという事実は変わりません。


2009/07/15 阪大大学院生による数学・物理の最前線への招待

カテゴリー: イベント・告知

なにわ橋駅アートエリアB1(http://artarea-b1.jp/access.html)で以下のイベントがあります。

サイエンス・カフェ・・・なのかな

......................

阪大大学院生による数学・物理の最前線への招待3

7/16(木):18時半から二時間程度

プログラム:

阪大大学院生が数学と物理の最先端をご案内。テーマは、

西山尚志「逆問題とは」

河野泰宏「宇宙の始まりとクォーク・グルーオン・プラズマ」

並川健一「整数論の問題について」

講演時間は一人20分、残りはすべて質問の時間です。

カフェマスター:

浅野建一(理学研究科)、平川秀幸(CSCD)

....................

阪大大学院生による数学・物理の最前線への招待4

7/28(火):18時半から二時間程度

プログラム:

阪大大学院生が数学と物理の最先端をご案内。テーマは、

松宮亮平「中性子と原子核の世界」

高尾和人「多様体〜宇宙はこんな形かも!?〜」

田尻邦彦「自然界にはない不安定な原子核〜その特異な性質〜」

講演時間は一人20分、残りはすべて質問の時間です。

カフェマスター:

浅野建一(理学研究科)、平川秀幸(CSCD)


2009/07/15 新型インフルエンザとスペイン・インフルエンザ

カテゴリー: サイエンス,インフルエンザとタミフル問題

どう考えていいかわからないので、とりあえずエントリーだけ作っておきます。

すでにニュースになっていますが、新型インフルエンザに対する免疫を持つのは、スペイン・インフルエンザを経験した90歳以上の人、という研究が発表されています。

http://www.nature.com/news/2009/090713/full/news.2009.680.html

ほかにもいろいろ書いてあって、やはり「危険性は季節性と同じ程度」と思い込んでいてはいけないようです。

それにしては、日本での関心が薄れているような気がして心配です

詳しく書いている余裕がなくてすみません。新聞のニュース記事でもいいですが、上のネイチャーのニュースのほうが詳しいので、そちらを読んで考えてください


2009/07/11 機能性イオン協会勉強会(追記あり7/16)

カテゴリー: イベント・告知

「機能性イオン協会」の依頼で「勉強会」でしゃべることになりました。

7/16(木) 大阪市立青少年文化創造ステーション KOKO PLAZA

送られてきたプログラム

...........................

14:20 開会宣言

14:25-14:55 菊池「科学者にとってマイナスイオン・ブームの何が問題だったのか」

14:55-15:25 浅田敏勝(福井工大工学部教授)「空気イオンの効用について」

15:35-16:45 討論「マイナスイオンは偽科学なのか」

パネラー: 菊池、浅田、久保田昌治(日本機能性イオン協会理事長)、山田眞裕(東アジア機能性イオン協会会長)

コーディネーター: 江川芳信(日本機能性イオン協会理事)

...........................

福井工大の浅田先生は

http://www.softenergy1.com/far/semi_f/sem-104_info.html

で『空気イオンの特性・評価とニセ科学批判者に忠告する』と題した講演を行なっておられるかたです。

それによると

  1.日本初のStandardを国際規格へ

  2.JIS-B-9929の制定と理解の徹底

  3.空気イオンは明確に定義されている

  4.Technical Termと日常語の違いと誤解

  5.空気イオンの効能とは?

というお話をされたようです。残念ながらそのセミナーには参加せず、「忠告」を伺い損ねたのですが、今回伺えるかもしれません。今回は効能等のお話をされるようです。

僕は以下の要旨を送りました

.......................

マイナスイオン・ブームに困惑させられた科学者は多い。大手家電メーカーまでがこぞって商品を出したにもかかわらず、そもそもマイナスイオンという言葉が何を指しているのかよくわからなかったし、謳われている効果も検証されているとは思えなかった。もちろん、コロナ放電による除塵などは普通の技術であるが、マイナスイオン・ブームとはそのようなものではなく、検証されていない効果を売り物にしたものだった。ここでは、我々がマイナスイオン・ブームのどこに困惑させられたか、そして何が問題だと考えたかを説明し、議論の材料としたい。

.......................

