田崎さんが代表者になって、僕や天羽さん、それに池内了さんが講演する「ニセ科学」のシンポジウムを春の日本物理学会で行います。
日本物理学会に最近作られた「物理と社会」という分科のシンポジウムです。
物理学者が社会とかかわっていくありかたのひとつとして「ニセ科学批判」の問題を議論します。学会のシンポジウムとしては画期的なテーマではないかと思います。
最終日午前ですので、学会参加予定のかたはぜひスケジュールにいれておいてください。
趣旨説明や講演タイトルは田崎さんのウェブサイトにあります↓
http://www.gakushuin.ac.jp/~881791/events/JPSsympo0306.html
まだいろいろ混乱があるようなので、まとめ
批判的な実験の目的としては
(1)江本グループに見せて、「違うぞ」というため
(2)ビリーバーに「反証」として示すため
(3)半信半疑くらいの人に「実際には本のとおりにならないんだよ」というため
(4)「水伝」と関係なく、教育のため
などがあり得ます。
そして、目的が違えば、やりかたも違います。そこがごちゃごちゃになっている気がします。
どうも誤解されている気がしますが、僕自身も(4)が最も建設的だと考えています。そして、この目的なら「水伝」を再現する必要はまったくないので、やりやすい方法を使えばよい。人工雪でもいいし、ペルチェが便利ならそれがよいでしょう。小学校で簡単にできるような実験のデザインがあればいいと思います。
だからといって、それが(2)の目的で「反証」になるわけではないです。「水伝」をニセ科学だと知っている人にとっては反証になるのかもしれないけど、そもそもそもそもそういう人には自明なことなので、むしろ、「水伝」のことなんか忘れて科学実験として楽しめばいい。
逆に、人工雪をビリーバーが反証とみなすとは思えません。
(1)の目的では更にそうで、江本グループは当然中谷の実験のことを知っていて、僕の記憶では「あれとは違う」と書いていたはずです。人工雪でいいなら話は簡単ですが、そうはいかない。
「反証になるはずだ」というのは僕らの勝手であって、目的が(2)なら、相手に反証とみなしてもらえなければ意味がない。
僕自身は(1)(2)の目的で実験するのはむだだと考えていますが、仮に(2)の目的で実験するとすれば、人工雪ではない「江本の実験」をしてみせるのが最低条件だろうと思います。繰り返しになりますが、「江本の実験」が低温室を使っているのは決して僕の責任ではないので、「低温室なんか不要だ」という意見は江本氏に言ってもらわないと。「江本の実験」でなくていいなら、低温室なんかなくてもよいという点については、激しく同意しますが。
江本氏に「低温室なしでできます」という提案をしてみるといいかもしれませんが、僕の考えではそれは採用されない。なぜなら、どこででも誰にでも実験できるようになったら、困るのは彼らだから
もちろん、この点で僕が間違っているのかもしれません。信奉者に「反証実験のデザイン」を問いかけているのはそのためですが、僕はこれでなにか「意味のある実験デザイン」が提案されるとは期待も予想もしていません。なにかが提案されるとすれば、「決してできない実験」になるのではないでしょうか。
(3)はなんともいいがたいです。人工雪で納得する人もしない人もいるでしょうね。
いずれにしても「人工雪でいいじゃん」とか「ベルチェでいいじゃん」という提案については、(4)の目的ならまったくその通りだし、(1)(2)が目的ならまったくだめというのが僕の意見です。
「まったくだめ」ではないかどうかは、僕たちがどれほど議論してもしょうがなくて、江本グループやビリーバーに訊く以外に手はないです。訊いても答が得られるとは思えませんが
繰り返しになりますが、「水伝」をはなから信じていない人にとっては、「反証」実験そのものが不要ですよね。
ご飯の実験は家庭でできるのでさかんに行われています。否定的な結果も江本サイトで議論されているようです。否定的な結果でも反証とみなされないことが明らかになるのではないでしょうか
金曜の夜9時で解禁になったので予告。
AERAの次号(11/28に店頭に並ぶはず)に2ページの「水からの伝言」批判記事が出ます。僕がちょっとと天羽さん・古川さん・安井さんなどが取材にこたえているので、載るはずです。ほかに三鷹市在住の主婦のかたなど(^^
また、江本氏へのインタビューも同時に掲載される予定だそうです。大手マスコミの批判的なインタビューに応じるのは初めてではないかと思うので、何を答えているか、注目です。
AERAはそれなりに大きな影響力があるので、ひとり一冊持っておくと、なにかと役立つはず(^^。みんな、立ち読みで済まさずに、買うのだ!
