200908のブログ

記事一覧
カテゴリー別記事一覧

2009/08/31 投票率[追記9/2]
2009/08/28 波動測定器といいつつ(開運系)
2009/08/25 基礎物理学研究所研究会「科学としての科学教育」
2009/08/22 大阪大学グローバルCOE「認知脳理解に基づく未来工学創成」シンポジウム
2009/08/22 A(H1N1): WHOのタミフル使用ガイドライン
2009/08/21 「上から目線」問題のつづき
2009/08/21 A(H1N1): 三次感染の予防について
2009/08/17 門真市全体での白血病数
2009/08/15 レス・ポール死去
2009/08/15 「上から目線」とは何か(追記8/16)
2009/08/13 悪霊にさいなまれる世界(カール・セーガン、早川文庫)
2009/08/12 Group 2Bということ((高圧線の)低周波磁場)
2009/08/10 門真市の白血病の件[追記8/13 8:00]
2009/08/10 あぶない
2009/08/10 「おかしな科学」の正誤表 ver.2
2009/08/09 total page view
2009/08/09 科学政策に関する公開質問状というのが出ているそうです
2009/08/08 業務連絡
2009/08/04 SuperCon2009やってます

2009/08/31 投票率[追記9/2]

カテゴリー: 日 記

「今回は投票所に人が多かった」みたいな感想を抱いたかたは、今回の投票率が69%程度で前回は67.51%だったことに注意。正しくは期日前投票の分を引いとかなくてはなりませんが、いずれにしても、この程度の投票率の差だとすると、平均的には「今回は投票所に人が多かった」という実感にならないはずです。

たとえば、投票に行った時刻が違うとか(これはありそう)、実は引っ越して選挙区が変わったとか、前回総選挙ではない何か別の選挙と比較しているとか、そんなところでしょうか。

もちろん、選挙区によっては極端に高くなったところもあるかもしれません。

でも、それなら、極端に低くなったところもあるのでは

いずれにしても、その感想は全体の投票率を反映したものではありません

[追記]

どうも68%くらいみたいですね。ということは、さらに前回との差は小さい

[追記]

NHKは69%超だと言っている。投票率も現時点では各メディアが勝手に推定しているのか

[追記 9/2 9:20]

総務省発表で投票率は69.28%だそうです。

コメントにも書きましたが、前回:今回の数値データは

有権者数 102985213 : 104344170

投票率 67.51% : 69.28%

期日前投票 ~12.9%(~896万) : 19.42%(13984968)

投票所数 53021 : 50978

みたいです。前回の期日前投票数が万単位までしか見つからなかったのですが(探せば出てくるはず)。

[以下、計算ミスがあったので修正]

これでいいとすると、投票所あたりの当日投票者数は前回今回とも1140人程度、その差は2人くらいです。計算にあんまり自信ないですけど。


2009/08/28 波動測定器といいつつ(開運系)

カテゴリー: オカルト・スピリチュアル

昨日、経産省から業務停止命令が出たという「日開堂」「宝招院」「ROXY」の開運ブレスレット。

http://www.asahi.com/national/update/0828/TKY200908270437.html

もちろん、そんなものに「お守り」以上の効果はないので、よほどデザインが気にいったとかいう理由がないなら、買う価値はありません。「お守り」を買うか買わないかは、値段だけの問題ですわね。たかがお守りに何万円も出してはいけません。

それはともかく、なんちゃら竹千代さんが念をこめたブレスレット、雑誌広告iによれば、波動測定で通常の80倍の波動値が確認できたとのこと。インチキ波動と霊感商法の合わせ技というところです。CHA波動研究所キース・ヘンダーソンというキャプション付きのおにいさんの写真と波動測定器の写真が掲載されています。

広告に掲載されている波動測定器の写真をつけときます。

5.6:136:118:0:0:波動?:left:1:1::

粗い画像ですが、「あんまり波動測定器」っぽくないのがポイントで、これは全然違う機械なのではないでしょうか。ためしに生物系の実験をしている友人に写真を見せたところ、これは分光計じゃないかという意見をもらいました。そこで、いろいろ検索してみた感じでいうと、どうやら日本分光の分光光度計V530っぽい気がします。いかがでしょう。

ちなみに、キースさんとCHA波動研究所については、調べがつきませんでした。

[追記]要するに、僕はこの波動測定器と称する写真に写っているのはV530だと思っているのだけど、V530も写真でしか見たことがないので、メーカーの人とか分光計に詳しい人とか、どなたか「そうだそうだ」と言ってくれないかなあ、というそれだけの話です。


