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2010/07/27 イギリスでのホメオパシー
2010/07/15 ホメオパシーによる児童虐待の件[最初に追記あり]
2010/07/14 EM菌の効果についての情報
2010/07/09 ビタミンK問題: 助産院とホメオパシー[追記は随時あり]
2010/07/06 COP10パートナーシップ事業EM菌

2010/07/27 イギリスでのホメオパシー

カテゴリー: ニセ科学,ホメオパシー

川端さんのtwitterで教えてもらったイギリスはtelegraphの記事

http://www.telegraph.co.uk/health/healthnews/7910948/Homeopathy-will-not-be-banned-by-NHS-despite-critical-report.html

イギリスでホメオパシーの保険適用をやめるべきだという議論になっていましたが、どうも、当面は続けるというのが政府の方針みたいですね

telegraphはこの件について、見出し・リードからして批判的と読めます

見出し:

Homeopathy will not be banned by NHS despite critical report

リード:

Homeopathy will continue to be available on the NHS despite an influential health committee condemning it as medically unproven.

本文もかなり手きびしく、プラセボと区別がつかないことなどをきちんと紹介しています。

health ministerがalternative medicineには「長い歴史」と主張するのに対し、herbal medicineなどと違って成分を徹底的に希釈してるんだから効くわけがない、という見解を紹介して、alternative medicineでひとくくりにするべきではないとも言っているようです。それは当然そうなわけで、alternativeのひとことであれもこれもいっしょくたにしてはだめでしょう

もっともこの方針が決定事項なのか、health ministerの見解なのか、これだけではよくわかりません。

[追記]

コメントで教えていただきました

http://www.dh.gov.uk/prod_consum_dh/groups/dh_digitalassets/@dh/@en/@ps/documents/digitalasset/dh_117811.pdf

が原文のようです


2010/07/15 ホメオパシーによる児童虐待の件[最初に追記あり]

カテゴリー: 日 記

[7/16]

下記の件、いちおう解決したようです。

コメントでいただいた情報によれば、主治医も確認できているそうなので、おそらくはこれで大丈夫なのではないかと思います。

あとはこれを機にホメオパシーを断念してくれればいいのですが

............

K2の話題に関連して教えていただいたものです。

由井寅子氏が学長をつとめるThe Japan Royal Academy of Homeopathyの掲示板に、愛媛県在住と思われるお母さんからの以下のような相談と回答が掲載されていました。7/13づけですので、つい最近のものです

これはお母さんがホメオパシーに傾倒して医師の指導に従わず、子供の健康を危険に陥れている事例と思います。腎臓が悪いのに薬を止めるなど、子供の命にかかわるのではないかと心配です。これは明らかな児童虐待ではないでしょうか。

それを奨励しているのがThe Japan Royal Academy of Homeopathy所属のホメオパスだというわけです。例によって「好転反応」だとかなんだとか、意味のない言葉を並べていますが、まったく無意味です。単に児童虐待を奨励しているだけの団体と言っていいでしょう。

この件は、すでにネット上のさまざまなところで議論されていますし、実際に複数のかたが児童相談所や愛媛県警に通報しておられます。

児童相談所がなんとかできるのか、警察がどうにかできるのか、よくわかりませんが、緊急に対処してくれることを望みます。

現実問題として、児童相談所では対応できないのかな、というのがlets_skepticさんのブログからの感想ですが

http://d.hatena.ne.jp/lets_skeptic/20100715/p1

それでもなんとかならんかと思います

いずれにしても、「過激なホメオパシーには実害がある」というはっきりした実例になっています。

以下はサイトに書かれていた相談と回答の転載です

............................................