なお、前号に出てる予告によると、「パフィー・イン・アメリカ」の記事も載るようなので、パフィー・ファン(おいらだよ)には二度おいしいでしょう。
これで、今年は
TWJ「Popular Science」(渋谷研究所X)
岩波「世界」
朝日新聞社「AERA」
の三つの雑誌に批判記事が出たことになります。
「トンデモ本の世界T」と合わせて、揃えるべし
一カ所でライブするだけなら、ツアーとは言わない・・・
九大・凝縮系基礎論講座のホームページに12/20の告知が出ています↓
http://www.stat.phys.kyushu-u.ac.jp/
川勝君のソフトマターと僕の「ニセ科学」が並んでいるのには感慨深いものが(^^
九大・箱崎のかたはお時間があればどうぞ。おまけつき
マイナスイオン製品の件で大手家電メーカーのお話を伺おうと、某メーカー(差し障りがあるといけないので、メーカー名は明かしません)にインタビューを申し込んでいたのですが、日程調整の段階で僕のホームページに「敵対的な記述」があるという理由でお断りされてしまいました。客観的な記述はあっても敵対的な記述はないと思ったのですが・・・
残念。匿名でなら秘密を明かしてもいい(^^)という開発者や事業部のかたなど、おられませんかねえ。会社名等を含め、秘密は守ります
以前、自分にとって都合のいい説を言うかどうかで科学者を「敵」と「味方」に分けることの危険性を書いた。主として、市民運動を念頭に置いた話だった。
ところで、天皇制をY染色体で論じることの愚を何度か書いたところ、「天皇制男系絶対維持」派のかたがたのホームページでは僕は敵扱いである。僕は、天皇制の是非についても男系維持の是非についても、極めて慎重に言及を避けてきたつもりだ。自分の意見は持っているけど、このblogに書くべきことだとは考えていない。僕は単に「天皇制は物語によって維持されているのだから、Y染色体などという科学を持ち出して天皇の正当性を議論してはならない」と主張しただけだ。それで敵なんだねえ。不思議だなあ。藪をつつくと蛇が出るよって注意してるだけだから、男系維持派の人にも役立つ話なのにねえ。
面白いね。すぐに敵か味方かに分けるんだもんね。中立っていう立場を許さないんだな。しかも、本質と関係ないところを批判してるのに、本質部分を批判されたと思っちゃうんだね。
ところで、どうしてああいう人たちは、科学をつまみ食いしときながら、僕らを「科学オタク」と呼ぶかなあ。科学にすがってるのは向こうなのにね
中西準子さんが京大の松井三郎さんから名誉毀損訴訟を起こされた件については、blogでの意見表明は意図的に控えていました。ひとつには、以前書いたことで尽きていると思ったから。天羽さんが「中西応援団」というのを始められましたが、それとも意図的に距離を置いています。
しかし、中西さんが証拠(録音テープ)を提出されて、さらに反訴を起こされて以降の展開があまりにとんでもないことになっているらしいので、この件をご存じないみなさんには、現状だけでも知っておくことをお薦めします。
天羽さんが作られたサイト↓
の掲示板に11/17に行われた第4回口頭弁論を傍聴したかたがたの書き込みがありますので、ご覧ください
どうやら、松井氏側には「戦略」というものがなかったようで、このままだと最終的には、中下弁護士に乗せられて原告になることを了承した松井さんが、最大のダメージを受けることになりそうです。松井さんは、早いうちに中下弁護士を解任して訴訟を取り下げられたほうがいいのではないでしょうか。
もっとも、ここで取り下げたとしても、松井さんが「学問を殺そうとした」という事実は消えませんが。
6億5000万冊なんて、こりゃもう「無差別テロ」だよね。
特に、子供を洗脳しようというそのやり口が許せない。
という話をしていたら、野尻さんの掲示板で「バナーを作ろう」という企画が出てきました。野尻さんのつてで、すごいかたがバナーを作ってくださるようです。これはすごいよ、ほんとだよ。
バナーったって、別に「連帯を表明する」とかそういうことではなくて、単に「水に生き方を教わるなんて、まっぴらだぜ。そういうふうに子供を洗脳するんじゃねえよ」という意思表示のためにホームページに貼っとくものという感じがよいかと。