2009/08/25 基礎物理学研究所研究会「科学としての科学教育」

カテゴリー: イベント・告知

掲題の研究会が明日から三日間、京大・基礎物理学研究所で行なわれます。

参加無料なので、お近くのかたは覗きにいってみてください。

また、以下のURLでライブ中継があります。

http://www.yukawa.kyoto-u.ac.jp/broadcast/kagakutoshite.html

僕は世話人なのですけど、大学院入試とぶつかっちゃったので、参加できません

研究会の説明は以下のURLで

http://www.yukawa.kyoto-u.ac.jp/contents/seminar/detail.php?SNUM=50754


2009/08/22 大阪大学グローバルCOE「認知脳理解に基づく未来工学創成」シンポジウム

カテゴリー: サイエンス

掲題のシンポジウムの案内が届きました。

http://cogpsy.jp/event/2009/08/coe-2.html

にも出ています。

明後日ですけど・・・

錚々たるメンバーでなかなか面白そうなのですが、招待講演を茂木さんにお願いしたのはどういう意図なんでしょうね。いや、もちろん講演タイトルの「認知脳システム学への期待」について、期待通りの講演をされるでしょうから、その点の心配はしていないのですけれども、言い換えると、期待以上の講演は期待できないようにも思います。それよりも、企画者は人選の意図をみんなに問われるんじゃないかと心配になります。少なくとも僕なら問います。

研究者枠じゃなくて「理系文化人枠」ということだと思うのですが、このメンバーでこの内容なら、むしろ瀬名さんにお願いしたほうが、意味のある講演が期待できるのではないかなあと、別に僕とは関係ないGCOEなので余計なお世話かもしれませんが、同じ大学の企画ですから、まあ余計なお世話と思いつつ、そんなこんなで。

どのみち、見には行けませんけど


2009/08/22 A(H1N1): WHOのタミフル使用ガイドライン

カテゴリー: サイエンス

http://www.who.int/csr/disease/swineflu/notes/h1n1_use_antivirals_20090820/en/index.html

に抗ウィルス剤使用についてのガイドラインの説明が出ています

ガイドライン自体は

http://www.who.int/csr/resources/publications/swineflu/h1n1_use_antivirals_20090820/en/index.html

から

ポイントはいろいろありそうですが、

○重症化を防ぎ、入院の必要性を減らすために、タミフルやリレンザを使うべし。

○流行地域では、新型感染の確認を待たずに、症状だけで判断して対処せよ。

○タミフルは肺炎のリスクを下げる。

○病気のある人には即刻タミフルを使え。

○タミフルは発症から48時間以内に使うのが望ましいが、severe or deteriorating illnessの患者には遅くてもいいから使え。

○リスクの高そうな子供には抗ウィルス剤を使え。特に5歳以下の子供はすべて。

○5歳以上で健康な(持病のない?)子供には抗ウィルス剤は不要(いつまでも治らないとか悪化するとかでなければ)。

って感じでしょうか。

「超訳」なので、詳細は自分で読んでください。日本語訳はないのかな。

5歳以下の子供にはすべてタミフルかリレンザを使えというのは、ひとつのポイントかと思います。うちの患者は「不要」のカテゴリーでした。


2009/08/21 「上から目線」問題のつづき

カテゴリー: 日 記

つづきって言っても、特に論じるつもりはないのですが。

今さらながら、朝日新聞7/12の呉・宇野対談「上から目線で何が悪い」を読んでいます。

.................

みんな、その場その場の関係性の中で、ほんのちょっとでも上に立つことにこだわる。「上から目線だ」と言いさえすれば、発言の中身ではなく、態度の面で相手に勝ったという幻想が持てますから。

.................

という宇野氏の認識がおおむね僕の感想に近いです。


2009/08/21 A(H1N1): 三次感染の予防について

カテゴリー: 日 記

うちの小学6年の人がA(H1N1)患者になったため、僕も九分九厘感染しているであろうと考え、とりあえず今日は家で「ウッドストック40周年特別版DVD」など見てすごしました。二時間半の未公開おまけライブ映像がうりです。そうは言っても、見たことのあるものも多いですけど。

なんにせよ、みなさまもお気をつけください。

といっても、ワクチンもないし、うがい・手洗い以外にできることはあんまりないんですけどね。

うちの患者はタミフルが効いて、元気にマンガを読んでいるようです。

ちなみに、PCRをやったわけではなく、簡易キットでA型判定だったわけですが、いまどきのA型はほぼ新型ですから。


2009/08/17 門真市全体での白血病数

カテゴリー: サイエンス

NATROMさんのブログに、門真市全体での白血病死者数が全国平均に比べてどうか、という記事が出ました。

http://d.hatena.ne.jp/NATROM/20090817 

門真市全体で見るかぎり、全国平均に比べて多いわけではなさそうです。

この先の話をするには、末広町・古川町の局所的なデータが必要ですね。


2009/08/15 レス・ポール死去

カテゴリー: 日 記

エレキ・ギターの生みの親というべき人物としては

ポール・ビグスビー

レオ・フェンダー

レス・ポール

寺内タケシ

などがあげられますが(真偽のほどはさておき)、生ける伝説、レス・ポールが亡くなったそうです。つい最近まで、ずっとライブを続けていた人なので、生ける伝説といいつつ現役だったわけですが。