タイトル : 主訴は腎臓です。2歳で発病し、2年ほど入院し、今は通院しています。10歳になりました。

記事No : 3388

投稿日 : 2010/07/13(Tue) 11:34

投稿者 : 女性・愛媛県・とらのこ会

現在、子供が健康相談にかかりお世話になっております。

主訴は腎臓です。2歳で発病し、2年ほど入院し、今は通院しています。10歳になりました。

病院では、免疫抑制剤がだされ、毎日飲まなくてはならず、とても疑問を感じていたところに、ホメオパシーに出会い、やってみたいと強く思い、相談会を申し込みました。3回めの相談を受けたところです。

今は病院の薬は飲ませていません。

かんじんひぞう、バーバリスをとっておりますが、調子よさそうにしています。

ただ、やはり毒だしのレメディ(抗生剤、全身麻酔、胸腺の毒だし)をとると、すごい好転反応がでてしまいます。わかってはいますが、ちょっと続けられないくらい、顔、特に目がはれてパンパン、足もむくみ、蛋白尿がでて、みているのが辛くて断念してしまいます。

尿量は減ってはいません。血尿もでていません。

なんとか乗り切りたくて、好転反応の対処のレメディを担当の先生に聞いてみましたが、ヒットせず、毒だしを断念して終わってしまいます。

むくみや蛋白尿が出たときのレメディを教えてください。

インフルエンザや、溶連菌をレメディで乗り切ることができました。

このままレメディで腎臓をケアしていきたいのです。どうぞよろしくお願いします。

千葉先生

まず、むくみや蛋白尿に対するレメディーですが、エイピス(Apis), アーセニカム(Ars),カンサリス(Canth)などが良いものです。既に相談会を受けていらっしゃるということで、もうこれらのレメディーは試されているかもしれませんね。

好転反応が強くてお困りということですが、そういう場合には通常レメディーと共にマザーチンキを一緒に摂り、臓器サポートをすると臓器の機能が高まり、強い好転反応が出にくくなります。バーバーリスを取っていらっしゃるとありますが、これはマザーチンキのことでしょうか?もし、マザーチンキを既に取っているにも関わらず・・・ということであれば、担当のホメオパスにポーテンシーの変更してもらいましょう。LMポーテンシーにしてみるという手段もあります。詳しいことは担当ホメオパスにご相談されてみてください。

....................

わけのわからない代替医療も、かなり多くの場合、善意によって行なわれるのではないかと思います。少なくとも、上のお母さんが子供に対して悪意をもっているわけではないのは明らかでしょう。

では、代替医療側、たとえば上のThe Japan Royal Academy of Homeopathyの側は善意なのか。もちろん、善意だと主張するでしょうし、そのつもりでしょう。しかし、上の「千葉先生」の言葉から善意を読み取る気にはなれませんね。悪意しか感じない。本人は善意のつもりでしょうけど、善意なら「医者に診せろ」以外にありえない。それを言わないのは、単に自分のことしか考えていないからですよ。これは悪意だと思う。The Japan Royal Academy of Homeopathyも学長とかいう由井氏も、この状況下で「医者に診せろ」と言わない人たちの善意というのはつまりは悪意なのですよ。


2010/07/14 EM菌の効果についての情報

カテゴリー: ニセ科学,EM菌

EM菌についての検証情報、特に自治体の研究所などが行なって、ネガティブな結果が報告されていたものについての情報が見つけられなくなっているという話を聞いたのですが、みなさんいかがですか?

僕はまだ確認していないのですけど、それでなくても研究結果のないEM菌なので、ネガティブでもポジティブでも研究結果は研究結果として整理しておいたほうがいいと思います。見つけられなくなっているわけではないなら、それはそれでよい。

情報がありましたら、お知らせください


2010/07/09 ビタミンK問題: 助産院とホメオパシー[追記は随時あり]

カテゴリー: 日 記

教えていただいたニュースですが

http://kyushu.yomiuri.co.jp/news/national/20100709-OYS1T00214.htm

........