これまでの議論で明らかになったように、批判のしかたは人それぞれですし、それを縛るようなのはよろしくない。批判のしかたにこだわると、かつての新左翼のように、「おいおい、敵はどっちだよ」になってしまいますから(^^。
そういう意味では、バナーのキャッチフレーズはどういうのがいいんですかね。作ってくださるかたにおまかせでもいいけど、少しは案を出したほうがいいかと。
「水は答を知りません」とか「水に生き方を教わるなんて、それでいいわけ?」とか(長いか)・・・
考えてみると、否定派がよってたかって「こんな実験なら」とか「あんな実験なら」といくら議論しても埒があかないのは当然で、誰も信奉者の気持ちになっていないからなわけです。
そこで、ふたたびmixiに「どのような実験で、なにが示されれば、『水からの伝言』は誤りであると認めるか」という質問をしてみました。
回答がくるかどうかはわかりません。
なお、これは「信奉者を反証実験で説得できるか」というテーマの質問なので、半信半疑とかそれ以前の人に対する実験はまた別の話。僕自身は「なにしても説得できない」という立場ですが、意外な回答があるかもしれません。
子供に人工雪の実験を見せる、というのは大変よい考えなので、推進しよう
mixiなので、ここに回答を転載することはできません。mixiにはいってなくて、これを見たい人はmixiに招待します。でも、匿名のかた(ホームページを見ても誰だかわかんないかた)はごめんなさい。
講談社+α文庫「水は語る」
2003年出版のはずなのに、なぜか近所の書店で平積みになっていました。なにかあるのか? さて、+α文庫にはいくつかのカテゴリーがありますが、この本のカテゴリーは「サイエンス」
もっとも、この文庫のサイエンス・カテゴリーには『「海底遺跡」超古代文明の謎』なんてのもあるので、しょうがないっちゃあしょうがないのですが(いや、もしかしたら、「海底遺跡」はまともな本かも・・・)、サイエンス扱いで平積みになっているのを見ると、すんごく不快。
+α文庫は講談社生活文化局から出版されていて、社内的には「生活・実用」のカテゴリーであると思われます・・・でいいのかな。
ブルーバックスにも天外司朗の本が堂々とはいっていたりするので、 どうしようもない!?
「ニセ科学」全般に関わることなので、「水伝」と限定せず。
大昔にSF仲間に言われて、ひどく納得してしまった言葉をここで書いておきます。それは「納得力」(^^
僕が「信奉者は決して説得されない」と言っている意味は、まさに、こちら側の論理に「説得力」がないということではなく、向こう側に「納得力」がないということなんです。
どれほど精緻な理論で矛盾を突こうとも、「納得力」がなければ決して納得しません。
「納得力」っていう本を書いたら、「バカの壁」の100分の1くらい売れるだろうか。新書のタイトルとしては、いいような気がする
もっとも、僕が言われたのは「お前の話に説得力があるんじゃなくて、こっちに納得力があるんだぞ」というんだったですけど(^^
としぞうさんからのコメントがあったので、渋研Xの亀さんよりいただいていた情報を書いておきます。
ttp://www.hado.com/info/waterforlife.htm
に出てますが(ちらしのpdfファイル)
.....
江本勝氏は「未来を創造していく世界の子供たちに水のメッセージを伝えていくことが世界の平和につながる」という信念のもと、"絵本版『水からの伝言』"を製作、無償配布する計画を立てた。題して「EMOTOプロジェクト」。2015年までの10年間で世界人口の10%に相当する6億5千万人の子供たち(3歳〜12歳)にこの絵本を配布する計画。その公開記者会見をかねた絵本の完成披露と計画発表がこの日、会場で行われる
......
Water for lifeフェスティバルで、実際にこの発表があったようです。
さて、江本はなにを目論んでいるのか。
6億5千万人とは驚異的な数字で、そんなことが可能なのかどうかわかりませんが、少なくとも日本中の小学校に配るくらいのことはする気なのでしょう。子供たちに配って洗脳するというのは、非常に危険なやりかたであると思います。
充分に注意しておく必要があります。
以下の記事には追加・訂正情報があります
8番のkmoriさんのコメントを参照してください
.......................
