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2008/05/28 常温核融合の公開実験に成功、どこでって、阪大で!
2008/05/27 波動の連鎖販売に取引停止命令(追記あり 5/28)
2008/05/27 きくちゆみはなぜ支持されるのか
2008/05/27 「疑似科学入門」池内了(岩波新書)
2008/05/26 業務連絡
2008/05/15 波動ビジネスで損害賠償請求へ
2008/05/13 キーボード配列QWERTYの謎(安岡・安岡)

2008/05/28 常温核融合の公開実験に成功、どこでって、阪大で!

カテゴリー: ニセ科学

えーっと、僕も今日知ったんです。前もって知ってれば、公開実験を見に行ったのに。

常温核融合の(かなり怪しい)サイトに出たニュース↓

http://www5b.biglobe.ne.jp/~sugi_m/page284.htm

これによると、阪大名誉教授にして文化勲章受章者、阪大接合研には荒田記念館というご当人の名を冠した建物があるという溶接工学の大物(だと思う)であられる荒田吉明先生が、常温核融合の公開実験に成功したという大事件があったようです。

どなたか、事情をご存じのかたがおられたら、お教えいただけると、ほっとします。

 

上記の怪しいサイトには「毎日、朝日、日経、日刊工業新聞、NHKなどマスコミも多数参加」と書かれてますが、どこかでニュースとして取り上げられたのでしょうか。

[追記 5/28]

文章のスタイルから明らかかと思ってはっきり書かなかったのですが、僕はこの「成功」を九分九厘間違いだと考えています。これまでの検証実験との本質的違いはありそうにないです。

もちろん、なんらかのシステムで固体内常温核融合が起きてはならないという理由はないのですけど、パラジウム・水素(重水素)系でいまさらとなると、これまでとはよほど画期的に違うことをしないと無理でしょう。

万が一本当だったら、「ごめんなさい」と言うしかないです。はい。まあ、その必要は生じないでしょう。

それから、今回の「成功」は質量分析の結果に基づいているので、核反応の専門家よりも、まずは質量分析の専門家に、本当にこの実験でいいかどうか伺うのがよさそうです。うちだと、豊田さんとか・・・。ポイントは重水素とヘリウムの識別ですかねえ。よくわかんないけど

まあ、きちんとした論文が出ればすべてがはっきりします。最大の難関は論文を出版するところにあり、そこで査読者からかなり厳しい注文がつくはずです。査読者を説得できるだけのデータをそろえられるのなら、それだけでも立派。


2008/05/27 波動の連鎖販売に取引停止命令(追記あり 5/28)

カテゴリー: ニセ科学,波動

例のバイオシーパルスに経産省が六ヶ月の取引停止命令を出しました。

http://www.meti.go.jp/press/20080527004/20080527004.html

基本的には連鎖販売の際の説明・勧誘のしかたの問題なのですが、その中に「商品の性能についての不実告知」が含まれており、二ユーススリリースのサマリーにも

========

また、併せて同法第38条第1項の規定に基づき、同社に対し、「パワーウェーブ(波動情報発生器)」、「ウェーブクリエーター(波動情報入力器)」と称する家庭用電気機械 器具で波動情報が水に伝わるとしていることには、科学的に明確な根拠がない旨を各販売店及び消費者に速やかに周知するよう指示

========

と書かれています。

波動に科学的根拠がないことを明確に言った画期的なものかと思います。

詳細は全文をお読みください。たいした長さではないです

 

[追記 5/28 0:43]

実は例の訴訟に関連して、日曜によみうりテレビが取材に来ました。明日(というか、今日)、「ミヤネ屋」でバイオシーパルスの波動測定器と波動転写器の中身を見せます。波動測定器はいろいろ余分(?)なものがついているので、回路を一見しただけでは何がどうなってるかわからないし、そもそも僕は回路が苦手なので(^^;、簡単にわかりそうなことだけ述べました。今にして思うと、もうちょっといいやりかたがあったかもしれないのですが、まあいいでしょう。波動測定器の中を見る機会はめったにないと思うので、お暇なかたはご覧ください。発言内容にはかなり注意したつもりですが、もしかすると、迂闊なことを言ってしまってるかもしれません。

[追記 5/28 21:21]

船場吉兆のニュースに飛ばされ、「ミヤネ屋」での放送は明日に延期となりました


2008/05/27 きくちゆみはなぜ支持されるのか

カテゴリー: 日 記

考えれば考えるほど、なぜ「きくちゆみ」が支持されるのか、わからんわけです。

いや、もっと正確にいうと、わかるんですよ。言ってることの一部はもっともであるし、行動力もある。亀@渋研の「アイドル説」はかなりいい線をいった説明だと思う。

だけど、ウェブサイトを読んでいくと、とんでもないものが次々と出てくる。だから、「いいんじゃないかと思ったけど、トンデモさんじゃん」みたいな反応が多ければ、まあ理解できます。そうじゃないんだよね。