ちなみに僕が持っている三本のレス・ポール・モデルはすべてグレコです。ごめんなさい。しかも、最近はもっぱら、フェルナンデスのSGしか使っていません。


2009/08/15 「上から目線」とは何か(追記8/16)

カテゴリー: 日 記

いや、ふと思った感想を書きたいだけで、特定の誰かの何かについてではありません。実例もありません。

「上から目線」という言葉は妙すぎて大嫌いです。

僕の理解が間違っていなければ、そもそも「目線」っていうのは役者の演技上の視線を表現する言葉のはずで、単なる「視線」ではなく「目が向く方向」ではなかったでしょうか。踊りとかもそうかな。

「視線」ではなく「目線」を使うというのは、何か「演技」を暗示しているように思いますが、そういう意識で使ってるんですかね。いずれにしても、何か意図的に目の方向を決めるという含みがあるのではないかと、まあ少なくとも僕はそう理解しています。「視線」というのは「見ること」に重点がありますが、「目線」は目が向いているかどうかだけで、実際に見ている必要はないのでしょう。違いますかね。

それはさておき、間違いを指摘するとか「こうしたほうがいい」というようなコメントに対して、「上から目線だ」と非難(?)されるケースがあるようです(このブログという意味ではなく)。

まあ、単なる間違いをことさらに揶揄するようなコメントに対しては「馬鹿にするな」と怒ればいいのでしょうが、「指摘」であれば、感謝しこそすれ怒る筋合いでも非難する筋合いでもないですよね。

何がいいたいかというと、「上から目線」なる言葉が非常に便利な「思考停止のためのおまじない」として使われているのではないかということです。

もっと言うと「勝つためのおまじない」、かな。自分の間違いを指摘されて、「それは上から目線だ」とか怒るのは最悪ですよね。それって、「メタレベルで勝ちたい」ってことですよね。勝ち負けじゃないんだけど、勝ち負けだと思っちゃうのかな。

「それは上から目線だ」みたいな言い方って、全然建設的じゃないし、なんの役にも立たないと思うんですよ。「それがどうした」って言われたら、おしまいだし。そもそも「なぜ上から目線はいけないのか」が説明されてないでしょう。いけないんですかね。演技上の視線のことだとすれば、「教えるときは、上からの目線で話しましょう」っていう指導だってありうる気がする。

もちろん、本当に見下したような書き方・言い方もあるので、それは非難してもいいのかもしれないですけどね。そのときは「馬鹿にするな」とストレートに言えばいいのであって、「上から目線だ」って言ってもしょうがない気がしますよ。「これだから文系はvs.これだから理系は」みたいなのは、見下した言い方なだけではなく、無意味なので怒ればよいです。

逆に「単なる指摘」であるにもかかわらず非難や揶揄と受け取る人もいるようなのですが、それは困ります。

「それは上から目線だ」という表現がなんらかの意味のある批判・非難になっていると思っている人は、もっと意味のある表現をするようにしたほうがいいと思うし、「それは上から目線だ」と言われて気落ちする人は(自分に非がないなら)「上からの目線がどうしましたか」とでも言うべきなのではないか。

んー、なんとなく日ごろから気になってるので、なんとなく書きました。

特定の何かを指しているわけではありません。

これを今日書かなくてはならない必然性もありません。

[追記 8/16]

ああ、しまった。

今見たら、『おかしな科学』を絶賛してくれている『みつどん曇天日記』に「上から目線で説教してくるような事は絶対ありません」て書いてあるよ。

ごめんよ、ごめんよ。全然気づいてなかったよ。

もちろん、『みつどん』は逆ギレ的な意味で使っているのではないので、上の「おまじない」じゃないんですけど。


2009/08/13 悪霊にさいなまれる世界(カール・セーガン、早川文庫)

カテゴリー: イベント・告知

『カール・セーガン科学と悪霊を語る』が早川文庫に移って、改題。

ようやく正しい邦題になった、という感じです。よかったね。

邦題を原題の訳に戻してほしいものはたくさんあります。

『生命と宇宙を語る』(カウフマン)

『世界の究極理論は存在するか』(ドイッチュ)

なんてのは、原題の意図を激しくねじまげていると思う。

原題とかけはなれた邦題でも、愛があれば許す


2009/08/12 Group 2Bということ((高圧線の)低周波磁場)

カテゴリー: サイエンス

高圧線から出る(に限らず)低周波磁場はIARCによって、発がん性Group 2Bと分類されているわけですが、Group 2Bについて誤解が多いように思います。

以下に僕の理解を書きますが、僕も誤解しているかもしれません。誤りがあれば、指摘してください。

(WHOは、IARCモノグラフ以降のデータを加えてもGroup 2Bから変更の必要はない、としています)

まず、分類の意味は

Group 1: The agent is carcinogenic to humans.