教えてもらいました。おけいはん先生危うし!
http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2005110100027&genre=K1&area=S00
「医科学的な効能は解明されていない」と明記しているあたり、開き直りにもほどがあるというか、正気の沙汰ではない。
しかも、大手家電メーカーが撤退したあとにやるというビジネスセンスのなさ(某家電メーカーでは、マイナスイオン商品を開発した部署は既に存在しないとかいう噂・・・)
各書店がアレな本をどこに並べるかのリストを作っている人(^^)がいます↓
協力しよう。えーっと、多分上のwikiには勝手に書けないので(もちろん、あるルートをたどるとアカウントがわかりますが)、これにコメントとして書いてくれるとこびとさんがwikiに写してくれるかも
マイナスイオン水なる怪しい商品を売ってる連中が、天羽さんを批判する本を自費出版で出したそうです。2000円もするそうです。誰が買うんだ?
お茶大に対して「水商売ウォッチング」の公開差し止めを要求する文書も含まれています。というより、この本全体がその目的で作られたもの。
詳細は↓
http://www.minusionwater.com/ (リンクにならないようにひと文字略)
もちろん、僕らは過去に「水商売ウォッチング」をホスティングしたくらいですから、天羽さんの活動を支持しています。大学のホームページで正面切ってニセ科学批判を展開した先駆的な活動のひとつです。
お茶大はたぶん「またか」くらいに思ってるだけでしょうが、万が一にも妙な対応をしないよう願ってますよ。いや、ほんと
某所で小学校の先生方に「水伝」のお話をすることになりました。
16(水)はいよいよ今年の「かわいい物理: アインシュタイン・イヤー勝手に協賛企画」の最終回です。お題は特殊相対性理論。光量子仮説よりはわかりやすいはず・・・はず(^^
でも、まだ準備できてないのだ
いや、僕も好きこのんでwikipediaを見てるわけじゃなくて、ほとんど見てないんですよ。でも、検索すると引っかかってくるんだもの(^^;
「テルミン」の項、こりゃないでしょうと泣いちゃう文章なのですが、これに手を出して、科学の記事に手を出さないのもなあと思って、とりあえず手を出さない。
竹内さんの本くらい読んでから書けばいいのに。テルミンについての成書は世界中探しても4冊しかないので、ロシア語の一冊を除けば、全部読み通すのもたいした手間ではないのです。
ビーチボーイズの"Good Vibrations"にテルミンが使われたというのは誤りなのですが、これはあまり知られていないので、間違っててもしょうがない。ということで、この話だけここに書いておきます。
テルミンについては、たぶんwikipediaを見るより
http://www.workroom.co.jp/theremin
のほうがまだしも正確かと。だって、書いたのは僕だし(^^
Good Vibrationsの件はかつて「SFマガジン」のテルミン小特集に書いたことがあるのだけど、バックナンバー取り寄せになってしまいます。
先日の夜中に一時PHPのソースが表示されるようになっていたのは、PHPの入れ替え作業のためでした。今はアクセスログの一部に障害があって、アクセス数が表示されていませんが、本質的じゃないからいいよね(^^
サーバーの深いところは、家からではいじれないようにしてあるのです。
12月に九州大学に呼んでいただけることになりました。
詳細は追って。
別のところで、YTさんから指摘されて、ビデオを再検討しました。
ビデオの編集とナレーションに惑わされていた可能性が高いです。
結論から言うと、室内の水蒸気をくっつけて成長しているだけという一番単純な解釈が成立しそうなことがわかりました。
いちおういいわけしておくと、僕ももちろん真っ先にこの可能性を考えたのです。しかし、ビデオを何度か見て、どうやらそう単純ではないらしいと、排除したものでした。映像とナレーションから、いったん融けていると思えたので。
しかし、さっきビデオを見直しているうちに、映像の順番を入れ替えれば、実は一番単純な解釈ができることに気づきました。入れ替えるというか、連続映像じゃないので順番通りではないことはわかっていたのに、思いこみが抜けなかった。いったん融けてるわけではないと思ってナレーションを聴き直すと、融けているとは明言していないではないですか(^^;。確証はないけど、一番単純な解釈が成立するなら、それが正解である可能性が高い。
低温研の先生方の名誉のために言うと、これは僕がミスリードしたと思われますし、そもそも古川先生は初めから一番単純な解釈を言っておられたような気もします(^^;。これも僕の思いこみかも。
ビデオには結晶が成長しはじめるところから映っているので、冷凍庫から出した瞬間から成長し始めているわけではない。これもあって、惑わされたのだけど、融けてないなら、これは中谷ダイヤグラム通り。-20度では枝が延びず、むしろ表面温度が-15度くらいまで上がったために枝が延び始めると考えられます。