生後2か月の女児が死亡したのは、出生後の投与が常識になっているビタミンKを与えなかったためビタミンK欠乏性出血症になったことが原因として、母親(33)が山口市の助産師(43)を相手取り、損害賠償請求訴訟を山口地裁に起こしていることがわかった。

 助産師は、ビタミンKの代わりに「自然治癒力を促す」という錠剤を与えていた。錠剤は、助産師が所属する自然療法普及の団体が推奨するものだった。

.......

 しかし、母親によると、助産師は最初の2回、ビタミンKを投与せずに錠剤を与え、母親にこれを伝えていなかった。3回目の時に「ビタミンKの代わりに(錠剤を)飲ませる」と説明したという。

 助産師が所属する団体は「自らの力で治癒に導く自然療法」をうたい、錠剤について「植物や鉱物などを希釈した液体を小さな砂糖の玉にしみこませたもの。適合すれば自然治癒力が揺り動かされ、体が良い方向へと向かう」と説明している。

......

以下、ご教示いただいたので書き直し。

書かれている事件の時期からして、すでに何度か議論されている

http://jyosanin.blog78.fc2.com/blog-entry-354.html

が訴訟になり、新聞が取り上げたということのようですね。

くだんの「団体」は助産師に責任を押し付けるだろうし、助産師個人の責任が問われることになるのだと思いますが、根本にはやはりホメオパシーを過激に推進する団体の存在があります。

過激なホメオパシーには実害があるのだということは、繰り返し言っておきたい。

ビタミンKのレメディなるものがビタミンKの代わりにならないことは、ちょっとでも普通にものを考えられるなら自明だと思います。

これは「ホメオパシーが病気に効くか」とは別次元の問題で、要するに「その物質を含まないレメディがその物質の代わりになるか」です。

[追記]

ホメオパシーを擁護されるかたのコメントがたくさんついたので、立場を表明しておきます。

まず、今回の事件で問題になっている「団体」は現代医療をかなり強く否定する「過激なホメオパシー」の流派と考えられます。新聞がきちんと書かないので、はっきりいえないのですが、そのあたりの議論はコメントをごらんください。

「過激なホメオパシー」というと、やはり影響力がもっとも大きいのは由井寅子氏ですし、実際、助産師団体での講演もしていたり、由井氏関連団体の出版物では「K2シロップの代わりにレメディ」という記述などもあるようです。

この手の「過激なホメオパシー」は受けるべき治療を受ける機会を奪うという意味で、きわめて悪質だと思います。今回の事件は、まさにそれです。

それに対し、「由井氏系のホメオパシーは本ものではない」というコメントがつきました。もちろん、たぶん由井氏なら「自分たちこそ本もの」と主張することでしょう。「本ものではないから、今回の事件はホメオパシーのせいではない」という主張なら、受け入れがたいです。ただ、「由井氏系のホメオパシーのどこが本ものではないのか」をきちんと説明していただければ、参考にはなります。

「ホメオパシーにはいろいろな流派があり、過激なものは危険だが、穏健なものは役に立つ」という主張であれば、議論できます。

僕の理解ではホメオパシー団体には穏健なものから過激なものまで、かなりの幅があります。「穏健なホメオパシー」には現代医療と共存する道がありうるとは思います。ただ、そのためには、「ホメオパシーの効果は精神的なものである」という事実をきちんと認める必要があるでしょう。

もしも本当にレメディというものが、巷間言われるように希釈したものであるなら、それが「ただの水を染みこませた砂糖玉」に過ぎないことは自明です。それでも、精神的な意味はあるのかもしれません。それ以上のことを主張するのであれば、それは「科学的に考えているわけではない」という証左になるでしょう。

穏健派であっても、無意味な科学理論をもてあそんで「効果があるのだ」と言われてしまったら、反論せざるを得ません。「精神的なものではない効果があるのだ」と信じ込んでしまうと、一歩間違えれば穏健派であっても同様の事故を起こしかねないのではないでしょうか。