Group 2A: The agent is probably carcinogenic to humans.

Group 2B: The agent is possibly carcinogenic to humans.

Group 3: The agent is not classifiable as to its carcinogenicity to humans.

Group 4: The agent is probably not carcinogenic to humans.

Group 1は「発がん性確定」でGroup 2はその次、それがさらにAとBにわかれていて、それぞれprobableとpossibleだというわけです。

possiblyは確度としてはprobablyよりかなり低く、「可能性は半々かそれ以下」くらいです(もっと低いかもしれません)。日本語では「あるかもしれない」くらいだと思います。「ありそう」とか「たぶんある」とかはGroup 2Aのprobablyに相当するはずです。

probableとpossibleの違いについては、"possible but not probable"という言い回しがあるくらいなので、かなりきちんと区別されると考えるべきです。

したがって、Group 2Bは「発がん性ありと認定」ではありません。しかし、「発がん性なしと認定」でもありません。どちらに解釈するのも誤りです。

「あるかもしれない」と「ないかもしれない」の区別は日本語では微妙な気がしますが、Group 2Bはあくまでも「あるかもしれない(possibly carcinogenic)」ですから、そう解釈するべきです。

「おそらくない(probably not)」がGroup 4でその上にGroup 3があるので、それよりは可能性が高いと思われます

さまざまな注意が

http://monographs.iarc.fr/ENG/Preamble/currentb6evalrationale0706.php

にあるので、ぜひ一読してください。

たとえば

.......................

These categories refer only to the strength of the evidence that an exposure is carcinogenic and not to the extent of its carcinogenic activity (potency).

これらの分類はあくまでも証拠の強さにだけ基づいており、発がん性の強さに基づいたものではない・・・かな

......................

以下は同ページにある「Group 2Bと判断される理由」についての一般的説明です

....................................

Group 2B: The agent is possibly carcinogenic to humans.

This category is used for agents for which there is limited evidence of carcinogenicity in humans and less than sufficient evidence of carcinogenicity in experimental animals. It may also be used when there is inadequate evidence of carcinogenicity in humans but there is sufficient evidence of carcinogenicity in experimental animals. In some instances, an agent for which there is inadequate evidence of carcinogenicity in humans and less than sufficient evidence of carcinogenicity in experimental animals together with supporting evidence from mechanistic and other relevant data may be placed in this group. An agent may be classified in this category solely on the basis of strong evidence from mechanistic and other relevant data.

(ヒトについての限られた証拠と動物実験での不充分な証拠。ヒトについては充分ではないが、動物実験で充分な証拠。ヒトについても動物についても不充分な証拠ではないが、メカニズムなどによって証拠が支持される・・・など)

...................................

Group 2Bに含まれるものとして、コーヒーがよく知られています。これをもって、「高圧線の危険性はコーヒーと同じくらい」と解釈しているサイトなどもありますが、それは誤りで、ここで「コーヒーと同じくらい」なのはあくまでも「発がん性についての証拠の確からしさの度合い」です。どちらがより危険かという話ではありません。

[追記 8/12 15:00]

IARCモノグラフは

http://monographs.iarc.fr/ENG/Monographs/vol80/index.php

で、タイトルは"Non-Ionizing Radiation, Part 1: Static and Extremely Low-Frequency (ELF) Electric and Magnetic Fields"

です。高圧線に限った話ではなくて、3–3000 Hzの電場と磁場を問題にしています。ですから、

評価の部分は以下のようになっています。

5.5 Evaluation

There is limited evidence in humans for the carcinogenicity of extremely lowfrequency magnetic fields in relation to childhood leukaemia.

There is inadequate evidence in humans for the carcinogenicity of extremely lowfrequency magnetic fields in relation to all other cancers.

There is inadequate evidence in humans for the carcinogenicity of static electric or magnetic fields and extremely low-frequency electric fields.

There is inadequate evidence in experimental animals for the carcinogenicity of extremely low-frequency magnetic fields.

No data relevant to the carcinogenicity of static electric or magnetic fields and extremely low-frequency electric fields in experimental animals were available.

●Overall evaluation

Extremely low-frequency magnetic fields are possibly carcinogenic to humans (Group 2B).