 

僕がなぜ「きくちゆみ」を問題にするかと言えば、僕もよくひらがなで「きくち」と書くからまぎらわしいという理由ではなく(あたりまえ)、911陰謀論のSpreaderとして大きな影響力を(どういうわけか)持っているからです。

911陰謀論は純然たるナンセンスで、ちょっと考えれば、いかに馬鹿馬鹿しいか、すぐにわかる・・・はずなんですよ。ちょっと考えればね。

まあ、そういう意味では、悪いのはSpreaderのきくちゆみやベンジャミン・フルフォードではなく、そういうナンセンスを言われて「そうなのか」と感心したり納得したりする側だという言い方もできるんですけど。言うのは自由だからね。

 

それでも、たとえば「9条世界会議」で911陰謀論を大々的に宣伝するとか、民主党の藤田議員が911陰謀論勉強会をきくちゆみとやってるようだとか、さまざまな状況を見るに、やはりこの人を問題にせざるをえないと思うわけです。

あ、もちろん「週刊金曜日」も911陰謀論Spreaderとして大きな役割を果たしていると思うので、問題にするべきですが。

 

それはさておき、きくちゆみのブログを読むと、たしかにいいこと(に見えること)も書いてあります。そりゃそうだ。そうでなければ、支持はされない。

しかし、同時にニューエイジ系の怪しい話も次々と出てくる。

 

別のエントリーで教えていただいたように、

http://kikuchiyumi.blogspot.com/2008/05/blog-post_16.html

では、「津」なる怪しい飲み物による代替医療をタンザニアで臨床試験したという許し難い事実を報告しています。

曰く、「去年の10月に始まった新しい「津」という飲み物でタンザニアでの臨床試験にてAIDSが治ったという報告がありました。副作用が一切ない飲み物です。(アフリカのAIDS患者は選択なく服用した薬による副作用でも苦しんでいる現状があります)」

こんなことを書いて、いいの?

ご夫妻でやっておられるハーモニクス・ライフ↓

http://www.harmonicslife.net/

はニューエイジ的ナンセンス満載のサイトで、かなり強烈です。

さらに、その仕事の中には「怪しい水」があり、パンフレット↓

http://water.harmonicslife.net/assets/img/WaterBrochure.pdf

は、「怪しい水」業界ではおなじみのニセ科学的説明が満載であるだけでなく、「アレルギー性炎症を防ぐ」とか「老人痴呆症を防ぐ」といった「怪しい効果」も謳われています。これはまったくダメですよね。実際には、彼らは単なる代理店なんですけど。

どちらかといえば、パートナーである森田玄氏のほうが筋金入りのニューエイジャーで、きくちゆみはその影響を受けて

いるのかなとは思います。森田氏はこんな感じ↓

http://www.harmonicslife.net/ha3.html

 

まったくまとまらないのですけど、要するに謎は「なぜ、怪しい水を売り、ニューエイジ的ナンセンスを垂れ流す人が、平和運動などに広く受け入れられて、911陰謀論を広めることができるのか」

実は謎なんかじゃなくて、答はこれまでの議論でほとんど出てるのだと思いますが、なんというか、苛立ちをおぼえるわけです。

 

もちろん、きくちゆみのせいじゃないかもしれないんですよ。きくちゆみがいなくたって、911陰謀論は広まったのだろうから。そこがまた悩ましい。

まとまらないことの書き捨てですみません(いつものこと?)


2008/05/27 「疑似科学入門」池内了(岩波新書)

カテゴリー: ニセ科学

すみません。忙しくてまだ読んでないんですが、エントリーくらい作っておかないと、いくらなんでも時期はずれになっちゃうかなと。

重要な本になるのだろうとは思うのですが。

いずれにしろ、池内先生がこの題材でまとまった本を書かれたことには注目すべき。

 

しかし、今書いてる原稿を「ニセ科学入門」の題で出していいかどうか、悩むところ。二番煎じに見えちゃうかな。でも、二番煎じ風の題でひそかに出すのもいいかも。


2008/05/26 業務連絡

カテゴリー: その他

ブログの表示を変えて、左コラムのトップに「最近の記事一覧」それから「カテゴリ一覧」が出るようにしました。

それだけではあまり意味がないのですが、要するに「カテゴリ分け」をまじめにやることにしたということです。具体的には「9.11陰謀論に関係するエントリー」を探したければすぐにわかるように、など。

「この話題もサブカテゴリにしてくれ」などの希望がありましたら、言ってください。

 

