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2009/09/11 9.11
2009/09/10 舌癒着症?
2009/09/02 ホメオパシーは世界で最も安全な医療?
2009/09/01 波動測定器(じゃなくて分光光度計)続報

2009/09/11 9.11

カテゴリー: 日 記

以前の9.11のエントリーへのコメントでも紹介していただきましたが、9/11夜にヒストリー・チャンネルで{「特集9.11」が放映されます。

http://www.historychannel.co.jp/rec/index.html#01

『世界貿易センタービルの栄光と崩壊』がどういう内容なのか興味深いです。

ケーブルテレビを見られるかたは是非。

ちなみに、同時間帯にロフト・プラスワンでは「みんなが知らない911事件」なるタイトルできくちゆみの出るイベントがあるようです。

それから、やはり別エントリーで紹介していただいた『倒壊する巨塔 アルカイダと「9.11」への道(上下)』(ローレンス・ライト、平賀秀明訳、白水社)は驚くべき労作です。ぜひご一読ください


2009/09/10 舌癒着症?

カテゴリー: サイエンス

ホメオパシーのエントリーのこのあたりから先を読んでいただきたいのですが

http://www.cp.cmc.osaka-u.ac.jp/~kikuchi/weblog/index.php?UID=1251885631#CID1252138336

赤ん坊の舌癒着症という病気(?)の手術がごく限られた医師の手によって行なわれているという話のようです。

http://www1.seaple.icc.ne.jp/aikegawa/shita/shita.htm

に興味深い資料が掲載されていますが、どうやら小児科学会ではほぼ認められていないもののように思えます。

http://www.30ans.com/memory/backnumber/200607.html

には

...................

実は、向井診療所では手術前後の赤ちゃん33人にちゃんと聞いたことがあるのです。「スリーインワン」という、筋肉の反射でイエス・ノーを見ていく方法です。

..................

と書かれています。この向井診療所というところが多数の手術を手がけているようです。しかし、ここに書かれている「赤ちゃんにちゃんと聞いた」という話が本当だとすると、オカルトですよね。

スリーインワンというのはこれかな

http://www.3in1concepts.us/

Daniel WhitesideとGordon Stokesいうのが偉い人みたいですね。

http://www.youtube.com/watch?v=1eEJk5e5fj8

僕はまったく知らなかった話ですし、この病気(?)そのものについてはっきりとは判断しかねるのですが、とにかくエントリーを作っておきます。

[追記]

普通に(あるいは本来の)舌癒着症というものと、ここで舌癒着症と称されている先天性舌癒着・喉頭蓋・喉頭偏位症(という病名そのものも問われているようです)とは違うようですね。

よくわかりませんが。

詳しい方がおられればぜひご教示ください

[追記]

下のふぃっしゅさんのコメントが重要で、本来「正常」なものが、一部の医師によって科学的根拠もなく「異常」とされて、手術されているのではないか。また、それを勧めるアドバイスが一部の助産院で科学的根拠もなくなされているのではないか、ということですね。

そして、そのことと「自然なお産」やスリーインワンやらなんやらのオカルト、ホメオパシーなどが複雑に結びついているようです。

[追記]

もちろん、一医師が新たに発見(あるいは概念を提案)した病気が、その後の研究で広く認知されることはあるわけで、一部の医師がやっているだけだからダメ、と決めてしまうわけにはいきません。医学の議論だというのは、そういう意味でしょう。

僕には医学の問題としてどうなのかは、わかりません。

ただ、いろいろと検索してみると、ac.jpのドメインではほとんど関連する記事を見つけることができません。そして、どういうわけか、この舌癒着症を手術する話は、スピリチュアルやらオカルトやら「自然なお産」やらと同時に出てきます。つまり、これを受け入れている人たちの多くが、そういうことにのめりこみがちらしいということは、どうやらはっきりしていると思います。また、医師の側にもそういう傾向が見られます。桶谷式との関係も深いようですが、そこもよくわからない。

[追記]

本文に「一部の小児科医」と書いてしまいましたが、むしろ耳鼻科医や歯科医のようなので、「一部の医師」と書き換えました。


2009/09/02 ホメオパシーは世界で最も安全な医療?

カテゴリー: ニセ科学,ホメオパシー

Japan Business Pressなるビジネスマン向け情報サイト(?)に

「世界で最も安全な医療 自然治癒力を高める「ホメオパシー」」

という記事が掲載されています。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/1674

筆者は長野修さんという「医療ジャーナリスト」。

「医療最前線」というシリーズらしいですけど、最前線がホメオパシーというのはいかがなものか。「日本ホメオパシー医学会に所属する小池弘人医師」に取材した記事だそうです。

ホメオパシーとはどういうものかについての「まとめ」としては悪くないですけどね

..........................