Static electric and magnetic fields and extremely low-frequency electric fields are not classifiable as to their carcinogenicity to humans (Group 3)

注意しておきたいのは低周波電場はGroup 3ということです。高圧線で問題になっているのは電場ではなく磁場です。これをごっちゃにしないように


2009/08/10 門真市の白血病の件[追記8/13 8:00]

カテゴリー: サイエンス

このエントリーで僕はまったく見当違いのことを書いているかもしれません。まったく自信がありません。とっくに解決した話なのかもしれません。なにかご存知のかた、ぜひともご教示ください

「この話はとっくに終わってます」というのが一番納得できるかも。

ただ、国会で大河原まさこ氏がこの問題について質問したのが去年なので、仮に「実は終わっている」のだとしても、終わっていると思っていない人たちもいるわけですね。

........................................

携帯電話の脳腫瘍リスクのエントリーにコメントされた話題から。

このあたりです↓

http://www.cp.cmc.osaka-u.ac.jp/~kikuchi/weblog/index.php?UID=1231323525#CID1249869807

もう10年以上前の話題ですが、門真市の高圧線の集中する地域で白血病による死者が異常に多いのではないかという問題提起が「週刊金曜日」紙面などに載りました。テレビでも取り上げられたそうです。今回寄せられたコメントはそれについてです。僕はこの件、おぼろげな記憶はあるものの、まじめに考えたことはありませんでした。

この問題が昨年、国会で取り上げられたらしいので、今回、いろいろ見てみたのですが、どうも97年に自治会長さんが話した数字というもの以外、数字らしい数字が見つかりません。疫学調査も行なわれたのかどうか、まったくわかりません。僕の調べ方が悪い可能性が高いので、ここで書いておくことにしました。

たとえば、雑誌の取材であれば、数についての追跡調査くらいしてくれてもよさそうなものですが、いまだに97年の数字しかないように思えます。そんな馬鹿な、という気がします。10年もあれば、いろいろな数字が変化しているはずです。白血病による死者はさらに異常に増えたのかもしれないし、実は問題は終息してしまったのかもしれません。「週刊金曜日」が追跡取材していてしかるべきですが、どうなのでしょう。

また、そのような問題が提起されていながら、本当に誰も疫学調査をしていないのでしょうか。それもおかしい気がします。

そもそも、もし本当に白血病が異常に多いのだとしたら、高圧線云々以前に、まずは放射性物質による汚染を疑いますよね。だから、「高圧線・白血病関連説」を支持するか支持しないかとはまったく関係なく、まずは「異常に多いのは事実なのか」「事実だとしたら、放射能汚染はないのか」を調べるのが筋のはずです。

もし、事実として白血病が異常に多いなら、保健所がそういう調査をしているべきだと思いますが、本当にそういう調査は行なわれていないのでしょうか。

非常に多くのサイトにこの件についての記述があるにもかかわらず、疫学調査は見当たらず、数字も10年前から動いていないらしいことに驚いています。しかも、多くは頭から「高圧線問題」と決めてかかっています。多くは「高圧線に決まっている」、少数ながら「高圧線というが、そもそも本当に異常に多いのか」というものもあります。

しかし、見た範囲内には「白血病が異常に多いとしたら放射能汚染ではないか」という記述は見当たりませんでした。その理由が、放射能汚染の可能性は既に排除できているからだとしたら、その調査は既に行なわれているということですから(ガイガーカウンターで測るだけなら、すぐにできますし、それは初期段階で行なわれているべきです)、その調査結果がどこかにあってしかるべきですし、その調査結果には白血病による死亡数の正しい数値が出ているはずです。

ネットで見る情報だけでは、そもそもこれがどうして「高圧線問題」に決まったのかがよくわかりません。それ以前にしておくべき調査の結果はいったいどこに行ってしまったのでしょう。これが放射性物質ではなく高圧線の問題であるという結論はどういう調査に基づいて誰がいつ判断したのでしょう。

白血病が異常に多いというのはそもそも事実なのか、事実だとして疫学調査は行なわれていないのか。どなたかご存知のかた、教えてください。

正しい数字や疫学調査のデータがあるとうれしいです。

本当か嘘かよりも、あまりにも情報が見つからないことに驚いています

[補足]誤解されないように言っておくと、僕はこれが「高圧線問題ではない」と言いたいわけではありません。しかし、多くの人がもし初めから「高圧線問題」と決めてかかっていたのだとしたら、それはおかしいと思います。高圧線を最終候補として絞り込むだけの調査はいつ、どのようにして行なわれたのか、それが気になっています。

「高圧線問題」に絞り込むプロセスがあったとしたら、その過程のどこかで、死亡数の正しい数字が出たはずだし、また放射能汚染についての報告もあったはずで、そのどこかで保健所なり行政なりがなんらかの形で動いているはずです。