思いこみは恐ろしい。とすると、実験は簡単なのか、あるいはやっぱり簡単ではないのか、それは僕にはわかりません。実験しようとしたものの、うまくできなかった人がいるという話は聞いていますが、どの程度の設備でトライしたかは不明です。
低温室と冷凍庫と顕微鏡が使えるかたが(できれば近所に)いたら、ご連絡ください
YTさん、ごめんなさい。謹んでおわび申し上げます
僕はこの問題をまったく知らなくて、野尻さんに「教育関係者もなんかしてくれ」と言われてようやく「なんであるか」を知った次第。
国立天文台・近田義広教授のコメントがありました。
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20050826/220155/
あとは野尻さんのBBSにいろいろリンクがあります。
http://njb.virtualave.net/nmain.html
僕は電力線通信が必要だとされる理由がよくわかっていません。直感的には電力線通信はまったく不要不急であるように思えます。指摘されている問題点が解決してからでいいのでは
明日と明後日は新潟の高田に行きます。
なんか、SPP(Science Partnership Program)とかいう文科省のプログラムで、高校に呼ばれたので。カオスの話をしてくる・・・はずです。
SPPにはもっと本格的なプログラムもあって、阪大の物理には滋賀県の高校生が毎年実習にくるのだけど、今回のは単なる「講師招聘旅費」。
高田って、遠いのね。飛行機で行けばいいんだとばかり思ってたら、最寄りの空港から150kmだとかで、JR乗り継ぎで行くことに。
さすがにコメントの長さが100くらいともなると、議論が詳細になってしまうのですが、少々「大同より小異を議論している」感じが強くなりつつあるので、悩み中。正直、「水伝批判」よりも「水伝の批判のしかた批判」に時間をとられるようになってきたのは辛いですね(弱音)。
だいたい、「水伝の批判のしかた批判」で議論するべきことは出尽くして、循環モードか枝葉末節モードにはいってると思うのですが。僕自身は、「同じことを書き続けてる感」と「書いたことをちゃんと読んでよ感」が支配的になりつつあります。特に後者は消耗(めっちゃ弱音)。「何度か書いた」とか「どこかに書いた」という文をやたらと書いてる気はしているのですが、文章を書きすぎて、どこに何が書いてあるか(自分にも)わからなくなってるのも一因かも。
何度か書いたような気がしますが、信奉者側にもスペクトルはあるし(というより、「科学」という基盤がないぶん、スペクトルは広いのでは)、個人差も大きいので、万能の説明も万能の戦略もありません。
僕が「科学の立場」を書き続けているのは、それは相手の如何によらず、確固としてあると考えているからです。しかし、これも、批判側の人たちからも「水伝を批判するために反証実験をすべき」という意見が出ることに対する「科学の立場」の説明になりつつあります。「水伝」の誤りを科学的に証明するために反証実験をする必要はないということをまずはきちんと主張しておきたい。"反証実験をしないうちは「科学的には誤り」と言ってはならない"という人がおられるなら、そんなことはないと主張しておく必要がある。というか、「必要」なんてものはどこにもないのだけど(無視してもいいので)、言っておいたほうがいいという気ではある。
もちろん、説明あるいはデモンストレーションとしての実験はあったほうがいいという立場はわかりますし、それはそれでよいです。僕も結晶実験が簡単にできるなら、やっとこうかと考えたことはあります(という話も何度か書いたと思うし、さっきもどこかのコメントに書いた)。
説明として有効かどうかは、どのくらい説得力のある実験系を組むかにもよるし、万能の処方箋はないと思いますが。逆効果にならないようにだけは考えたほうがいいかもしれません。
一方で、その「科学の立場」を信奉者側への説明に常にそのまま使うべきであるとは考えていなくて、それはケースバイケースにならざるを得ないでしょう。
「こう説明しとけばいい」という万能の説明はありません。戦略の問題は、正直、やってみなければわからないけど、万能の戦略はやはりないと思います。
最後は、批判者それぞれが自分が最良と思う方法でトライする以外にない、という当たり前の結論になってしまうのですが。
僕はそれでいいと思います。失敗しても、それはそれでしょうがない。
もっとも、そうは言っても、大槻先生のやりかたはだめだと思うので、どんな戦略でもいいと言いたいわけではないのですが。
とりあえず、このあたりまで議論が煮詰まったら、「それはだめでこれがよい」とかではなく、各自がいろいろなやり方を試みて、その結果を報告しあうほうが建設的な気がするのですが、どうなんでしょう。
「菊池のやり方でやるくらいなら、やめたほうがいい」とか、どうしても「自分の方法がベストで、それ以外は認めない」と主張されると困っちゃいますけど・・・(後者は反論不能言明)・・・
江本勝は確信犯、と何回か書いてたら、「確信犯」の用法が違うとのご指摘をいただきました(^^。ありがとうございます。
そう指摘されてみると、大昔は正しい用法を知っていたことに思い当たる私(^^;。
人の間違いを指摘してばかりではいけませんな。自分の言葉もチェックしなくては。いや、すんません。謹んで訂正します。
...
