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2008/04/29 憲法9条と911陰謀論、または安斎先生はどう考えておられるのだろう(追記あり5/2)
2008/04/25 明石家さんま・江本勝・水からの伝言
2008/04/16 SuperCon文部科学大臣賞
2008/04/16 webちくま
2008/04/10 ランダウ・リフシッツ物理学小教程「力学・場の理論」ちくま学芸文庫
2008/04/06 念のため、科学とニセ科学とグレーゾーンについて
2008/04/06 プロフィール
2008/04/03 江原番組に対するフジテレビの見解

2008/04/29 憲法9条と911陰謀論、または安斎先生はどう考えておられるのだろう(追記あり5/2)

カテゴリー: 陰謀論,9.11陰謀論

別のエントリーで話題になったことですが、目立たせるために新しいエントリーにしました。

 

安斎育郎先生が代表をしておられる「憲法9条メッセージ・プロジェクト」が出しているブックレットの中に「9,11 マスターキーから何が見える?」というのがあります。これが実は2006/10に開かれた「9 ・11 真相究明国際会議 in 東京」の講演録なのです。成澤宗男・ベンジャミンフルフォード・きくちゆみといった陰謀論肯定派のみなさんが語った記録で、奥菜秀次が大略「結局、肯定派は誰も公式報告を読んでいないことが明らかになった」と書いたあの会議です。もちろん、記録が出版されること自体に問題はないし、資料的価値もあると思うのですが(後で自分の発言をごまかそうとしても証拠として残るわけですし)、問題は出版元です。これにはとても驚かされました。

 

気になるのは2点

(1)安斎先生はこの件をどう考えておられるのだろう

(2)憲法9条を守ることと911陰謀論はまったく別の話だが、世間ではどの程度リンクしているのだろう。「9条堅持・陰謀論否定」の人たちは声を上げているのだろうか

 

僕が恐れているのは、「9条問題」や「平和運動」と「9.11陰謀論」とが一方的に関連づけられてしまうことです。これは本来なんの関係もない話。

9.11陰謀論(あくまでも一連の自作自演説のことです。もちろん、9.11同時多発テロそのものは陰謀によるものですし、9.11以後のアメリカの行動を陰謀と呼ぶこともできるでしょうが、それらのことではありません)は単にばかばかしいだけの妄想です。それを肯定するのは「自分は合理的判断ができません」と白状しているようなものです。そういう人に限って、資料も読まずに「自分の頭で考える」などと言いますが、冗談じゃないわけですよ。多少なりとも資料に目を通すのは基本中の基本。その上で「自分の頭で考える」んですよ。資料を見もせずに「考えられる」と思っている人たちは結局何も考えてないのです。

このブログにも陰謀論支持のくせに公式報告を見てもいない人とか英語だから読めないなんてふざけたことを言う人とかが来ましたが、そういう「本気じゃない人」はだめに決まっています。その程度の「本気度」には怒りをおぼえますよ。「英語だから読めない」なんてのは、自分が本気じゃないことを宣伝してるようなものです。それもわかんないようなら最低です。ダメダメです。本気なら辞書引きながら読め!

 

はっきり言いますが、9.11陰謀論肯定は平和運動に害を与えこそすれ、なんの益もありません。「9条堅持・911陰謀論否定」の立場のみなさんは、陰謀論否定の声をあげないとまずいですよ。そんなわけで、ここに改めて強く書いておきます。

 

安斎先生のメールアドレスが見あたらないから、手紙で訊くしかないですかね。僕は直接面識がないのですが、どなたかお知り合いのかたはおられますか。

 

メッセージ・プロジェクトのサイト↓

http://www.k3.dion.ne.jp/~k-9mp/

僕は、日本で9.11陰謀論を支持しているかたがたの動機が「正義感」や「善意」であることを疑ってはいませんが、動機がよければ中身を問わずに肯定するという立場はとりません。むしろ、動機が「正義感」や「善意」であるからこそ困ります。

「正義感」や「善意」で死者を冒涜するというのはダメでしょ。全然ダメでしょ。

どれほど動機がよくても、ダメなものにはダメと言いましょう。

(注: 奥菜秀次氏は、米国の陰謀論提唱者の一部が正義感でも善意でもない動機に基づいていることを指摘しています。陰謀論に与する人はその点も検討したほうがよいですよ)

 

追記(4/30)