この「はず」の部分が見つけられなくて、困惑しています。

[追記]言いがかりだと思う人がいるといけないので、しつこいですが、もう一度書きます。

すでに行なわれているべき調査の順序ですが、まずは「異常に多いという事実は確認されたか」、確認されたのであれば次は「放射性物質による汚染の可能性は調べられたか」だと思います。

後者を言いがかりと思う人もいるかもしれませんが、もし確認されていないなら、重要じゃないでしょうか。もし本当に異常に多くて、万が一その原因が放射能汚染だったとしたら、除去対策がとられていなければ今でも影響があるはずだからです。「高圧線に決まってる」とか言ってる場合じゃないはずです。

放射性物質の可能性が排除されたら(これには疫学の必要はなくて、測ればいいのではないかと思います)、きちんとした疫学調査でしょう。高圧線以外の可能性も含めて調べるのが正しいありかたです。なぜなら、本当に高圧線以外の原因があるかもしれないからです。繰り返しますが、「高圧線が原因のはずはない」などとは言っていません。しかし、万が一、高圧線以外の原因があるのであれば、その対策を取らなくてはならないわけです。確かめもせずに原因を決め付けるのは、解決を遅らせる可能性があります。

以上の件について、「誰も何もしていないではないか」などと言いたいのではなくて、これまでにどの段階までが確認されているのかがまったくわからないので困惑しているのです。もし、確認されていることがあるのであれば、きちんとした情報公開が望まれます。それとも、情報公開されているのでしょうか。ご存知のかたがおられたら、情報のありかをお知らせください。

10年以上前の話ですから、いくらでも調べる時間はあったはずです。最近になって国会でも取り上げられた話題ですが、非常に狭い地域の問題ですし、議員の調査費を使って聞き取り調査するくらいなら簡単なのでは。質問した議員は独自調査をしたのかしていないのか。したとすれば、その結果はどこにあるのか。

[注]どれほどたくさんのサイトに書かれていようと、もしそれが同じ情報源に基づくものであるなら、それは「1」です。噂や口コミがどれほどたくさんあってもなんの役にも立ちません。三次情報より二次情報、二次情報より一次情報。とにかく元データに少しでも近づくこと。これはこれまでいろいろなことをネットで調べて学んだだいじなことのひとつです

97年の「週刊金曜日」は部屋のどこかにあるはずなんですが、探せません

[追記 8/12 23:33]いちおう、ネットで見つかった記述を列挙します。今のところ、以下の三つのもののコピーしか見つかっていません。他があればご教示ください

.............

http://www.bea.hi-ho.ne.jp/t-yam/01EMF.html#B-1-01

●「160世帯で127人亡くなって、その内72人がガンで、そのなかでも白血病が14人いるんです。」

●そこで、○○さんは末広町の町内と周辺で過去10年間に亡くなった人の死因を独自に調べた。すると、なんと約160世帯で、70人以上がガンで亡くなっていることがわかった。そしてそのなかでも、白血病が原因で亡くなった方が10数人いることがわかった。白血病で亡くなったなかには当時高校生だった人もいるというのだ。

 町のどこで線を引くかによって数字が変わるのだが、隣接する町の一部を含む住民250人に対しての数字では、過去10年間に白血病で亡くなった方が14人にのぼり、現在治療中の人もいる。

(上が証言の抜粋で、下が詳細ということらしい。97年に出た「電磁波がわかる本」のための取材のようです。いちおう、自治会長さんの名前は伏せておきます)

.............

『週刊金曜日』1997年3月21日号

● 町内で過去13年間に死亡した人が160人、うち82人がガンで死んでいました。血液のガンといわれる白血病で死んだ人がそのうち高圧送電線群を中心に直径100メートルの範囲で 13人、150メートルになると18人。ガンで入退院している患者が17人。死亡年齢は7歳から72歳で、夫婦ともに白血病で亡くなっている家族もありました。被害は15万4000ボルトの高圧線と14年前に地下に埋められたケーブルの周囲に集中しています。

(上と同時期と思われますが、こちらは13年間の数字とのことで、少しあとの取材かもしれません。年月が経ったのではなく、調査が進んだのでしょう。同じ自治会長さんの調査のようです。

なお、これのバリエーションで

●人口300名強・117世帯の一つの町内会で、過去13年間の死亡者が160名(うち、ガン82名、白血病18名)町内の半分の方が亡くなったという報道があります。

という記事が

http://ameblo.jp/kitakamakurakeitaing/entry-10092701809.html

にありました。人口300名強・117世帯という数値がここにしかないようなのだけど、これは「金曜日」に出ているのでしょうか。上の末広町と少し食い違うようですが)

...................

