201404のブログ

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2014/04/23 朝日新聞に書評が出るようです [kikulog 647]
2014/04/09 理研CDBの騒動について [kikulog 646]
2014/04/07 博士論文中での剽窃について [kikulog 645]

2014/04/23 朝日新聞に書評が出るようです [kikulog 647]

カテゴリー: 放射能問題

朝日新聞の読書面の次回予告(ウェブサイト)に「いちから聞きたい放射線のほんとう」が掲載されました

( http://book.asahi.com/book/9784480860798.html )。

4/27の読書面に書評が載るようです。中西準子さんの「原発事故と放射線のリスク」も同じ日に出るようです。

どなたがどんな書評を書いてくださるのか、楽しみです。

また、アマゾンのサイトでは本の中身の一部が見られるようになっていますので、未読のかた、ぜひご覧ください ( http://www.amazon.co.jp/dp/4480860797/ )

なお、書評ではありませんが、これまでに紙媒体では

毎日新聞大阪版、3/30日の28面

サンデー毎日、4/20号

Feel Young 5月号

で紹介していただきました。ありがとうございます。


2014/04/09 理研CDBの騒動について [kikulog 646]

カテゴリー: 日 記

もうひとつだけ書きます。たぶん、もう書きません。

Natureに出た2本の論文のうち、STAPの存在を主張したほう(corresponding authorがObokata and Vacantiのほう)についてですが、Natureの論文は各著者の役割分担を書くことになっていて、それによれば、論文執筆はObokata and Sasaiです。論文執筆の責任は笹井さんにもあるわけで、その責任はきちんと明らかにされるべきと思う。それから、丹羽さんはdesigned the projectのひとりになっているのに、先日の「検証実験をします会見」ではどう考えてもプロジェクトの計画に携わらなかったかのように言っているので、これは論文の記述と齟齬があるから、説明しないといけないと思う。この部分も論文訂正が必要なのではないか。というか、丹羽さんは執筆者を降りても問題ないはず。

理研は論文の撤回を勧めているそうだけど、corresponding authorのふたりが撤回に同意していないから、これは撤回されない。ただし、他の共著者は「著者を降りたい」という意思表示ができるはずで、それをしているのかどうか。みんな降りちゃうと実験の一部が誰の責任かわからなくなってしまうけれども、原理的にはできるのではないかと思う。

で、理研側はおぼかたさんは「未熟だった」で済まそうとしているみたいなのだけど、そういう人をユニット・リーダーに抜擢した任命責任が明らかにされていないように思う。彼女の採用・抜擢の経緯を明らかにするのは、世の中にたくさんいるポスドクやポスドクに採用されていない研究者に対する責任じゃないかな。たいした経験や業績があるわけではない人がどうして理研のユニット・リーダーに抜擢されたかは、この問題の重要なポイントなので、ここの説明は絶対に必要なはず。

「業績はないが優秀な若手を抜擢する」って、お題目として唱えるのは簡単だけど、実行はとても難しいよね。業績を知らないとすると、もうコネくらいでしか「優秀さ」を知る方法はないわけで、オープンな公募で実現するのは無理じゃないかな。もちろん、公募しないという手はあるけどね。もし公募しちゃったら、業績で判断する以外の道はなくなると思う。採用理由を対外的に説明できないでしょう。もちろん、業績だけで選ぶ必要はないのだけど、説明はできなくてはならない。

あ、当然ながら、泳動写真に手を加えたおぼかたさんのやりかたが改竄・捏造と言われるのはしかたない話で、これについては特に申し開きのしようはない。

最後に、この問題がここまで世間で大きく取り上げられることになってしまったのは、最初におぼかたさんを「割烹着のリケジョ・アイドル」として売ろうとしたからですよ。それを仕掛けた人たちの責任はあるよ。これは何度でも言っておきたい

[追記] 忘れてましたが、Materials and Methodsにコピペがあるという話。若山さんのやった実験なので、著者は詳細わかんないからコピペしたちゅうのは本当かな。そこは実験担当者が書くか、少なくとも目を通すべきところで、この部分での責任の分担がどうなってるのかは、きちんとしなくては

あと、ベル研でのシェーンの捏造事件と似てるのかというと、実は全然似てないのではないかという感想は持っている。それから、理研の対応を見てると丹羽さんや笹井さんはSTAPが実在する方に相当賭けてる印象ですけどどうでしょね


2014/04/07 博士論文中での剽窃について [kikulog 645]

カテゴリー: 日 記

STAP細胞の問題から飛び火して、早稲田の先進理工学研究科に提出された小保方さんの博士論文に剽窃があるという問題が持ち上がった。と思ったら、どうやら小保方さんだけではなく複数の博士論文に剽窃が、それもものによってはかなり大規模な剽窃があるということがわかって、早稲田の先進理工学研究科は過去の博士論文280編の全調査を始めるのだそうだ。これは大変な話。

剽窃といっても、誰かの研究を盗んだという話ではなくて、論文のイントロ部分。研究論文を書いたことがないかたには、もしかするとその重要性が伝わらず、なあんだと思われるかもしれない。だけど、イントロというのはとてもだいじなところで、そこで自分の研究の歴史的位置づけや価値を主張するのだから、きちんと書かなくてはならない。博士論文の審査でも、研究の背景をきちんと理解しているかとか、自分の研究をきちんと位置づけられているかは問われる。だって、「その研究のどこが新しいの?」っていう質問にきちんと答えられないと困るでしょう? 指導教員に言われた通りに研究するだけなら、誰にでもできるわけで、博士号を貰うからには「言われた通りにやりました」では済まない。だから、背景を自分の言葉で書けるのがとてもだいじなのだ。僕らも普段から「自分が実際に研究した内容を書くのは誰にでも簡単にできる。大変なのはイントロだ」と指導している。実際に書いてみないと、その大変さは実感できないけどね。

そういうだいじな部分のはずなのだけど、今回、早稲田の先進理工学研究科(の一部)で、剽窃が横行していたらしいというニュースを見ると、どうもイントロを「だいじ」と考えない文化を持つ学問分野があるのではないかと思えてくる。大規模な剽窃をしたのがひとりふたりではなかったのだとしたら(ネットで見る限り、ひとりふたりではなさそうだ)、実は「イントロなんか剽窃で構わない」という文化がそこにあったのではないだろうか。僕はもう一歩踏み込んで、そういう指導をする教員が(おそらく複数)いたのではないかという疑念を持っているのだけど、それは今後明らかにされるだろう(万が一にも、先進理工学研究科の調査が単に剽窃の有無の確認だけに終わって、教員の指導体制にまで踏み込まないなんてことにならないように望む)

いずれかの学問分野に「博士論文は自分が研究したことを書きさえすればよくて、背景や位置づけなんかは剽窃で構わない」という文化があるとしたら、それは学問としてとてもまずい。これは先進理工学研究科だけの問題ではないかもしれない。調査がどういう結果になるか、注目している