K9MPの事務局長である須田稔氏(立命館大学名誉教授・アメリカ文学)のブログのこのへん↓

http://k9mp.at.webry.info/200804/article_7.html

に「9・11テロはアルカイダが実行したと誰がいつ検証したのか。9・11事件について多くの疑問点が指摘されているが、布施氏は解明したのか」(布施氏とは毎日新聞論説室の布施広氏のこと)と書かれています(shunsokuさんのコメントがついてますね)。このかたは陰謀論肯定か少なくとも共感しておられるようです。アメリカ文学が専門なのだから、英語は得意でしょう。「多くの疑問点」について、ご自身が公式報告などに当たられたのかどうか、非常に興味があります。一流大学(関西以外のかたにはわからないかもしれませんが、関西では関関同立が4大私学です)の教授をつとめたかたがこれでは、まったくもって頭が痛いです。

K9MPが陰謀論寄りになるのは、安斎先生よりも須田事務局長の問題かもしれません。いずれにしても、安斎先生を小一時間問いつめたいことにかわりはないですが。どなたか、安斎先生と連絡のとれるかた、おられません?

 

それから、陰謀論spreaderのきくちゆみは、結局、以前からニューエイジ指向のいわばトンデモさんで「怪しい水」商売も手がけていたことがはっきりしたので(コメント#18からのリンク参照)、疑問は「なぜそのような人を平和運動家がもてはやすのか」の一点に収束しそうです。

彼女を身内に取り込むのは、平和運動にとって害こそあれ益はないと思います。

仲間は選ばないと・・・

追記(5/2)

コメントに、左はダメだとかリベラルはダメだとか、そんなのが増えております。

まあ、穏健に書いていただくぶんにはある程度構わないのですが、2chじゃないんで書き方には気をつけていただければと思います。たとえば、「アカ」という言葉を使ったかたがおられたので消しました。この言葉を歴史を無視して軽々に使うべきではないと僕は考えます。

それから、「9条堅持」を主張しているのは必ずしもいわゆる「左」に限らないということは言っておきます。また、「9条堅持」と「護憲」は別の話です。

 

どうも誤解があるようですが、このエントリーで言いたいのは「9.11陰謀論に与する人は、動機がなんであれダメである」とか「9.11陰謀論を仲間に引き入れるべきではない」ということですよ。

それから、僕は「なんちゃって左翼」ですので、そこんとこよろしく。


2008/04/25 明石家さんま・江本勝・水からの伝言

カテゴリー: ニセ科学,水からの伝言

みなさんのコメントによると、4/20の「あっぱれさんま新教授」で江本勝が紹介されたそうですね。

出張先で当日に聞いたのですが、残念ながら、番組そのものは見逃しました。

江本が肯定的に紹介されていたらしいのですが、そうなのでしょうか。


2008/04/16 SuperCon文部科学大臣賞

カテゴリー: 日 記

「高校生のためのスーパーコンピューティング・コンテスト」が「科学技術分野の文部科学大臣表彰・理解増進部門」というのをいただきました。

 

もちろん、基本的には、ずっと続けてこられた渡辺治先生を始めとする東工大のみなさんの功績なのですが、阪大サイバーメディアセンターも一昨年から主催側に加えていただいたため、受賞に名を連ねています。ちょっと申し訳ないですけど、今後への期待が含まれていると理解することにします。

両センターのスタッフだけではなく、参加してくれた高校生やチューターに来てくれたOBなど、たくさんの人のおかげですね。

詳細はいずれSuperConのサイトに。

コンテストは今年もやりますので、よろしくお願いします。


2008/04/16 webちくま

カテゴリー: 日 記

筑摩書房のウェブサイトにエッセイを連載することになりました。第一回が出ています。

http://www.chikumashobo.co.jp/new_chikuma/

月二回で、次回はこの続きです。

主としてニセ科学問題に関係する話を書くはずですが、残念ながら、いずれ出るはずの本格的な「ニセ科学入門」ではありません。「ニセ科学入門」は別のところから出すはずです。書きます。webちくまのほうは、「ニセ科学入門」からこぼれ落ちるはずのもっともやもやした話を書くはずです。はずばっかりですね。

文章書けない病がひどいので、リハビリのつもりで「無理にでも毎月10000字書く」ことにしたのですけど、すでに青息吐息状態です。水玉蛍之丞先生のイラスト付きなんで、許してね。

すごくよくできたら、本にしてもらえるかもしれません。すごくダメならダメでしょう。


2008/04/10 ランダウ・リフシッツ物理学小教程「力学・場の理論」ちくま学芸文庫

カテゴリー: サイエンス

一部ではすでに話題沸騰ですが・・・・(なのか?)