『週刊宝石』2001年1月4日

●大阪の門真市古川町では過去13年間で死亡した160人のうち82人がガン、そのうち18人が血液のガンといわれる白血病で死亡している。ガンの発生率は全国平均の20倍、白血病に至ってはなんと全国平均の100倍という異常な高さである。これは町に張りめぐらされた高圧送電線の影響とみられている」

(これ、どう見ても「金曜日」の引き写しですね。したがって、2001年の記事ながら、データは97年のものと考えるべきです。「過去13年間」という記述は嘘ということになります。だめじゃん。ちなみに、古川町は末広町の隣で、変電所があるのは古川町のほう)

.......

それから、「NNN今日の出来事」の「特集 電磁波に包まれた街」というのがあったそうなのですが、これがいつの放送で、いったいどういう数字が出ていたのか、ご存知のかたおられますか?

[追記 8/12 0:13]

H20年の世帯数と人口

末広町 1,590世帯 2,944人

古川町 474世帯 1,025人

つまり、上の話は末広町の全世帯ではないわけです。もちろん1590世帯は巨大なので、自治会が分割されているのでしょう。しかし、これでは調査範囲さえはっきりしないということになってしまうのでは。

[追記 8/12 0:28]

門真市の統計データから

全世帯数約60000に対し、年間の死者は約1000人。

おおむね60:1。したがって、10年間で6世帯に1人が平均です。

上の「160世帯で127人」というのは、単なる死亡数としても異常です。死亡の1/3が悪性新生物なので、おおむねガン死は10年間で18世帯に1人です。160世帯70人はやはり異常な数値です。

しかし、これが本当ならガンにだけ着目しててはいけないのではないでしょうか。この地域の年齢構成は他地域に比べて高齢者がひどく多いというわけでもなさそうですから、純粋に「ガン以外も含めて、死亡数が異常に多い」ということになると思います。

期待値で話をすると、10年でガン以外の死者が18人になるはずのところ、57人になっているわけで、単純計算で「ガン以外の死者数が通常の3倍」です。ちなみにガン死は8倍。

「金曜日」のほうの数値はさらに異常で、そもそも13年間で町内の半分が死ぬなんていう事態をほっておくのはどうかしています。117世帯の13年間での死亡数期待値は25人くらいですから(数字間違えてました)、160人なら6倍です。

本当にこの数字を信じているなら、のんびり国会質問なんかしてる場合じゃないし、のんびり高圧線の写真なんか撮ってる場合じゃないです。言い換えると、のんびり国会質問したり高圧線の写真撮ったりしてる人たちは、全然本気ではないです。彼らは数字を信じていないのに信じたふりをしているのか、数字を単に自分のための道具として利用しているだけで住民を救おうなんてことは考えていないかのどちらかです。

それはいくらなんでもひどすぎませんか。

[追記]

http://www.gsn.jp/tsushin1996.htm#20%E5%8F%B7

高圧線下で61人がガン、うち16人が白血病 送電線集中地域の大阪府門真市で(ガウス通信20号1996/08/25)

http://kenkouno-mori.ftw.jp/u48264.html

また現在、高圧鉄塔送電線が多数存在する、大阪府門真市で白血病が多発し、関西電力を相手に訴訟中です。

(この訴訟が本当なら、その過程で正確な数値が出ているはずですが・・・)

[追記 08/12 10:00]

大河原まさこ参議院議員の質問趣意書と答弁(08.10.30提出)

http://www.ookawaramasako.com/?page_id=698

ところで、これに先立って大河原氏が開かれた「市民政策円卓会議」(08.08.27)の資料も読めますが、ここには門真の話はないようです。

http://www.c-poli.org/djh_etk.php

いや、こういう活動はだいじなので、ぜひ頑張ってほしいんですが、もう少し考えたほうがいいかもしれません。この人はブレーンをきちんと充実させたほうがいいんじゃないかな。

また、本当に数字を信じてるのなら、のんびり質問するだけじゃなくて(質問はすればいいんですけど)、調査費を使って即刻調査すべきですよ。万が一、実は数字を信じていないというなら、質問に使うべきじゃないし。

[追記 8/13 8:00]

「今日の出来事」は97年4月15日と16日の放送だそうです。

その中で現『Days Japan』編集長の広河隆一さんが取材されているとのこと。

http://www.geocities.jp/qsyu_net/ibento_jyoho.htm

によると、昨年、広河さんの講演があったようです。検索してみるとこれを聞いた個人のブログに「広河氏が取材しただけでも、通常の数倍の死亡率で、子どもや若者も白血病で亡くなっていました」と書かれていました。広河さんがどの程度広範囲に調べられたのか、97年以降に再取材されているのか、知りたいところです。

[追記 8/13 8:40]

この99年の記事はどうかなあ。独自インタビューをしたのかしていないのか。

http://homepage2.nifty.com/kasida/environment/denjiha.htm

蛍光灯が付くのは電場なので、この記事そのものは筋が悪いですが


2009/08/10 あぶない

カテゴリー: 日 記

もしこれがゆうこりんだったら、「おかしな科学」も回収騒ぎに!