レジュメも送ったのですが、長いので、のちほどウェブにアップします。

単純に「健康効果はまともに検証されていないし、ブームの火付け役となった山野井・堀口・菅原の本は読むとくらくらするくらいでたらめだった」という話を書いただけですが。

この会は会員限定ですが、批判的な研究者で議論に参加したい人がいれば、参加させてもらえそうです。大学関係者・研究者に限りますが、議論に参加したいかたがおられたら、至急ご連絡ください。

小波さん、どうですか

[追記 7/16]

というわけで行ってきました。

上に書いたように、「マイナスイオンブームのどこがおかしかったか」「マイナスイオンはニセ科学か」「科学的であるためには何が必要か」といった話をしました。

機能性イオン協会はもともと「トルマリンはだめ」という人たちの集まりのようで、また三人衆はすでに「過去の人扱い」なため、「ブームの問題点」についてはほとんど問題なし。「あの三人が言っていたのはでたらめ」というのがすでにコンセンサスのようでした。

「科学的であるためには」についてはかなりの議論になったのですが、「もちろん科学でわからないことはたくさんある」「立証責任は提唱者がわにある」「負イオンについての基礎研究はニセ科学ではない」「立証されていない健康効果を謳うのがマイナスイオンのニセ科学の部分」といったあたりを説明してきました。

「いんちきではない業者までニセ扱いされるので、ニセ科学という言葉はなんとかならないか」と言われたのは、少々申し訳ない気もしたのですが


2009/07/11 「おかしな科学」正誤表ver.1

カテゴリー: 日 記

「おかしな科学」の正誤表です。

中垣さんたちの粘菌実験のプロトコルを間違えたのが痛恨。というか、あとできちんと書こうと思ったまま、忘れていました。もとの文章のままだと、粘菌はかなりの天才です。

他は主としてタイポ。まだほかにもあるかもしれません。

それから、「自分は献本されてしかるべきである」とお思いのみなさん、ただいま手配中です。しばしお待ちください。

....正誤表ver.1.....

P4 L10

誤: どの話も「ニセ科学」とは違うのですが、否定されても「いいや、科学的に正しいんだ」なんて言い張ることでニセ科学の仲間入りをすることもあります。

正: 否定されても「いいや、科学的に正しいんだ」なんて言い張っていると、ニセ科学の仲間入りかもしれません。

P31 L5

誤: 小さな箱での中だから

正: 小さな箱の中だから

P33 L11

誤: 滝のそばが気持ちいいという話と

正: 滝のそばが気持ちいいという話とも

P146 L8

誤: 迷路の出口に餌を置いて粘菌を入り口に置くと、最初はいろいろな方向に伸びていくんだけど、

正: 迷路全体に粘菌を広げて、入り口と出口に餌を置くと、余分な道に広がっている部分がだんだん縮んでいって、

P154 最後から二行目

誤: ダンシングレボリューション

正: ダンスダンスレボリューション

P164 L9

誤: みんなが茂木さん

正: みんなが茂木さんを

P238 後ろから3行目

誤: それでも、

正: それなのに、

巻末プロフィール

誤: 血液型はZ座

正: 血液型はZ型


2009/07/10 日食注意

カテゴリー: サイエンス

すでにコメントはあったのですが、こういう注意はだいじなので、独立したエントリーにしておきます。

日食観察のしかたです。

http://www.astronomy2009.jp/ja/webproject/soecl/ng.html

赤外線による障害が多発しそうで心配ですね。

太陽を見るための道具として「ダメ」なものの例として、以下があげられています。

×黒い下敷き、色のついた下敷き

×アクリル板、プラスチック板

×CD、DVD

×スモークガラス

×黒いゴミ袋、お菓子の袋など

×写真撮影用の減光フィルター(NDフィルターなど)