 元の物質は限りなくゼロなので、安全性は高い。何もないのだから、常習性も生まれず、子供でも高齢者でも妊婦でも安全性は高いと言える。しかし一方で、ホメオパシー独特の副作用のようなものにも注意したい。

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安全性と効果のなさは表裏一体なので、要するに「効果はない」ってことのはずですが。「独特の副作用のようなもの」ってのが気になります。

それにしても、「元の物質は限りなくゼロ」と明記しておいて、なお効果を期待するというのはどういうセンスですかね。この人に「医療ジャーナリスト」を名乗る資格はないんじゃないかなあ。

最後に編集部の注

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編集部注:この治療法に関しては古くから世界中でその効果について様々な議論がなされてきました。一部では科学的根拠が欠如している点から呪術的治療法と攻撃されることさえありました。そうした議論をしっかりと踏まえつつ、2回目は現実の治療現場で何が起きているのかをリポートします。

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まあ、その通りです。科学的根拠は欠如しているので、呪術的治療と言われてもしかたがないのでは。

次回は全然楽しみじゃないですが、何を読ませてくれるのか。

別のエントリーにもコメントをいただいたように、次期首相になるはずの鳩山さんは「代替医療」推進派です。代替医療と言っても広いので、一概に悪いとは言えないのですが、漢方や鍼灸のようにある程度効果のはっきりしたものはともかく、ホメオパシーなんてのは推進しないようにお願いしたいところです。

[追記]すでに別エントリーのコメントで取り上げられていました


2009/09/01 波動測定器(じゃなくて分光光度計)続報

カテゴリー: ニセ科学

http://www.cp.cmc.osaka-u.ac.jp/~kikuchi/weblog/index.php?UID=1251463503

でとりあげた「波動測定器と称するもの」について、日本分光の技術者のかたに見ていただくことができました。

あくまでもそのかたの私見ということですが、やはりJASCO V-530の可能性が高いそうです。本体の形も似ているうえ、特に上に載せられている液晶パネルがJASCOのiRMというコントローラに非常によく似ており、またその右に載せられているプリンタも日本分光の製品に似たものがあるとのこと。

ちなみに、この組み合わせだとスペクトルの簡易表示と特定波長の吸光度データの印刷だけで、スペクトルの詳細な分析には向かないようです。

LCDを広告の写真と同じ位置に載せて、だいたい同じ方向から撮ったV-530の写真も入手できました。プリンターは載ってないのですが、ノイズを載せたものはかなりよく似ています。

10.8:160:120:0:0:V-530:none:0:0::

5.6:136:118:0:0:波動測定器?:none:0:0::

11.6:301:216:0:0:V-530:center:0:0::

ノイズを載せる前の写真はこれ

もちろん、V-530で波動の測定などできません(光も波動だというつっこみはなしにして)。くだんのインチキ業者も、分光をやったわけじゃないでしょう。要するに、波動の測定なんかしていないってことです。

たぶん、写真のV-530だって、彼らが所有しているものじゃないでしょうねと(業者であれ、謎の波動研究所であれ)。だって、分光器なんか必要ないだろうしね。まあ、V-530の写真をどこかで見つけてきて、無断使用しているだけなんじゃないでしょうか。これが分光光度計だということだって、知らないのだろうと思います。

勝手に波動測定器にされてしまっては、日本分光(JASCO)もいい迷惑ですね。

僕らはこれまで、「ゲルマニウムを身につけたって、健康効果は期待できないよ」だとか「波動なんていうものは実体のない妄想だよ。波動測定器は測定者の電気抵抗を測ってるだけだよ」なんてことを言ってきました。

ゲルマニウムの健康効果にも波動にも科学的根拠などないと考えるからですが、これって、あくまでも「ゲルマニウム製品」や「波動測定の結果」を対象にした話だったのです。

ところが、6月に国民生活センターが12種のゲルマニウムブレスレットを調査した結果は、ご存知のとおり、ゲルマニウムがほとんど含まれないか、ものによってはまったく含まれないというものでした。いかに効果に根拠がないにしても、謳い文句とおりにゲルマニウムは含まれているのだろうと思い込んでいたので、「一本やられた」っていう感じです。

ゲルマニウムがちゃんと含まれていれば、「健康効果はあると信じていた」という言い逃れもできそうなものですけど、ゲルマニウムが含まれないなら単なる嘘です。言い逃れの用意をする手間もかけてないのですね。ゲルマニウム自体の効果の真偽なんて、関係ない話になっちゃってます。

今回の「波動測定」も、せめて波動くらいちゃんと測ってもらえよ、と言いたくもなりますね。「波動測定の結果なので、信じていた」とかいう言い逃れだってありそうなものですけど、波動測定してないんじゃあ、言い逃れの余地もない。

これもまた一本やられました。「波動測定に科学的根拠はない」なんていう「高尚な話」ではないのです。「測った」という話自体が嘘なんだから。もっとも、所詮は「開運なんちゃら」だからね。あの手の雑誌広告は嘘ばっかりだからね。波動も測定していなくて当然かもです