なんてことはありません。

しかし、なぜCDを回収する必要があるのか、いまひとつ理解できないのですけど。

珍しく、単なる日記


2009/08/10 「おかしな科学」の正誤表 ver.2

カテゴリー: イベント・告知

「おかしな科学」の正誤表に追加した版です。

痛恨1:

中垣さんたちの粘菌実験のプロトコルを間違えた。というか、あとできちんと書こうと思ったまま、忘れていました。もとの文章のままだと、粘菌はかなりの天才です。

痛恨2:

アポロ捏造論のフェイクドキュメンタリー"Operation Lune"をエイプリルフール番組と書いてしまったが、本国フランスではエイプリルフール向けに作られたものではなかった。オーストラリアSBSでは翌年のエイプリルフールに放映され、「ビートたけしの世界はこうしてだまされた!?」でも「エイプリルフール用の番組」と紹介されたが、もともとは違う。それは熟読したはずの『人類の月面着陸はあったんだ論』にも書かれていて、しかもその本を「おか科」本文中で紹介しているから、もう言い訳のしようはないっす。ていうか、Arteのサイトもかつてかなり詳しく読んだはずなのに、製作・放映の日付を確認した記憶はないのですね。思い込みは恐ろしい。「第三の選択」のパターンだと思い込んだと思われます。これをどう修正するかな。とりあえず、下はとってもずるい修正案。でも、万が一再版になったら、これでいくかも

微妙:

高圧線と小児白血病の関連について、Group 2Bは「あるかもしれない」なんだけど、「ハザードとしてはありそう」と書いた件。Group 2Bについての説明でもないので、微妙な気もするけど、正確に書くに越したことはないね

....正誤表ver.2.....

P4 L10

誤: どの話も「ニセ科学」とは違うのですが、否定されても「いいや、科学的に正しいんだ」なんて言い張ることでニセ科学の仲間入りをすることもあります。

正: 否定されても「いいや、科学的に正しいんだ」なんて言い張っていると、ニセ科学の仲間入りかもしれません。

P31 L5

誤: 小さな箱での中だから

正: 小さな箱の中だから

P33 L11

誤: 滝のそばが気持ちいいという話と

正: 滝のそばが気持ちいいという話とも

P69 L2

誤: ハザードとしてはありそうなんだけど

正: ハザードとしては「あるかもしれない」という評価なんだけど

P146 L8

誤: 迷路の出口に餌を置いて粘菌を入り口に置くと、最初はいろいろな方向に伸びていくんだけど、

正: 迷路全体に粘菌を広げて、入り口と出口に餌を置くと、余分な道に広がっている部分がだんだん縮んでいって、

P147 L9

誤:ありがとうござます。

正:ありがとうございます。

P154 最後から二行目

誤: ダンシングレボリューション

正: ダンスダンスレボリューション

P164 L9

誤: みんなが茂木さん

正: みんなが茂木さんを

P237 L5

誤: フランスのテレビ局が作ったエイプリル・フール番組のネタだったのに、それでも信じた人が多いらしいんだ。

正: フランスのテレビ局が作った偽ドキュメンタリーのネタで、オーストラリアではエイプリル・フール番組として放映されたようなものなのに、それでも信じた人が多いらしいんだ。

P238 後ろから3行目

誤: それでも、

正: それなのに、

巻末プロフィール

誤: 血液型はZ座

正: 血液型はZ型


2009/08/09 total page view

カテゴリー: 日 記

このブログのtotal page viewですが、千何百万かを越えたところで、おかしくなっちゃいましたね。

いいですけど


2009/08/09 科学政策に関する公開質問状というのが出ているそうです

カテゴリー: サイエンス

一週間ほど世間から離れていたので、気づきませんでした

http://d.hatena.ne.jp/sivad/20090731/p1

民主党からはすでに回答が出ているそうです


2009/08/08 業務連絡

カテゴリー: ニセ科学

SuperCon関係で、半徹夜のむちゃくちゃな日が続いてました。

落ち着いたので、ぼちぼちといろいろお返事いたします

「牛乳有害説」のコメントが妙なことになっているので、いったんコメント禁止にしました。整理してから再開します


2009/08/04 SuperCon2009やってます

カテゴリー: 日 記

今日から

もっとも、リアルタイムに速報、とかいうものはないのですが。

課題は大会終了まで公開されません。

金曜に阪大21世紀懐徳堂で発表会と表彰式があり、見学・取材は自由です。