×ろうそく等で煤(すす)を付けたガラス板

×現像済みフィルムの黒い部分(切れ端)

昔は「煤けたガラス」とか「黒い下敷き」で見たわけで、今でもその常識を信じている人は多いのではないでしょうか。僕は「黒い下敷き」の記憶があるなあ。

注意しましょう。


2009/07/02 「おかしな科学」出ました

カテゴリー: イベント・告知

渋谷研究所Xの研究成果をまとめた「おかしな科学」(楽工社)がすでに一部の書店で手にはいるようです。

想定読者層が「ニセ科学や擬似科学やオカルトにそんなに詳しくない人」なので、内容は濃くないです。「薄い」って怒らないでね。基本は「お笑い」です。

自分は献本されるはずである、とお思いのみなさんは、しばしお待ちください。まだ、手配していないので。

単純誤植やとても単純とは言えない直し忘れなどがいくつか見つかっているので、どこかにまとめます。


2009/07/02 波動には根拠がないよ(東京都生活文化スポーツ局)

カテゴリー: ニセ科学,波動

こんなお知らせが出ていたのですね

.....

「波動・情報転写による効果・性能をうたった商品」の表示に関する科学的視点からの調査結果について

http://www.shouhiseikatu.metro.tokyo.jp/hyoji/info/090610hadou.html

.....

怪しい商品の科学的根拠について、かなりがんばって調べている東京都生活文化スポーツ局ですが、これも画期的です。

「波動」に科学的根拠がなく、科学というよりオカルトに近いことは言うまでもないのですが(まあ、ニューエイジ思想のひとつということです)、科学者が「でたらめ」と言っていてもなかなか通じないので、こういう消費者問題を直接あつかっているところが「科学的根拠なし」と言ってくれることは重要です。


2009/07/01 絶対安全信仰vs.リスク評価(追記あり)

カテゴリー: 日 記

松永和紀さんのブログにあった記事です

http://blog.goo.ne.jp/wakilab/e/c0f77823af875784678926f0a7c570be

読むべき学術会議会長談話は

http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/division-6.html

の6/30付け「食品安全のための科学に関する会長談話」です。

ここでは、「リスク評価」と「リスク管理」の違いが理解されず、困難なリスク評価を行った科学者が不当に非難されている、と書かれています。

この問題は重要でしょう。

「リスク評価」はその後の意志決定と無関係に行われなくてはなりません。データが足りなければ、「最善」を尽くす以外にないでしょう。意志決定は、評価されたリスクと他の条件を総合して行われます。もちろん、これはこれで合理的な説明が要求されます。

その後の意志決定のことまでいわば「斟酌」して「リスク評価」を行うのは、やはり誤りです。この手のことは、それこそダム建設を前提とした環境アセスメントだの、空港建設を前提とした需要予測だので、いやになるほど目にしていますが、もちろんアセスメントや予測はその後の「意志決定」とは独立でなくてはなりません。結論ありきのアセスメントや予測は「科学」ではありえません。そういうものは非難されてしかるべきです。

意志決定と無関係に「リスク評価」が行われたのであれば、もしも非難するのだとすると、データの扱い方や統計的取り扱いに難があるなど、あくまでも「科学としておかしい」場合に限られるはずです。もちろん、科学的な妥当性をめぐる論争はあり得ます

リスク評価が妥当に行われたのであれば、「あいつがこういう評価を出したからいけないのだ」というのはおかど違いです。今回の学術会議会長談話は「おかど違い」と言っているわけです。

[追記]

下でからさんからご指摘いただいたポイントのうち、不同意の理由に「特に、その答申を出したことについて同専門調査会のメンバーの半数に当たる六人が辞任されるに至ったことを考えれば」とあるところは重要な問題かもしれません。

もう少し考える必要がありそうです。