普通はカレンダーがトップにくるのでしょうが、このブログの場合、どうもカレンダーはあまり重要ではないような気がするので、「最近のトラックバック」より更に下に移しました。


2008/05/15 波動ビジネスで損害賠償請求へ

カテゴリー: ニセ科学,波動

バイオシーパルスという会社の波動水生成器や波動測定器について、病気が治るなどの嘘の宣伝で高額商品を買わされた、という理由で訴訟になるようです。今日の朝日朝刊に出ていました。ネットにも出ているのでしょうか。

 

原理の宣伝をしている「日本波動科学研究会」も訴訟対象らしいですが、これかな↓

http://npo-hadou.com/

このサイトはだいぶ以前に見たことがあるような気はします。サイトの中身がなんにもないですね。梅田にあるのか。

 

ここは「波動」とは「気」であると言い切っているようです。サトルエネルギー学会などとは別派閥なんでしょうか。魑魅魍魎が跋扈しすぎて、全体像を捉えきれないですが、どうせどれもこれもインチキなんだから、どうでもいいか。

改めてサトルエネルギー学会↓

http://www.subtle-eng.com

の会員企業紹介を読むと、どれもこれも魑魅魍魎って感じですね。すごい世界だ。役員名簿も壮観。

いずれにせよ、「波動」はまったくのインチキですから。

[追記]

えーっと、これだな

http://www.b-c-p.co.jp/

説明はこれかな

http://www.google.co.jp/url?sa=t&ct=res&cd=5&url=http%3A%2F%2Fqpc.web.infoseek.co.jp%2Fbcp%2Fdata%2Fhowtobcp200711.pdf&ei=M8grSKaKN4fA6gPgy8S5BQ&usg=AFQjCNFxYM-8sBSenpfs6pN_xnpbTpa0hA&sig2=-nV7nWb9upx9SwxiaCpqLg

なんというか、MRAとかに比べると見かけが安っぽいね。値段も安いからいいか(もちろん、インチキだから、安くてもダメですよ。ていうか、MRAと比べるから安いのであって、絶対値でいえば高いです)。

新聞には波動測定器のことも書いてありましたが、ウェブ上では製品として掲載していないようですね

[追記 5/17]

SatoRueさんにお知らせいただきました。asahi.comに出ました。

http://www.asahi.com/national/update/0514/OSK200805140093.html


2008/05/13 キーボード配列QWERTYの謎(安岡・安岡)

カテゴリー: 日 記

「キーボード配列QWERTYの謎」(安岡孝一・安岡素子、NTT出版)

 

出てすぐに買ったのですが、少しずつしか読めず、ようやく読了しました。読みにくいという意味ではないです。読みやすいし、とても面白い。

タイプライターの歴史を丹念にたどって、QWERTYの成立過程を明らかにする労作。しかも、単なる労作(それでもすごいですが)ではなく、「都市伝説」を打破しようという強い意志に貫かれたいわばdebunkingの書。

 

QWERTY配列についてはタイプの印字バーが絡まないよう「速く打てない配列」にしたという説がよく知られています。しかし、本書によればそれは単に誤りであるだけではなく、QWERTYを批判するためにかなり意図的に流された「都市伝説」であるようです。その元を作ったのはどうやらDVORAK配列の創始者であるDvorakのらしいですね。それを後世の人が真に受けて、広まったのだと。そうだったのか。

 

ブライアン・アーサーなどは「収穫逓増」の例としてQWERTYを挙げますが、本書によれぱそんなのは全然だめである、と。QWERTYについてそんな複雑系・自己組織化みたいな話を言うやつはタイプライターの歴史を無視しているのだというのが主張です。歴史の話をしたければ歴史をきちんと調べなさいという、至極もっともな話。じゃあ、本書は正しいのかということになりますが、徹底してオリジナルの文献に当たるという努力がされており、説得力があります。当時の図版も豊富に掲載されていて、これを見ているだけでも面白い。

ちなみに、JIS配列とUS配列の関係についても書かれています。そうか、AppleIIはJISと同じ配列だったっけか。そんなこと、忘れてました。

面白いのは「QWERTYは意図的に速く打てなくした配列」という「都市伝説」がなぜ受け入れられたかについて、

...

都市伝説が流布するためには、それが常識的な感覚では突飛なものでなければならない。かつ、それに対してムリヤリに合理的な説明が試みられて、真実味を増そうとする。

....

と書かれているところ。QWERTYの場合は、「速く打てない配列」という突飛な説に「印字バーが絡まないように」という"合理的な"説明がつけられているのがポイントというわけ。

突飛な説+ムリヤリ合理的な説明・・・そういう例ならたくさん知っています・・

 

鹿野さんや永瀬さんの意見がききたくなる本ですね。

いろいろな意味でお勧め。