この文章は、某小学校の先生方と議論するにあたって配布したレジュメです。短いですが、同様の目的で使用するにはこのくらいがちょうどいいでしょう。ご自由にお使いください

1. 明白にニセ科学であること

 写真の「結晶」は本物です。しかし、結晶の形が言葉に影響されるという主張は嘘なのです。音楽にも影響されません。江本氏らは「科学的にはまだ証明されていない」というますが、そうではなく、科学的には完全に否定されています。結晶の形は温度と過飽和度で決まることは、中谷宇吉郎が人工雪の実験で示しました。これは世界的に知られたすぐれた業績です。また、水は感覚器官も頭脳も神経も持たないただの物質なので、言葉の「意味」に反応することはありえません。

 ニセ科学を事実であるかのように教えることは、理科教育と完全に相反します。理科離れが叫ばれる今、ニセ科学を学校の場に持ち込むことには慎重であってほしいと希望します。ちなみに、「水からの伝言」は所詮は江本グループが展開する「波動ビジネス」の一部です。

2.道徳に取り入れることの問題点(1以外に思いつく疑問)

授業にフィクションを取り入れてはいけないと言っているわけではありません。さまざまな授業で物語が大きな役割を果たすことは重々理解しています。「水からの伝言」は「事実」として教えられるところが問題です。

参考までに、授業に取り入れられてしまいそうなその他のニセ科学

すでに授業に取り入れられているものも含みます

ニセ科学かどうかを判定するのが難しいことはよく理解しています。今はインターネットでさまざまな情報が手にはいりますが、怪しい情報も多く真偽の判定は難しいでしょう。一番いいのは専門家に聞くことですが、なかなか難しいかもしれません。道徳に限るなら、私自身は「道徳を科学で裏付けようとしない」ことが一番だと思います。

ご質問にはいつでもお答えします。