スーパーコン予算復活についての文部科学大臣会見の様子がビデオと文章で公開されています。
http://www.mext.go.jp/b_menu/daijin/detail/1288102.htm
事業仕分け関連のポイントは
(1)文部科学省は1142億円削減が求められている
(2)マニフェストは対象外
(3)事業仕分けの趣旨を尊重し、結論も可能な限り受け入れる。経過措置等で削減できない場合もある
(4)スーパーコンだけは事業仕分けの評価結果と異なる対応をする。
(5)スーパーコンは世界一を目的化せず、ユーザーにとって使いやすいものを作る
ですから、事業仕分けで削減とされたものは基本的に削減、スーパーコンだけが例外ということになるようです
なぜ、スーパーコンだけが例外なのか、会見を聞いてもまったくわかりません。
事業仕分けでは、設計変更にともなう計画変更が拙速と指摘されたはずですが、ここでは事業仕分けからこの日までの短期間で、スーパーコンの基本方針そのものを転換したことになります。
これはやはりまずいのではないでしょうか。
前回も書きましたが、これをもって「よかったよかった」とか言っているスーパーコンの関係者がいたら(いると思いますが)、それはかなりダメであると思います。
全学共通教育(主として1年生向け)の「計算機シミュレーション入門」という授業の資料です。
文系・理系問わず、プログラミング未経験者歓迎の授業なので、プログラミングの基礎から教えなくてはなりません。それも手短に。去年まではそれをC言語でやるという試みをしていて、まあそれなりにはうまくいっていたと思うのですが、システムがLINUXからWindowsに替わったのを機に、processingでの授業に全面的に変えてしまいました。
以下の資料は実際にはe-learningのシステム上で見るようにしています。毎回20分ほど解説したあとは実習で、僕と3名のTAで見てまわります。
(1)Processing入門
http://www.cp.cmc.osaka-u.ac.jp/~kikuchi/kougi/simulation2009/processing0.html
ここまで。最低限なので、関数もクラスも教えない。もっとも、資料だけは作ろうかと考えている
(2)Simulation入門
http://www.cp.cmc.osaka-u.ac.jp/~kikuchi/kougi/simulation2009/simulation0.html
まだ作り始め。どこまでいくか未定
あくまでもプログラミング未経験の一年生を対象にした資料なので、難しいことを言わないでね
なお、既にプログラミングができる学生には「勝手にどんどん進んで、面白いものを作ってくれればよし」と言ってありますが、勝手に分子動力学の3Dのようなものを作るものあり、複雑な絵を描くものあり、ゲームを作るものありで、なかなかおもろいです
仮にどうしても全体を削らなくてはならなくて、何かが増えれば何かが減るのだとしよう。
どう考えても関連のないあれとこれをバーターにするのは納得がいかないにしても、それらは最終的に総額という一個の変数でつながれた式の各項であることは間違いないと思っておこう。
問題は、その結果が「スーパーコンだけ大復活」でいいのかということで、つまり他のあらゆるものよりもスーパーコンの優先順位が高いかのような政治決着を見たのはなぜなのか、まったく理解できない。
ここで、仕分けで最も筋が悪かったはずのスーパーコンがなぜ「科学軽視のシンボル」のように扱われたのかを考え直してみるのも意義があるかもしれない。大復活はおそらくそのことと関係があって、最も注目されたものを復活してみせただけではないかと思いますが。
常識で考えたら、小復活か中復活が筋でしょう。
ちなみに、僕の意見は前と変わらず、単に「最初に怒った人たちが、仕分けの議論を読まなかったから」です。ダメすぎです
スーパーコンだけの大復活を単純に喜んでいる人たちは、日本の科学のことなんか何も考えていないと思う
出張続きで、ブログにじっくりコメントする暇がありませんでした。
そのわりにtwitterでしょうもないことを書いているではないか、と思われるかもしれませんが、あっちはつぶやきなので。
今日の朝日新聞朝刊科学面に、事業仕分けを受けての科学界の動きの変化について、まとまった記事が出ています。事業仕分け直後は例のノーベル賞決起集会に代表されるような「仕分けはけしからん論」ばかりでうんざりさせられましたが、少しずつ変わってきているということでしょう。
「けしからん」の一点張りで何かがうまくいくはずはなく、科学と科学行政の構造を変えるための議論が求められているのは明らかです。
事業仕分けに参加された中村桂子さんが、それについて書いておられます。
http://www.brh.co.jp/katari/hitokoto/
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せっかくのきっかけだと思うのに、研究者全体でこの国の将来を考えましょうとはならず、お金を削減するのはけしからんと言う声だけなのです。誰も科学技術が不要だなどとは言ってはいません。しかし、ただ科学技術は大事だと大きな声で言えばよいわけではないでしょう。
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というところは、僕もそのとおりだと考えています。
付録も含めて、よく読んでおきたいと思います。