ちくま学芸文庫は、どう見ても文庫本の体裁なのに、ディラック「一般相対性理論」とかワイル「空間・時間・物質」とかパウリ「相対性理論」とか、数式だらけの専門書や教科書を刊行している驚異のシリーズです。まあ、古典だから文庫で、ってことなのでしょう。でも、びっくりしますよね。これはすばらしい。

 

そのちくま学芸文庫から、ランダウ・リフシッツの物理学小教程が刊行されて、話題沸騰です。ランダウ・リフシッツといえば例の理論物理学教程が有名ですが、この小教程はそのエッセンスをずっとコンパクトにまとめたもの。想定読者対象が違うようですね。

かつてはこの小教程も大教程同様に東京図書から出ていました。最近書店で見かけないと思っていたら、今回、驚異の「文庫落ち」です。第一巻「力学・場の理論」が出たところで、たぶん、二巻も遠からず出るのでしょう。

内容ですが、力学はほぼ大教程なみ。一方、場の理論は「場の古典論」の電磁場部分だけに相当し、一般相対性理論は含まれません。文庫一冊分ですからね。

1500円でこれはお安いでございます。文庫用に新たに書かれた山本義隆氏の長い解説もすばらしい。

 

ちなみに小教程は結局、第二巻「量子力学」までしか刊行されず、予定されていた第三巻は姿を現しませんでした。そのため、統計物理学や流体力学が小教程に含まれなかったのが残念です。統計物理学のコンパクト版がどんなものになるはずだったのか、興味がありますね


2008/04/06 念のため、科学とニセ科学とグレーゾーンについて

カテゴリー: ニセ科学

ascii.jpのインタビューや香山さんとの対談などで「二分法思考」の危険性について改めて話したので、たぶん、またしても「そういう菊池も科学かニセ科学かという二分法ではないか」などと言われたり書かれたりしてしまうのでしょう。言うのも書くのも勝手ですが、念のため、もういちど「グレーゾーン」について書いておきます。

もちろん、このブログをご覧のかたがたは、これまでに「グレーゾーン問題」に関する長い長い議論があったことはよくご存じだと思います。

僕に限らず、現行の「ニセ科学批判」では、「科学とニセ科学のあいだにはグレーゾーン(それも、たぶん非常に広い)があり、線引きはできないし、してもしかたがない」という認識を共有しているし、また、そういう話を積極的にしてます。

科学哲学の分野でそれに相当するのが伊勢田さんに代表されるベイズ主義です。伊勢田さんがベイズ主義の本を書かれた時期と僕たちがグレーゾーンを前提としてニセ科学批判を積極的にやりはじめた時期が近いのはまったくの偶然なのですが、もしかしたら、時代の要請のようなものなのかもしれません。

それに対して、大槻先生に代表される「少し前の疑似科学批判」では、この点があまり重視されてこなかったような気がします。

まあ、そんなわけで、「ニセ科学批判者も科学とニセ科学の二分法ではないか」という言説を見かけたら、それが相手にしているのは少なくとも僕たちではないのだ、と理解しておいてください。

グレーゾーン問題はこれからますます重要になると思います。


2008/04/06 プロフィール

カテゴリー: ニセ科学

Bogus Newsによると、どうやら僕らしい人が42歳で血液型はA型ということになっているようなので、これからは42歳A型ということにします。

http://bogusne.ws/article/92245175.html

 

なお、このエントリーのコメント欄は「ああ、やっぱり」以外禁止とさせていただきます。なにが「やっぱり」なのかは書かれても困ります。


2008/04/03 江原番組に対するフジテレビの見解

カテゴリー: 日 記

ニュースになっていたので、とりいそぎリンクのみ

http://wwwz.fujitv.co.jp/fujitv/seisyonen/kaitou.html

どうやら、フジテレビ自身が出したBPOへの回答は「スピリチュアルの非科学性」を前面に出したものではなく、それに対してさらに社外有識者から「一番の問題点は、スピリチュアル・カウンセリングと称する非科学的、荒唐無稽な霊視を番組の中核に置いたことである」といった指摘があったようです。

フジテレビ自身がはじめから「非科学性」を強く反省すればよかったのですが、どうやらそうではないみたいですね。違うかな