かくしん‐はん【確信犯】?名?
政治的・思想的・宗教的信念を決定的な動機としてなされる犯罪。自らの行為を正しいと確信してなされる思想犯・政治犯・国事犯など。
...
(明鏡国語辞典)
というわけで、今日から「秋の」学祭。キャンパスにはいるやいなや、「計算機シミュレーション入門」を受講している学生にクレープのチケットを売りつけられてしまったよ。
それはさておき
阪大の学祭って、初めて見るとびっくりするくらい地味。こんなに地味な学祭は関西一円を探してもほかにないのでは。
最大の理由は、キャンパス全体でやってないことね。屋台もイベントも共通教育前の道路一本に集約されていて、ひとつ角を曲がると、もう学祭をやってる雰囲気がない。
正門からはいると、「え、今日は学祭じゃないの?」と勘違いするほど静か。
これはまずいと思う。やるならきちんとキャンパス全体をお祭り気分にしなくては。キャンパス内のどの道路でもなにかしらやっているようでないと、だめなんじゃない?
なんというか、ここ数日のコメントはなかなか厳しいですね(^^;
ひとつの話を延々と議論していると、僕がそれしか主張していないかのように思われてしまうようなのですが、そんなことは全然なくて、単にその場で問題になっていることについての説明をしているだけなのです。説明はきちんとしなくてはならないので、どうしても長くなります。すまんことです。
もちろん、その背後にはたくさんのことがあって、それはずっと昔に言っていたり、あまりに当たり前なので前提になっているだけだったりします。
「水伝」に即していうと
(1)水は言葉の意味に反応しない(揺らがない事実)
(2)きれい・きたないは誰が判断するのか
(4)「ありがとう」という文字の並びだけでは、意味が確定しないはず。心をこめた「ありがとう」も皮肉としての「ありがとう」も同じなのか?
(5)人間は水でできている→だから人間も言葉に反応する、は論理的につながらない(だけでなく、そもそも誤り)
(6)「水伝」を道徳に使ってはいけない。その理由はひとつではなく(i)科学的に誤り(ii)そもそも「水伝」の主張は道徳と関係ない(水に道徳を教わるのか)(iii)きれい・きたないで判断するのが道徳か
(7)マスコミの役割
など、いろいろあって、これでも網羅しきってないですが、こういうのは全部問題点として挙げているし、問題として最初から(たぶん、これを読んでおられるほとんどすべてのみなさんより早くから)認識しているので、決して「菊池は科学、科学と言って(1)だけを主張している」などと誤解したり、言いふらしたり(^^;)しないでくださいね。というか、僕個人にとっては(1)は当然の前提であって、もともとは(6)を問題視したところから始まっているわけです。
もちろん、科学の議論はたくさんしますが、「菊池は科学のことしか頭にない」とか思わないように、そこのところ、すみませんがよろしくお願いします。
しかし、書いた量が膨大になりすぎて、「全部読んでね」とはとても言えない状況なので、困りつつあります。まとめるべきかもしれませんが、まとめきれないような。
もしよかったら、できることなら、もちろん無理にとは言いませんが、過去ログと「ニセ科学入門」と「科学とニセ科学」↓
http://www.cp.cmc.osaka-u.ac.jp/~kikuchi/nisekagaku/index.html
はなるべくなら読んでください(^^;。ごめんね。できる範囲でかまわないから。