「精神的な効果をうまく利用する」という立場以外にはありえないと思います。

ただし、おそらく今の日本で一番影響力があるのは由井氏系の過激派でしょう。

現時点で「本もののホメオパシーとは何か」について僕は知りません。ハーネマンまで立ち戻れば、それはもちろん「本もの」なのでしょう。しかし、その後の発展・分化の中で「正統」があるのかどうか、僕は知りません。ハーネマンのやったとおりのことしかやらないのなら本ものなのかもしれませんが、それよりは現代医学の知識に合わせて改良されたもののほうがよさそうにも思えます。少なくとも、ハーネマンは「精神的効果のみ」などと考えていなかったわけですが、現代の知識からすれば「精神的効果のみ」であることは自明です。もし「本もの」というのが、「精神的効果のみ」であることを認めないものなら、「本ものがよい」とは言えません。

[追記]

この件についての助産師会の見解が出ているそうです

http://www.midwife.or.jp/pdf/k2.pdf

なんというか、ホメオパシーについてもっとはっきりと書いてもらいたかったですね。

これでは、とりあえず取り繕いましたという感じがします。

助産師会はホメオパシーについて、きちんとした見解を出すべきではないでしょうか

[追記]

「精神的効果のみであることを認めるホメオパシー」なら現代医療と共存できるかもしれないという話について、「それを認めたらホメオパシーにならない」とか「認めるくらいの人はホメオパシーにはまらない」とかいう感想もあるかもしれません。そうかもしれませんし、そうではないかもしれません。それは僕やホメオパシー批判者が考える筋合いのものではなくて、ホメオパシー実践者が考えるべきことです。宗教の教義として神による創造を信じると同時に、科学として進化論を信じるようなもので、可能なのではないかなあ。そうまでしてホメオパシーを実践する必要があるのか、という点については、「特に必要はない」と思います。

[追記]

でも、そういうものを必要とする人はいるのかもしれません。そういう意味です。

[追記]

コメントにも書いたことですが、新生児のK2欠乏症リスクはK2を投与しない場合に1/2000から1/4000くらいのようです。ですから、ホメオパシーに賭けてK2シロップの代わりにレメディを与えてもめったに事故は起きないでしょう。助産師ひとりが一生のあいだに取り上げる新生児の数が何人くらいなのか、僕は知りませんが、確率的には毎日ひとりをとりあげたとして「10年にひとり」です。

もちろん「だから、レメディでいい」とはなりません。そうではなく、その程度の確率だからこそ、「自分はこれまでうまくいきました」とか「まわりの助産師もそれでうまくいっています」といった「個人的体験」はなんの証拠でも根拠でもないんです。単にK2を与えない場合と同じリスクを負い、たまたまこれまでそれで事故が起きなかっただけです。

助産師に必要だったのは「成分が含まれないレメディはビタミンK2の代わりにならないはずだ」という基礎的な科学的考え方、あるいは常識です。それがとても残念です。

助産師会はホメオパシーの危険性をきちんと知らせるべきです


2010/07/06 COP10パートナーシップ事業EM菌

カテゴリー: ニセ科学,EM菌

すでにtwitter等で話題ですがCOP10パートナーシップ事業として

「EMで海・河川の浄化 全国EM団子・EM活性液投入」という事業が計画されているそうです

http://www.cop10.jp/aichi-nagoya/event/partner/detail.php?id=4489

.............

(1)NPO

地球環境・共生ネットワークに参加する1065の団体に呼びかけて全国の水浄化現場で7月19日海の日にEM団子と活性液の一斉投入を行います。

(2)浄化事例をまとめて多くの人に知っていただきます。

興味を持つ人を増やします。

............

僕の理解では、EM団子が海や河川の浄化に効くという証拠はなく、常識的にも浄化槽のような小さな環境ならまだしも、海や河川に効果があるとは思えません。

これは「特定非営利活動法人 地球環境共生ネットワーク」というNPOの主催ですが、COP10の趣旨に合うものとは考えにくいところです。

とりあえず、書いておきます

あとで追記します